小宰相は平通盛からの玉章、<ラブレター>の置き場が無かったものですがら、袴の腰に挟んでいたのですが、その挟んでいることも忘れて、それだけ真剣でなく無視していたのでしょうか??上西門院のお側で何やかやとお仕えしておりました。その途中で、腰に挟さんでおいた手紙がどうしたことか落ちてしまいます。それを見つけたのが女院なのです。女院は
「これはよい物を拾うた。此の持ち主は誰かしら??」
と、大勢の女房の前で、嬉しそうにお尋ねになります。みんなは「知りません」と。ただ、小宰相だけは顔を真っ赤にして、うつむいたまま、何も言いません。でも、女院は、かねてから平通盛が小宰相に思いを通わ、せしきりに手紙を送っていると言う噂を聞いておりました。誰も「私のでございます。」と、名乗らないものでえすからその文をおあけになられます。その手紙には香がたきこめられ、筆の跡も見事で、
「やすく人になびかぬあなたの心強さも、今はかえってたのもしく覚えて・・・」
と、こまごまと情を述べたものでした。そして、その最後に一首の歌が認めてありました。
“我が恋は ほそ谷河の まろ木ばし
ふみかへされて ぬるるそでかな”
この歌に詠み込まれている「ほそ谷河」が、我が町吉備津にある
”細谷川”
です。どんな川だとご想像されますか。写真をどうぞ!!!誠にちっぽけな字にある通りの細い谷川です