弟君「火遠理命<ホヲリノミコト>」は
”破御佩之十拳剱<ミハカシノ トツカツルギヲ ヤブリテ>”
持っていた十挙剱を「破<ウアブリテ>」打ち壊してです。宣長は「銷鑠<ケス>」だと説明があります。辞書によりますと、「銷」は「とける」で、「鑠」は「金属を溶かす」という意味があるのだそうです。
要するに、持っていた刀を溶かして鉤<ツリバリ>を五百本も作って借りた鉤の代償として手渡します。
此処で又横道へそれます。火遠理命が五百もの鉤を作った「十拳剱」というのは「古事記」には何回も出てきます。が、御存じでしょうか???
まず初出は、「イザナギ」がその子「迦具土神」の頸を切った剱です。次は、そのイザナギがイザナミの黄泉の国から逃げ出る時に黄泉の軍勢を切り倒した時に使った剱です。また、アマテラスが宇気比<ウケヒ>をする時に使ったスサノヲの「剱」もそうですし、そのスサノヲが大蛇退治をする時に使った剱もそうです。それと、このヤマヒコが持っていた剱です。
その他、字は違いますが、「十掬剱<トツカツルギ>」という、読み方は全く同じの「剱」も古事記には出ております。
このように考えると、最初にイザナギが持っていた「十拳剱」とヤマヒコが持っていた「十拳剱」は字は同じなのですが、どうも同一のものではないように思われます。だって、スサノヲが持っていた剱はアマテラスによって
“打折三段而<ミキダニ ウチオリテ>”
とあるように、この時、三つに折られ、「剣」として使い物にはならなくなってしまっているはずですから。無くなっていたのだろうと思われます。
”破御佩之十拳剱<ミハカシノ トツカツルギヲ ヤブリテ>”
持っていた十挙剱を「破<ウアブリテ>」打ち壊してです。宣長は「銷鑠<ケス>」だと説明があります。辞書によりますと、「銷」は「とける」で、「鑠」は「金属を溶かす」という意味があるのだそうです。
要するに、持っていた刀を溶かして鉤<ツリバリ>を五百本も作って借りた鉤の代償として手渡します。
此処で又横道へそれます。火遠理命が五百もの鉤を作った「十拳剱」というのは「古事記」には何回も出てきます。が、御存じでしょうか???
まず初出は、「イザナギ」がその子「迦具土神」の頸を切った剱です。次は、そのイザナギがイザナミの黄泉の国から逃げ出る時に黄泉の軍勢を切り倒した時に使った剱です。また、アマテラスが宇気比<ウケヒ>をする時に使ったスサノヲの「剱」もそうですし、そのスサノヲが大蛇退治をする時に使った剱もそうです。それと、このヤマヒコが持っていた剱です。
その他、字は違いますが、「十掬剱<トツカツルギ>」という、読み方は全く同じの「剱」も古事記には出ております。
このように考えると、最初にイザナギが持っていた「十拳剱」とヤマヒコが持っていた「十拳剱」は字は同じなのですが、どうも同一のものではないように思われます。だって、スサノヲが持っていた剱はアマテラスによって
“打折三段而<ミキダニ ウチオリテ>”
とあるように、この時、三つに折られ、「剣」として使い物にはならなくなってしまっているはずですから。無くなっていたのだろうと思われます。