有田農産の破綻が意味するもの
性急な6次産業化とは
鹿児島県曽於郡大崎町の野菜生産・販売の農業生産法人「有田農産有限会社」 が7月9日付けで、破産開始を決定を受けた。
負債総額は約12億円と報道されている。
2001年に設立の同社は、大根・キャベツ・里芋など野菜の生産・販売を主力に事業を展開するほか、洗浄・皮むき・カットによる加工販売にも進出するなど事業を拡大していた。
だが集荷施設および加工施設の新設に伴う借入金が資金繰りを逼迫したため、今回の措置に至った模様である。
この破産が注目されるのは、投資事業、ファンド運営の株式会社ドーガン・インベストメンツ(福岡市、森大介社長)が2008年11月,7億円規模の農業関連向けファンド「アグリクラスターファンド」を通じて、青果生産販売の有田農産有限会社(有田通文社長)に2億円の投資を実行。同ファンドの投資第1号だったことだ。
しかも、この 「アグリクラスターファンド」は、鹿児島銀行のほか、鹿児島県内の有力企業で小正醸造株式会社、坂元醸造株式会社、薩摩酒造株式会社、株式会社新日本科学、株式会社タイヨー、株式会社南九州ファミリーマートなど、鹿児島の代表的な企業が出資し2008年8月に設立されたものだったことだ。
鹿児島、宮崎、熊本といった南九州の農業、健康、環境、観光関連企業を対象に投資を通じて支援しているからだ。
鹿児島県の第一次産業(農業・林業・水産業)比率は全国平均の3倍、農業産出額は全国4位と,第一次産業が地域経済に与える影響は非常に大きい。
ただ、今回の破綻は、性急な6次産業化、特に不慣れな加工事業が、全国から先進事例と注目されたが、そうは簡単でないことを知らしめる。又、行政、金融支援にも、やはり慎重さを求める大きな課題を残したのではないだろうか。
いずれにしても農業県鹿児島にとって残念な結果である。
*有田農産有限会社のホームページより
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