現代人は特に訓練すべきだろう」と平沢教授はいう。
教授のあげるその方法は、
①板の間に素足で両足を揃え20秒立つ。それから片足を上げる。左右10秒ずつ。
②中足指前関節(足の指の付け根の関節)を曲げる運動。
③目標物に、左足が真っ直ぐ向かうような歩行を意識してやる。
④女性の場合「左足が主軸になっていれば、スカートが左さがりになっている
はず。鏡に姿をうつした時などちょっと注意してみる。
○ふんぞり返ると滅亡。平沢教授は「日本人の重心の後退現象」に関しても重
大な警告をしている人だ。日本人の重心がどんどん後ろへ(つまり、かかとの
方へ)移っている。みんなふんぞり返って歩くようになったという。
この後退現象が現在の速度で続くと20年後にはもう自力で立てなくなり、滅亡
するしかないという見解である。「雪の日に観察に出たのは、実はこのことに
ついての関心もあったからですが、さすが、みなさん前かがみで歩いていまし
たね。ふんぞり返った東京人が、雪の日のわずかの間だけ原始人にかえったと
いうことですよ。雪でも降った折りに人間が重力に抗して“立つ”ということ
が、どういうことか考え直してみるのもいいことではありませんか。
○マラソン名選手のパンツは左下がりだ!
1974年、福岡国際マラソン大会の優勝者は米国の F・ショーターだった。大会
の前日、彼は平沢教授に「ぼくは左足で走る」といった。右足はサブ(※)だ。
左足が疲れると右足が代行して、また左足に戻る。
“左足で走る”時間が長いほど記録がいい。というような話をした。
教授はその後マラソン選手をよく観察し、名選手は走っているうちにパンツは
やや左さがりになっていることを知った。又、千葉の小学校三年生を調査した
ところ、得意なスポーツなどで大いに気分がのった時は、左のソックスがひど
く汚れ、気分がのらないような時は、左右同じ汚れだと判った。以上、足博士
の平沢東京工業大学の教授のお話を終ります。
【※】サブ(sub)とは、「下」「下位」などの意味の接頭語でこの場合は助手、
補欠の意味あいから右足は主役でない従だ、ぐらいの意味にとる。
○所で私の家内が今を去る四年前(昭和58年3月2日旅行の富士山の風穴を出た
途端転倒し、気がついた時は沼津の富士病院のベッドの上だったそうで、右大
腿骨複雑骨折でした。私はいつも剣道関係で各地へ旅行し、家内が留守番ばか
りで道場を守っていてくれるので、家内に友人と楽しくゆっくりと旅行してく
れと行って貰ったのがこの始末、全く不徳の致すところで気のどくした気持ち
で一杯でした。
そんな時、娘婿が学校の勤めを休んで急遽車を飛ばして沼津病院でとりあえず
応急手当をして貰い、夜を徹して車の中で寝かしたまま大阪へ連れて帰って貰
い、翌日大手術をしたのでありますが、後日元気になりどうにか松葉杖で歩け
るようになった時、転倒した時の模様を詳しく話してくれと言いましたが、当
日はみぞれが降り風穴を出た所の下り坂のデコボコの道が凍っていた。
そこまではおぼえているが、どうして、どのようにして転んだか、アッという
間だったので気を失っていたので思い出せないが、と言ってジーッと考えてか
ら、そうです、思い出しました、左手で傘を持ち右肩にハンドバッグをかけ、
外へ出た途端左足をすべらして転んだような気がする、と言いました。
その時は左足をすべらして右大腿骨を骨折する婦人が大変多いと聞いていまし
たので成る程と思いました。そして平沢教授のお説を拝読して本当に左足の大
切さを思い知らされました。家内の入院に際しましては皆様からお見舞いを頂
きまして感謝してます。手術後75日目に退院。その後ステンレスの器具も中か
ら出し、只今ではチンバ引き乍らもぼちぼち歩けるようになっています。
この年は京都大会に欠席しまして、ひたすら家内の看護につとめましたので何
かにつけて、私自身もよい勉強になりました。以上