昨日は昼から動楽亭へ。
開場20分くらい前に着いたが、階段の下まで並ぶ程度。
結局40人程度の入り。
ざこばが出るんだったら、もっと入ってもいいだろうになあ。
「子ほめ」(團治郎):△
特にマクラを振らずにネタに入る。
この人を見るのは何度目かになるが、どうも好感が持てない。
喜六から隠居さんに振るときに、いちいち間が空くのが不快。
悪い落研くさい。
もっとトントンと運んでいかないと、筋でウケは取りづらいと思う。
可笑しな科白で単発の笑いを取るだけになっている。
表情付けも異様にクサい。
私は嫌いではないし、ウケていたところもあったが、
今後のことを考えると、ここに頼らない方が良いと思う。
番頭さんを褒め損なった後で一度家に帰るのは、
個人的には要らないと思う。
おかみさんを一人追加で描く必要がある割に、
ここを入れたからといって面白くなるとも、
自然になるとも思えないのだが。
「禍は下」(すずめ):△+
要は三林京子なのだが、
落語を見るのは初めて。
マクラの愛嬌の振りまき方など、流石。
知名度を利用している。
本人がそれを利用したくないのであれば、もっと丁寧に考えたマクラを振るべき。
有名なオバちゃんが単にうだうだ言っている、レベルのお喋りになっている。
小声でも非常によく通る。
全体に早口+間を大きめに取るリズムで、
落語のリズムとは少し違う。
プロの噺家っぽくない。
人物描写など、これも何となく落語の世界の「丁稚」「旦那」「お妾さん」とは
少し異なるのだが、
まあ、これはこれでありかな。
謹厳実直そうな顔をした旦那が、お妾さんの家の戸を叩く際に相好を崩すところが、
卑猥でだらしなくて面白かった。
魚屋が悪意を持って丁稚に「目刺し」などを売っているように見えたのだが、
個人的には「話の行き違い」で良いのでは、と思う。
御寮人さんは、旦那がお妾さんを置いているのは
どの程度知っているのだろうか。
この日は、最初は特に疑いもせず丁稚に訊いているように見えた。
全体に、まあ、面白かった。
ただこのネタ、あまり構成が良いとは思えんな。
魚の件が出て、そこで一度御寮人さんが納得した後で、
さらに袴の件が出てくるあたり、
どうもごちゃごちゃする印象。
「阿弥陀池」(こごろう):○-
夫婦の会話のマクラ。
ネタは、全体に陽気で良い。
おっさんもイチビってギャグを言っている空気が愉快。
アホを乗せるために、トントンと運んでいた。
「デコに小判」「馬の耳に餞別」なんてギャグも言おうとしていたらしい。
尼さんは胸をはだけず、
単に左胸の下を指差して「さあ、過たずここを撃て」と言っていた。
個人的には胸をはだける設定の方が、アホを引き込む上では効果的なので、
良いと思う。
エロに聞こえるから避けたのかも知れないが。
1軒目でのギャグは少し削っている印象。
重ねていくという意味では弱いが、
一つ一つのギャグで大きくウケをとっていこうとする作り方。
これはこれで悪くないかな。
「魚釣竿」の引っ張り方は少しクサいか。
「心猫を一突き、ニャア」は自然だし良かった。
2軒目はトントンと。
家の男が泣くところも派手で良かった。
最後は、家の男が怒ってアホの首を絞める、
アホが苦し紛れに「阿弥陀が行け」と言う
枝雀風のもありかな、と思う。
「らくだ」(ざこば):○
「義兄弟」みたいなマクラからネタに入る。
ここで「らくだ」を掛けてくれたことで満足、ではある。
細かい科白廻しなどで、違和感は覚える箇所はけっこうあったのだが、
ざこばの気が熊、紙屑屋などに投影されていて、
それはそれで良いのかな、という気になる。
熊は特に恐しい、という感じでもない。
どこかに「堅気の人に迷惑を掛けてはいけない」自制心があって
紙屑屋とも相対している印象。
堅気の衆に迷惑を掛け倒している「らくだ」の兄弟分なので、
「触れれば切られる」くらいのまともでない空気を漂わせていても良いかな、
とも思う。
「結果を帰ってきて言わなあかんやろ」など、
けっこう理詰めで紙屑屋から籠と秤を取り上げ、
あちこち使いに行かせている印象。
月番はまあまあ。
家主の場面、一度行って断られて帰ってくる、
「死人のかんかん踊り」を聞いて再度家主のところへ行き、また断られて帰ってくる、
その後、死人を担ぎ込むという流れ(3回家主のところへ行く)は
少しダラダラするなあ。
最初から「死人のかんかん踊り」を聞いて家主のところへ行き、断られる方が、
