【キリモドキ属の熱帯性高木、宮崎県日南市南郷町には約1000本も!】
中南米原産のノウゼンカズラ科ジャカランダ属の落葉高木。5月から6月にかけて青紫色の美しい花を下向きにたくさん付ける。花は先が5つに裂けた釣り鐘形。和名は「キリモドキ(桐擬き)」。南米に移住した日本人たちがキリの花に似ていることから「きりもどき」と呼んだそうだ。青空を背景に木を覆うように咲き乱れる様から「紫雲木(しうんぼく)」とも呼ばれる。変種に白花もある。
ジャカランダ属は熱帯アメリカに50種ほど分布する。そのうち日本で最も多く栽培されているのはアルゼンチン、ボリビア原産の「ミモシフォリア種」。自生地では高さが約15mにもなるそうだ。他にブラジル、アルゼンチンに分布する「クスピディフォリア種」、ベネズエラ、ギアナ原産の「オブッシフォリア種」など。ジャカランダの葉は2回羽状複葉と呼ばれるものでアカシアやネムノキの葉に似て涼しげ。「ホウオウボク(鳳凰木)」「カエンボク(火焔木、アフリカン・チューリップツリーとも)」とともに「世界三大花木」「熱帯三大花樹」といわれ、南米以外にも街路樹や庭園木として植栽されている都市は多い。リスボン、ロサンゼルス、シドニー、メルボルン……。
国内でこの花の名所として名高いのが宮崎県日南市南郷町。東京五輪が開かれた1964年にブラジルの宮崎県人会から種子が贈られたことが栽培のきっかけとなった。開花までに約14年の歳月を要したが、今では「道の駅なんごう」そばの宮崎県総合農業試験場亜熱帯作物支場有用植物園内の「ジャカランダの森」「ジャカランダの小径」などに約1000本も植えられている。5月末から6月19日まで「ジャカランダまつり」を開催中で、夜間にはライトアップで幻想的な光景を楽しむこともできるそうだ。
静岡県熱海市では1990年、ポルトガルのリゾート地で姉妹都市のカスカイス市から苗木2本が贈られたのをきっかけに海岸通りなどに植樹された。2014年にはお宮緑地にジャカランダの遊歩道も完成した。長崎県雲仙市の小浜温泉街のジャカランダ通りには幹周りが約1.8mという巨木も。その小浜でも6月30日まで「第11回ジャカランダフェスタ」を開催中。ジャカランダによる町おこしを目指す日南、熱海、雲仙の3市は回り持ちで毎年開花シーズンに「ジャカランダサミット」を開いている。今年も5月29日、雲仙市に3市長が結集しシンポジウムなどを行った。ジャカランダの青紫の花には遠く南米に渡った日系人の故国への深い思いが込められ、内外の都市を結ぶ友好の架け橋にもなっている。
長崎県出身のシンガーソングライター、さだまさしさんが作詞・作曲した作品に『ジャカランダの丘』がある。「♪岬をめぐる船が汽笛ひとつ鳴らした まぶしそうに遠くを見る横顔が好きだった 君の笑顔の向うで蒼空に紫色の花が咲き乱れてた ジャカランダの花の咲く頃に 君は故郷を出て行った 夢に縁取られた明日を小さな鞄につめて」。(写真は福岡市東区在住のT・Tさん提供。宮崎県日南市南郷町の「ジャカランダの森」で撮影)