昨日は雨の中文楽劇場へ。
「妹背山婦女庭訓」の通し公演。
今回の「通し」狂言は単純に順番になっていない。
3段目と4段目が人気のあるところなので、それを分散させたのだろう。
昨日は第2部を見た。
お三輪がメインになるところ。
「鹿殺しの段」「掛乞の段」「万歳の段」はごく軽い。
「爪黒の鹿を殺す」のは入鹿誅殺の一つの道具立てなんだな。
特に肩も凝らず、あっさり聞けた。
「芝六忠義の段」。
咲大夫はあまりアクがなくて聞きやすい。
ただそれで、ちと眠くもなった。
筋としても入り組んでいて、少し分かりづらいところがある。
弟に手紙を持たせて、その手紙を元に自分が捕まる、とか。
自分で名乗り出たらダメなの?
「夜明けの鐘」が2つの意味合いで使われているところはよく出来ていると思うが。
「石子詰めの刑」とか幕切れの詞章とか、
この芝居が「奈良名所」の案内になっているのがよく分かる。
「杉酒屋の段」。
求馬(実は藤原淡海)を巡る橘姫とお三輪の鞘当。
そのあたりの台詞が面白い。
お三輪は勘十郎なのだが、
どうも肩が動き過ぎる感じがした。
そこまでクネクネさせなくても良いかな、という感じ。
「道行恋苧環」。
道行きなのだが、どうもあまり義太夫っぽくないな。
きれいな詞章ではあるのだが。
「鱶七上使の段」。
内容的には、特にどうということはない段だな。
入鹿の傲慢さ、鱶七の大きな動きが面白かった。
津駒大夫の声も良い。
「姫戻りの段」。
橘姫の出で「されば恋する身ぞつらや」と聞くと
当然「よーさこーい」と頭に浮かぶ。
もちろん、「よーさこーい」と言いたくなる節ではなかった。
官女の下世話なところ、次の「金殿の段」とつながる感じ。
「天子様のためになるなら兄を殺す」と言うのだが、
別に「好きな人のため」だけで良いと思う。
「金殿の段」。
嶋大夫が見台にしがみついて語る。
節の付け方や語り方は「正道」ではないのかも知れないが、
力の入れ方や感情を込めるところは良い。
ただ、お三輪の息絶えるところは、
クサさが先に気になって深みはあまり感じられなかった。
勘十郎のお三輪も良かった。
豆腐買い、後のいじめ官女とのやり取りの抑え方、
恨みを持っての激しい動きなど。
この場は歌舞伎でも見たことがあるのだが、
いじめ官女は、文楽の方が良いと思った。
歌舞伎では立役がやるし、あまり綺麗なものでもないが、
文楽だと人形が憎憎しげな形でやるだけなので
割と楽しく見ることができた。
義太夫と人形の役割分担も良い感じ。
筋としては、入鹿誅殺のために罪のない女を殺す、というあたりが
個人的にはちょっとしんどい。
「やり過ぎなのでは」と感じてしまう。
意外に長く、21時前終演。
雨の中なんばから帰った。
せっかく(久し振りに)床本も買ったし、
また第1部も見ることにしようかな。
# 今回の「通し」狂言は入り組んでいて順序が分かりづらいので
wikiの情報(妹背山婦女庭訓 - Wikipedia)と突き合わせて整理。
(wikiの記事は、歌舞伎の段構成を元にしていると思われるが。)
「妹背山婦女庭訓」の通し公演。
今回の「通し」狂言は単純に順番になっていない。
3段目と4段目が人気のあるところなので、それを分散させたのだろう。
昨日は第2部を見た。
お三輪がメインになるところ。
「鹿殺しの段」「掛乞の段」「万歳の段」はごく軽い。
「爪黒の鹿を殺す」のは入鹿誅殺の一つの道具立てなんだな。
特に肩も凝らず、あっさり聞けた。
「芝六忠義の段」。
咲大夫はあまりアクがなくて聞きやすい。
ただそれで、ちと眠くもなった。
筋としても入り組んでいて、少し分かりづらいところがある。
弟に手紙を持たせて、その手紙を元に自分が捕まる、とか。
自分で名乗り出たらダメなの?
「夜明けの鐘」が2つの意味合いで使われているところはよく出来ていると思うが。
「石子詰めの刑」とか幕切れの詞章とか、
この芝居が「奈良名所」の案内になっているのがよく分かる。
「杉酒屋の段」。
求馬(実は藤原淡海)を巡る橘姫とお三輪の鞘当。
そのあたりの台詞が面白い。
お三輪は勘十郎なのだが、
どうも肩が動き過ぎる感じがした。
そこまでクネクネさせなくても良いかな、という感じ。
「道行恋苧環」。
道行きなのだが、どうもあまり義太夫っぽくないな。
きれいな詞章ではあるのだが。
「鱶七上使の段」。
内容的には、特にどうということはない段だな。
入鹿の傲慢さ、鱶七の大きな動きが面白かった。
津駒大夫の声も良い。
「姫戻りの段」。
橘姫の出で「されば恋する身ぞつらや」と聞くと
当然「よーさこーい」と頭に浮かぶ。
もちろん、「よーさこーい」と言いたくなる節ではなかった。
官女の下世話なところ、次の「金殿の段」とつながる感じ。
「天子様のためになるなら兄を殺す」と言うのだが、
別に「好きな人のため」だけで良いと思う。
「金殿の段」。
嶋大夫が見台にしがみついて語る。
節の付け方や語り方は「正道」ではないのかも知れないが、
力の入れ方や感情を込めるところは良い。
ただ、お三輪の息絶えるところは、
クサさが先に気になって深みはあまり感じられなかった。
勘十郎のお三輪も良かった。
豆腐買い、後のいじめ官女とのやり取りの抑え方、
恨みを持っての激しい動きなど。
この場は歌舞伎でも見たことがあるのだが、
いじめ官女は、文楽の方が良いと思った。
歌舞伎では立役がやるし、あまり綺麗なものでもないが、
文楽だと人形が憎憎しげな形でやるだけなので
割と楽しく見ることができた。
義太夫と人形の役割分担も良い感じ。
筋としては、入鹿誅殺のために罪のない女を殺す、というあたりが
個人的にはちょっとしんどい。
「やり過ぎなのでは」と感じてしまう。
意外に長く、21時前終演。
雨の中なんばから帰った。
せっかく(久し振りに)床本も買ったし、
また第1部も見ることにしようかな。
# 今回の「通し」狂言は入り組んでいて順序が分かりづらいので
wikiの情報(妹背山婦女庭訓 - Wikipedia)と突き合わせて整理。
(wikiの記事は、歌舞伎の段構成を元にしていると思われるが。)
wikiより | 今回の段構成 | |
---|---|---|
大序 | 大内の段 | (なし) |
春日野小松原の段 | 第一部 初段「小松原の段」 | |
蝦夷館の段 | 第一部 初段「蝦夷子館の段」 | |
第二段 | 猿沢池の段 | 第一部 二段目「猿沢池の段」 |
芝六住家の段 | 第二部 二段目「鹿殺しの段」~「芝六忠義の段」 | |
第三段 | 花渡しの段 | 第一部 三段目「太宰館の段」 |
山の段 | 第一部 三段目「妹山背山の段」 | |
第四段 | 杉酒屋の段 | 第二部 四段目「杉酒屋の段」 |
道行恋苧環 | 第二部 四段目「道行恋苧環」 | |
第五段 | 三笠山御殿(金殿)の段 | 第二部 四段目「鱶七上使の段」~「金殿の段」 |
入鹿誅伐の段 | (なし) |