く~にゃん雑記帳

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<高島屋史料館> 「獅子図」下絵と刺繍作品を同時展示!

2022年11月12日 | 美術

【企画展「画工画」の第Ⅱ部スタート】

 高島屋東別館(大阪市浪速区日本橋)の高島屋史料館で、企画展「画工画(がこうえ)―明治の画工、世界に挑む」の第Ⅱ部(12月19日まで)が始まった。高島屋は明治中期から大正時代にかけ屏風や壁掛けなどの美術染織品の海外輸出に力を注いだ。企画展はそれらの下絵を描いた当時“画工”と呼ばれた画家たちに焦点を当てたもの。第Ⅰ部「高島屋の画室」に続く第Ⅱ部は「下画(したえ)と染織品」と題して展示作品を全面的に入れ替え、下絵をもとにした刺繍作品や手描き友禅も展示している。

 見どころの一つが雌雄のライオンが描かれた『獅子図』。日本画家の神坂松濤の下絵と、刺繍師(ぬいし)がその下絵をもとに丹念に縫い上げた刺繍絵画(上の写真)が横並びに展示されている。下絵の原画は1900年代の初めにハンガリーの画家が描いた『獅子雌雄図』。刺繍絵画(作者未詳)は染め分けた絹糸の色の濃淡のみで立体感を表している。

 ライオンの刺繍作品は高島屋の「輸出製品記録写真集」で複数の類似作品が確認されているという。当時人気のあるモチーフの一つだったようだ。会場にはビロード友禅の『ライオン』(上の作品=部分)と『山水図』も展示されている。ビロード地に絵を描き染色後、表面を毛羽立たせることで立体感や遠近感を表現した。ビロード友禅は刺繍と並ぶ有力な輸出製品として盛んに製作された。

 下絵と製品の手描き友禅が同時に展示されているのも今回の見どころ。両方がそろって現存しているものは数少ない。下絵は写実的な花鳥画で知られる日本画家今尾景年が描いた『南瓜・豆に鶏図』(上の作品=部分)。これをもとに友禅師村上嘉兵衛が色鮮やかに再現した。こちらの友禅の作品名は『畑に遊ぶ鶏図』。村上嘉兵衛の友禅の作品は他にも『芥子(けし)に鶏図』(下の写真㊤=部分、下絵は岸竹堂)、『桜花雉子図』(下の写真㊦=部分、下絵は幸野楳嶺)の2点も展示中。

 岩崎嘯雲のテーブル掛けの下絵『魚網』(下の写真㊤=部分)は大きな円形の網に魚やエビなどを描いた大胆な構図が目を引く。5匹の猿の表情が愛らしい下絵の『藤豆群猿図』(下の写真㊤=部分)、満開のピンクのバラが美しい『薔薇図』、花びらが和紙のように繊細な『罌栗(けし)図』、刺繍作品の『馬の繪』(いずれも作者未詳)なども展示している。

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