【小餅や大きな笠餅、やぐらを囲んで激しい争奪戦】
奈良県葛城市の調田坐一事尼古(つくだにいますひとことねこ)神社で6日、御田植祭(おんだ祭)が行われた。このおんだ祭は神事の後の豪快な御供まき(餅まき)で有名。境内中央のやぐらの上から紅白のお餅が宙に舞うたびに、大きな歓声とともに激しい〝争奪戦〟が繰り広げられた。この日まかれた餅の総量はなんと約300キロにも達した。
午後3時からの神事に先立ち、まずやぐらの前で宮司や氏子ら関係者が整列して記念撮影。葛城市のマスコットキャラクター「蓮花(れんか)ちゃん」も加わっていた。神事では祝詞奏上に続いて女の子4人による舞の奉納などが行われた。続いて拝殿前で五穀豊穣を祈る御田植えの儀式。若者2人が扮した牛は最初のうちはおとなしく田を耕すが、そのうち突然観客の中に突進し境内を足早に2周した。
呼び物の餅まきは午後4時半に始まった。やぐらの上から法被姿の氏子7~8人が四方八方に餅を数十個ずつ放り投げる。それを待ち構える大人も子どもも必死の形相。拾っては持参したポリ袋に入れていた。小餅のほか直径が20センチほどもある円盤のような餅も飛んできた。この大きな餅、「笠餅」と呼ぶそうだ。
餅まきは小休止を挟んで約20分間続いた。ポリ袋を広げて催促する子どもたち、前掛けや風呂敷で落ちてくる餅を受け止める大人たち、後ろの方でたまに飛んでくるのを待ち受ける若い母親と女の子……。以前、興福寺の豆まきだったか、大きな傘を逆さに広げた大人がいた。だが、この日はそんな顰蹙(ひんしゅく)を買うような人はいなかった。終わってみれば、ほとんどの人が数十個の餅が入ったポリ袋を大事そうに抱え、笑顔で神社を後にしていた。
〔調田坐一事尼古神社〕創立時期は不詳だが、延喜式神名帳に記された式内大社。祭神は一事尼古大神と事代主大神。「尼古(ねこ)」は高貴な男神を指し、一事尼古大神は1つの願い事なら必ずかなえてくれるとして古くから篤い信仰を集めている。