
昨日は「十三寄席」へ。
仕事で大阪市内に出て直帰、という形になったので
丁度良かった。
ただ、早く着き過ぎ。
仕方なく早めの夕食ということで、飲みに入る。
18時開場のはずが、開場時間が延びる。
入場者の捌き方も拙い。
落語会に行き慣れている人間としては
ちとイライラする。
落語会そのものは良かったので満足。
「雑俳」(さろめ):△
「あやめの弟子」といったマクラからネタへ。
言葉からして上方落語ではない。
女の子がご隠居のところに飛び込んでくる、という設定。
これはこれで、まあ、一つの手かも知れない。
ただ、隠居のツッコミが時にキツく聞こえたり、
飛び込んでくる女の子の人物像があまり描写(設定)されていないと感じたりして、
登場人物の自然な会話として楽しめなかった。
記号的。
女の子については、
「自分が女性だから人物描写などしなくても良いだろう」と
思っているのかも知れないが、
どう聞かせるかは別の話だから、手を抜くのはマズいだろう。
サゲは上手く処理していたと思う。
「青空散髪」(市楼):○-
部分部分の発音や発声の仕方が、時に亡き染語楼に似る。
口の形が似ているのだろう。
若い人だが、このアナクロなネタに割と合っていたと思う。
ところどころで語尾が早くなったり、
散髪屋が若くなったりしているが、
このあたりはもっと繰って欲しい。
「夏祭浪花鑑」(八天):○-
要は「土橋萬歳」。
芝居がかりの部分を
かなり本格的に「長町裏」をなぞってやっている。
八天の描く丁稚は可愛らしさと背伸びしている感じが
丁度良いバランスで好み。
番頭の生真面目さはよく出ていたが、
もう少し丁稚→手代→番頭ときっちり勤め上げてきたからこそ、の
手堅さ、小心さのような背景があると良いと思う。
若旦那はイマイチだなあ。
心底まで茶屋酒が滲み込んでいる極道息子の風情が欲しい。
最初に番頭と分かった時の反応、
その後の話を聞いて「じゃかましい」で爆発するまでは、
内心では怒りを持ちつつ、芸人の手前口先では宥めすかし、
下手から穏やかに出る方が良いと思う。
その方がついに怒りを抑え切れなくなって
「じゃかましい」の爆発が効くだろう。
「追いはぎじゃ」の後の番頭のずれた諫言を聞いた若旦那の
最初の反応がちと薄い。
先ほど上がってこられた時に比べて、
さらに内心の怒りは大きいと思うのだが。
鞘走り、立ち回りになる。
見得の仕方、裏向きに決まるところや、
水で足を洗ったり、
切った後でだんじりを背景に聞きながら頬かむりするところなど、
「長町裏」をかなり丁寧になぞっている。
ただ個人的には、正面切って「夏祭浪花鑑」とタイトルに付けるのは、
ちと野暮ったいと思ってしまうなあ。
分かる人だけなぞっていると分かれば良いと思う。
夢から醒め、「客席参加型」として
客席と一緒に大阪締めをしてサゲに入る。
サゲは「親の顔に泥は塗りたくない」だが、
まあ、それでもいいかな。
「猿後家」(八方):◎-
マクラから虚実の皮膜を突いてくる。
表情などで愛嬌を振りまく訳ではないが、
如何にも芸人の匂いを感じる。
ネタは、最初の若い人間の楽しむ様子が素晴らしい。
だいたいこのネタは、
女性の顔を貶すのがメインになる、
ことによると見ていて不愉快になりかねないネタだと思う。
ただ、八方の表現するこの若い人間の
楽しげな表情・声が如何にも無責任で、
そんな道徳的なことなどは考えずに済んだ。
本来の落語の在り方は、こんなものかも知れない。
伊勢参りに行くために金を集める件なし。
嫌な人間だと思われている、という印象を与えずに済むので
良いと思う。
言い立ては若干怪しい。
「狒々」も言い間違いは途中に入れ、
サゲは「木から落ちた猿同様」にしていた。
その言い間違いをすることはないだろう、とも思うが、
まあ、分かりやすくて悪くないと思う。
「君よモーツァルトを聴け」(八天):△+
あまり出来の良いネタとは思えん。
モーツァルトの没後200年に合わせた時事ネタだったのかな。
ところどころ、オリジナルのギャグを入れており、悪くない。
「舌を巻きつけた、あーら凄いわね」なんて
後輩が入れていたギャグを思い出した。
根本的には、
「父親が尊敬されていない」ことに対して何かしたい、というベースが弱いことと、
そもそもこの気持ちに感情移入できないことから、
特に良いネタと思えないのだろう。
家に帰ってから間違いも別に面白いと思えんし。
終わってから抽選会。
特に当たらず。