月番・家主・漬物屋と3軒回る中でのテンポを考えると、良いと思う。
漬物屋は、「既にらくだが死んだことを聞いている」方が好み。
1杯目、2杯目を紙屑屋が飲み干す様子が素晴らしい。
熊でなくても「もっとゆっくり飲め」と思う勢い。
元々熊を強く描いている訳でもないし、紙屑屋も自分を抑えている様子でもないので、
「酔いの結果、紙屑屋が本音を出し、次第に転換していく」感じは弱い。
ただ、紙屑屋の言い方、口調などに気持ちが入っており、
暗い内容であるが「自分への怒り」がメインになっているので
聞いていてあまりしんどくならずに済んだ。
紙屑屋の独り喋りの途中で鼻血を出してしまい、
途中で切ってしまったのが残念。
「稲荷俥」(米平):△
マクラからきっちり喋っているが、華はないなあ。
少し噛むところあり。
このネタとしては、まあ、悪い出来ではなかったと思う。
分かりにくいネタだが、客や車夫など、クサ目に人物描写しており、
内容は伝わっていた。
おかみさんが薄い。
もう少し正直っぷりに呆れている方が、
後で儲けた時の喜びとの落差が出るのではないだろうか。
まあ、悪戯が悪い方向に回った、
正直者が儲けた、という程度の趣向ネタだな。
「肝つぶし」(千朝):△
リズム(緩急の付け方、間の空け方)が変。
千朝のリズムであり、会話のリズムや落語のリズムに聞こえん。
オリジナルっちゃあオリジナルだが、不自然。
3段階の誤解はきちんと伝えられていたと思う。
そのあたりの科白は考えられているのだろう。
帰宅してからの台詞回しも、
以前聞いた時ほどあちこち飛んでいる感じはしなかった。
飲んで話す時には既に妹を殺す覚悟が出来つつあると私は思っている
(眠らせるために酒を飲ませている)のだが、
そんな感じでもなかったし、
どこで殺す決意をしたのか、イマイチ見えない。
サゲで「良かった」を入れる。
前も感じたが、やはり好みではない。
ただ以前に見た時に比べると、
「良かった」を入れる理屈も、何となく分かった。
個人的にはそれでも、
あのサゲは男の感情だけでなく、
ネタの世界全体を引っ繰り返す、いかにも落語的なサゲであり、
そこに理屈付けするものではない、と感じる。
開場20分くらい前に着いたが、階段の下まで並ぶ程度。
結局40人程度の入り。
ざこばが出るんだったら、もっと入ってもいいだろうになあ。
「子ほめ」(團治郎):△
特にマクラを振らずにネタに入る。
この人を見るのは何度目かになるが、どうも好感が持てない。
喜六から隠居さんに振るときに、いちいち間が空くのが不快。
悪い落研くさい。
もっとトントンと運んでいかないと、筋でウケは取りづらいと思う。
可笑しな科白で単発の笑いを取るだけになっている。
表情付けも異様にクサい。
私は嫌いではないし、ウケていたところもあったが、
今後のことを考えると、ここに頼らない方が良いと思う。
番頭さんを褒め損なった後で一度家に帰るのは、
個人的には要らないと思う。
おかみさんを一人追加で描く必要がある割に、
ここを入れたからといって面白くなるとも、
自然になるとも思えないのだが。
「禍は下」(すずめ):△+
要は三林京子なのだが、
落語を見るのは初めて。
マクラの愛嬌の振りまき方など、流石。
知名度を利用している。
本人がそれを利用したくないのであれば、もっと丁寧に考えたマクラを振るべき。
有名なオバちゃんが単にうだうだ言っている、レベルのお喋りになっている。
小声でも非常によく通る。
全体に早口+間を大きめに取るリズムで、
落語のリズムとは少し違う。
プロの噺家っぽくない。
人物描写など、これも何となく落語の世界の「丁稚」「旦那」「お妾さん」とは
少し異なるのだが、
まあ、これはこれでありかな。
謹厳実直そうな顔をした旦那が、お妾さんの家の戸を叩く際に相好を崩すところが、
卑猥でだらしなくて面白かった。
魚屋が悪意を持って丁稚に「目刺し」などを売っているように見えたのだが、
個人的には「話の行き違い」で良いのでは、と思う。
御寮人さんは、旦那がお妾さんを置いているのは
どの程度知っているのだろうか。
この日は、最初は特に疑いもせず丁稚に訊いているように見えた。
全体に、まあ、面白かった。
ただこのネタ、あまり構成が良いとは思えんな。
魚の件が出て、そこで一度御寮人さんが納得した後で、
さらに袴の件が出てくるあたり、
どうもごちゃごちゃする印象。
