く~にゃん雑記帳

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<天理参考館> 企画展「天理サファリランド」9月5日まで

2016年07月10日 | 考古・歴史

【古代中国やイランの馬・ラクダ・牛・羊・鹿の出土品など70点】

 天理大学の付属博物館「天理参考館」(奈良県天理市)で、「天理サファリランド―シルクロードの動物と動物意匠の世界」と銘打った企画展が始まった。今にも飛び跳ねそうな馬や往時の交易の模様を彷彿とさせるラクダ、王による狩猟の様子が刻まれた鍍金銀製の皿……。中国の漢~唐時代を中心とする動物俑(よう、人形)や紀元前1000年頃のイランの牛や羊、鹿の土器など70点を展示している。9月5日まで。

 

 シルクロードは前漢の武帝が騎馬民族の匈奴を挟撃するため大月氏に張騫(ちょうけん)を派遣したり、また「汗血馬(かんげつば)」といわれた西方の駿馬を求めて大軍を派遣したりしたことによって開通したともいわれる。「白胎加彩飾馬」(唐時代、写真㊤)はその汗血馬と呼ぶにふさわしい躍動的な姿で、今にも馬のいななきが聞こえてきそう。中国歴史博物館にもほぼ同形の馬俑があるそうだ。

    

 「紅胎加彩打毬女子」(唐、上の写真㊧)は馬上の女性が打毬(ポロ)をしている様子を表現したものといわれる。ポロといえば英国を連想するが、元々は古代ペルシャの国技で、これがシルクロードによって中国にも伝わったという。英国紳士のスポーツとみられたポロが、中国で唐の時代に女性が興じていたことにはただ驚くばかり。「紅胎加彩騎馬男子」(唐、写真㊥)はまさに乗馬しようとする一瞬の姿を捉え、「灰陶加彩飾馬」(北魏、写真㊨)はサラブレッドのようなスマートな体型の飾り馬が精緻に表現されている。

  

 シルクロードで荷運び役として活躍したのが〝砂漠の船〟といわれたラクダ。「黄白釉加彩駱駝」(唐、写真㊧)は水を入れた壷の後ろ側にウサギと鳥が吊るされている。「灰陶加彩駱駝」(北魏、写真㊥)のラクダの背に載るのは放牧民の移動式住居ゲルの天頂部などの部材。「三彩釉駱駝」(唐、写真㊨)は荷に獣面や宝相華文が施されていることなどから、実際に積み荷を運んだラクダというより装飾化されたラクダを表現したものとみられる。

 「青銅羊形轆轤燈」(漢、下の写真㊧)は灯火具で、背中の部分が跳ね上がって頭の上に載る。開いた背の中央に釘状の突起があり、そこにロウソクを差したとみられる。「青磁羊」(晋、写真㊥)は胴部に刻線で翼が描かれており、羊が天馬に通じる特別な動物だったことを示す。「三彩釉獅子」(唐、写真㊨)は墓を守護するために副葬されたものとみられる。

  

  西アジアのイラン地方からの考古資料では、紀元前1000年ごろの「牛頭飾注口三脚壷」(下の写真㊧)や「瘤牛形注口土器」「鹿形注口土器」「山羊飾角杯形リュトン」(写真㊥)などを展示中。リュトンは底部の穴を指で押さえて液体を入れた後、指を離して注ぐ容器。このリュトンは全体が牛角の形で、先端にヤギの前半身がかたどられており、祭儀用だったとみられる。「鍍金銀帝王狩猟文皿」(7~8世紀、写真㊨)は直径24.4cmで、馬上の王が弓で獣を射る場面が表現されている。この獣は斑点模様からヒョウとみられる。中国の古文書にも西域からヒョウが献上されていたとの記載があるそうだ。

     

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