これくらいにして、次に、進もうかと思っていたのですが、この「かぐや姫」と、秋田という人に名前を付けてもらった後のことに付いてこの物語には書かれています。随分とめずらかな面白い当時のしきたりなの、これも御存じのこととは思いますが、横道にそれたついでにということはないのですが、ご紹介しておきます。次のように書かれております。
”此程、三日うちあけあそぶ。よろづの遊びをしける。男はうけきらはずよびつどえて いとかしこく遊ぶ”
と。
「かぐや姫」と名前を付けてもらったための祝いをしたのです。色々の遊びをしてお祝いしたのです。竹取の翁の家の周りにいた男と云う男を全部集めて、大層はではでしく遊んだのです。「かしこく」とは「おそろしいほど」「はなはだしく」「なみなみではなく」という意味です。名前を付けてもらい、そのお祝の会を開くという行事は、この家にいる娘は、このように立派で美しい女性であるということを世間に知らしめるための行事であったのだと思います。先にあげた楊貴妃の時代に行われた3月3日の水辺の行事もこれと同じ性質をもつものだったのではと思われ、やはり、これらの起源も中国から伝わったものです。