く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ウツボグサ(靫草・靭草)> 花穂の形を矢の入れ物「靫」になぞらえて

2016年07月08日 | 花の四季

【盛夏を迎えると黒っぽく枯れる⇒漢方名「夏枯草(カコソウ)」】

 シソ科ウツボグサ属の多年草。全国各地の日当たりのいい山野の草地や農道などでごく普通に見掛ける。花期は6~8月。草丈は20~30cmほどで、茎頂に3~8cmの花穂を伸ばし紅紫色の小花をたくさん付ける。花冠の長さが2cmほどの唇形花で、上唇は菱状、下唇は3裂する。

 茎は角張った四角形。茎や葉、苞などに白く粗い毛が生えるのもウツボグサの特徴。その名は武士が腰や背に着け矢を入れて持ち運んだ用具「靫(うつぼ)」に、花穂の形が似ているところから付けられた。方言名には「かごくさ」「みつすいばな」「こむそうぐさ」「へびのまくら」など。花や若芽、軟らかい葉は山菜として、てんぷらや酢の物、サラダなどに。

 盛夏を迎えると、花穂は次第に枯れて黒っぽくなる。漢方ではその花穂を乾燥したものを「夏枯草(かこそう)」と呼ぶ。煎じて服用し、主に利尿薬として用いられる。消炎作用もあり、口内炎などの炎症にも効き目があるという。様々な薬用として使われることから「ちどめぐさ」と呼ぶ地方もあるそうだが、セリ科に「チドメグサ(血止草)」という正式名を持つ多年草がある。

 変種の「ミヤマウツボグサ」はやや小型で、北海道や本州中部以北の山地に自生する。また近縁種の「タテヤマウツボグサ」は逆にやや大型で、立山連峰など本州の中部や東北地方の高山で見られる。ウツボグサは花後に基部から走出枝を出して広がるが、これら2種は走出枝がないか短いという違いがある。「雨に揺れ虻にゆれけりうつぼ草」(堀口星眠)

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