上道臣「田狭」の語る我が妻「稚媛」の美しさに付いて、「茂」「綽」「曄」「温」の上
“花弗御<イロモツカハズ>”
と、書き現わされております
花<イロ>とはお化粧のことです。「」は「鉛」のことです。江戸期ぐらいまでは、女性のお化粧(おしろい)はすべて鉛の粉を使っていたのですが、その起源は、すでに、此の期(五世紀頃)から始まっていたということが、これからも分かります。
女性の美しさをより引き立てるおしろいも、この稚媛には必要がなかったというのです。それが“花弗御“の意味です。なお、この「弗」は打消、否定を意味する助字で、「御」は<あつかう、あやつる、つかさどる、すすめる>等の意味があります