20年前、文学科の先輩に連れて行ってもらって、ここは著名な作品に登場する団子屋だ、と教えられ何とも旨かった記憶が残っていた。最近は芋坂の店以外でも販売されていると聞き、御徒町で買い求めた。素朴な味であるが、際だって旨いなあとは思わなかったのは、舌が鈍ったのか、肥えたのか。
◆この茶店は「藤の木茶屋」とよばれて江戸のころからの老舗なのである。団子を売る茶店で、その団子のきめのこまかさから羽二重団子とよばれて往還を通るひとびとから親しまれている。(司馬遼太郎:坂上の雲より)◆「行きませう。上野にしますか。芋坂へ行って團子を食いましょうか。先生あすこの團子を食ったことがありますか。奥さん一辺行って食って御覧。柔らかくて安いです。酒も飲ませます。」と例によって秩序のない駄辯を揮っているうちに主人はもう帽子を被って沓脱へ下りる。(夏目漱石:吾輩は猫であるより)
◆この茶店は「藤の木茶屋」とよばれて江戸のころからの老舗なのである。団子を売る茶店で、その団子のきめのこまかさから羽二重団子とよばれて往還を通るひとびとから親しまれている。(司馬遼太郎:坂上の雲より)◆「行きませう。上野にしますか。芋坂へ行って團子を食いましょうか。先生あすこの團子を食ったことがありますか。奥さん一辺行って食って御覧。柔らかくて安いです。酒も飲ませます。」と例によって秩序のない駄辯を揮っているうちに主人はもう帽子を被って沓脱へ下りる。(夏目漱石:吾輩は猫であるより)