「阿弥陀池」(こごろう):○-
夫婦の会話のマクラ。
ネタは、全体に陽気で良い。
おっさんもイチビってギャグを言っている空気が愉快。
アホを乗せるために、トントンと運んでいた。
「デコに小判」「馬の耳に餞別」なんてギャグも言おうとしていたらしい。
尼さんは胸をはだけず、
単に左胸の下を指差して「さあ、過たずここを撃て」と言っていた。
個人的には胸をはだける設定の方が、アホを引き込む上では効果的なので、
良いと思う。
エロに聞こえるから避けたのかも知れないが。
1軒目でのギャグは少し削っている印象。
重ねていくという意味では弱いが、
一つ一つのギャグで大きくウケをとっていこうとする作り方。
これはこれで悪くないかな。
「魚釣竿」の引っ張り方は少しクサいか。
「心猫を一突き、ニャア」は自然だし良かった。
2軒目はトントンと。
家の男が泣くところも派手で良かった。
最後は、家の男が怒ってアホの首を絞める、
アホが苦し紛れに「阿弥陀が行け」と言う
枝雀風のもありかな、と思う。
「らくだ」(ざこば):○
「義兄弟」みたいなマクラからネタに入る。
ここで「らくだ」を掛けてくれたことで満足、ではある。
細かい科白廻しなどで、違和感は覚える箇所はけっこうあったのだが、
ざこばの気が熊、紙屑屋などに投影されていて、
それはそれで良いのかな、という気になる。
熊は特に恐しい、という感じでもない。
どこかに「堅気の人に迷惑を掛けてはいけない」自制心があって
紙屑屋とも相対している印象。
堅気の衆に迷惑を掛け倒している「らくだ」の兄弟分なので、
「触れれば切られる」くらいのまともでない空気を漂わせていても良いかな、
とも思う。
「結果を帰ってきて言わなあかんやろ」など、
けっこう理詰めで紙屑屋から籠と秤を取り上げ、
あちこち使いに行かせている印象。
月番はまあまあ。
家主の場面、一度行って断られて帰ってくる、
「死人のかんかん踊り」を聞いて再度家主のところへ行き、また断られて帰ってくる、
その後、死人を担ぎ込むという流れ(3回家主のところへ行く)は
少しダラダラするなあ。
最初から「死人のかんかん踊り」を聞いて家主のところへ行き、断られる方が、
月番・家主・漬物屋と3軒回る中でのテンポを考えると、良いと思う。
漬物屋は、「既にらくだが死んだことを聞いている」方が好み。
1杯目、2杯目を紙屑屋が飲み干す様子が素晴らしい。
熊でなくても「もっとゆっくり飲め」と思う勢い。
元々熊を強く描いている訳でもないし、紙屑屋も自分を抑えている様子でもないので、
「酔いの結果、紙屑屋が本音を出し、次第に転換していく」感じは弱い。
ただ、紙屑屋の言い方、口調などに気持ちが入っており、
暗い内容であるが「自分への怒り」がメインになっているので
聞いていてあまりしんどくならずに済んだ。
紙屑屋の独り喋りの途中で鼻血を出してしまい、
途中で切ってしまったのが残念。
「稲荷俥」(米平):△
マクラからきっちり喋っているが、華はないなあ。
少し噛むところあり。
このネタとしては、まあ、悪い出来ではなかったと思う。
分かりにくいネタだが、客や車夫など、クサ目に人物描写しており、
内容は伝わっていた。
おかみさんが薄い。
もう少し正直っぷりに呆れている方が、
後で儲けた時の喜びとの落差が出るのではないだろうか。
まあ、悪戯が悪い方向に回った、
正直者が儲けた、という程度の趣向ネタだな。
「肝つぶし」(千朝):△
リズム(緩急の付け方、間の空け方)が変。
千朝のリズムであり、会話のリズムや落語のリズムに聞こえん。
オリジナルっちゃあオリジナルだが、不自然。
3段階の誤解はきちんと伝えられていたと思う。
そのあたりの科白は考えられているのだろう。
帰宅してからの台詞回しも、
以前聞いた時ほどあちこち飛んでいる感じはしなかった。
飲んで話す時には既に妹を殺す覚悟が出来つつあると私は思っている
(眠らせるために酒を飲ませている)のだが、
そんな感じでもなかったし、
どこで殺す決意をしたのか、イマイチ見えない。
サゲで「良かった」を入れる。
前も感じたが、やはり好みではない。
ただ以前に見た時に比べると、
「良かった」を入れる理屈も、何となく分かった。
個人的にはそれでも、
あのサゲは男の感情だけでなく、
ネタの世界全体を引っ繰り返す、いかにも落語的なサゲであり、
そこに理屈付けするものではない、と感じる。