「そんな言葉かけではだめですよ。私があなたに代わって云いますから、いいですね。このように云うのですよ」
と、比売のお側にいた人が、あの女院のように、戸の外にいるオホクニに言います。
“青山に日が隠らば 奴婆多麻能<ムバタマノ> 夜は出でなば・・・・・・・”
と。「今は朝です。あの明るい太陽が西山の端に隠れて、そうしたら夜がやってきますね。・・・・」
これから、お側にいた人の真骨頂な歌が出ますが、此処で、又、ちょいと例の通り横道へ。
此処に書かれている“奴婆多麻能”について少々。
まずは、その写真を
この花が秋になると真っ黒い実を付けます。だから、「夜」の枕詞となったのでしょう。
今は檜扇<ヒオオギ>と呼ばれている草です。<ヌバタマ>は「ヌ」は黒で、その実が写真のように黒玉だったのでこのような名前が付いたと、「古事記伝」に説明がしてあります。大学者「宣長」は、何処で、あの時代にですよ。このような植物学者のような事を詳しく調べたのかと不思議な気がしてなりません。大変な量の情報を持っていたのです。今ですとパソコンですぐにですが!!!