土曜は久し振りに田辺寄席へ。
「じっくりたっぷり」があまり好みとは言えない人だったり、
スケジュールが合わなかったりしたので少し足が遠のいていた。
ちょうど1年ぶりか。
開口0番(文太)
「野球」について、子どもの頃の思い出など。
「時うどん」(文太):△+
マクラは二俣川(横浜?)での仕事の話。
文太のマクラはネタっぽいところがあって
少し引いた目で聞いてしまうことが多いのだが、
このマクラは体験談を上手く話しており、
感情もよく込められていて面白かった。
ネタは「唄」「都都逸」込み。
全体にきっちりやっているのだが、あまりウケていなかった。
2軒目は不味い店ではあるが、さほど強調はしない。
アホの作り方など、以前はキツいと感じることもあったのだが、
そのあたりは聞きやすく、自然な感じに作られていた。
半分残ったうどんを食うアホが「自分の世界に入る」とか言って遊ぶのは、
文太らしいっちゃらしいのだが、あまり好みではない。
最近よく聞く「時間の間違い」を強調するやり方ではなく、
さらっと「宵も早く出てきよった」とか
うどん屋が「口明け」と言ったりする程度で、
これは好み。
「あこがれの人間国宝」(たま):△+
今日の仕事の話などをマクラに振ってネタへ。
文楽の説明や設定(舞台で主遣いが倒れた時の対応)など、
文楽を知っている人間としてはいろいろ引っ掛かるところがある。
まあ、面白く作っていると言えばそうだが。
特に「おかみさん」の造型に違和感がある。
ギャグとして「聞き取れたり聞き取れなかったりする」とか
「通訳が先に出てくる」とか、
ベタではあるが面白い。
通訳を挟むとリズムが悪くなるところは直接喋るように
台詞回しを作っているあたり、よく考えられていると思う。
落語界の人間国宝に対する皮肉は、
やはりこのネタのメインではなさそうだな。
軽く言ってはいたけど。
「胴斬り」(文太):△+
侍の話、乞食の試し斬りのネタをマクラに振ってネタへ。
これもきっちりしており、科白の乱れ・間の狂いもない。
特に突拍子のないギャグなどはないが、安心して聞ける。
又はんが急に強くなるところの転換でウケていたが、
斬られた晩の、
斬られて胴と足が分かれていることによる様々なギャグには
全体的にあまり反応がなかった。
「足の三里に灸を据える」とか「血肉を分けた兄弟」、
サゲできちんと反応があったので、
きちんと筋は伝わっていたのだと思う。
「三象おどり」(三象):△+
最初にいろいろ喋っているのはたぶん全てネタなんだろうが、
本人のキャラクターと相俟ってよくウケる。
痛々しいと感じてしまうところ、無きにしも非ず。
語尾が流れるところ、訛りなどが味になっているので、
落語もそれなりに聞けると思うのだが。
微妙に咳が出ることがあり、少し肺や気管支の具合が心配。
踊りは要は当て振りで、
個人的には化粧などに気持ち悪さが先に立ってしまうところがある。
後ろの松羽目と相俟って、
本人が言う通り「ヘルスセンターの営業」に一瞬見えるなあ。
色替りとしては良いけれど、
田辺寄席の前の方の席で見ると、正直、少ししんどい。
「子はかすがい」(たま):○-
上方の「女の子別れ」パターン。
女友達が仲介に入れるところがメリットだと思う。
子どもの年齢設定がよく分からない。
けっこう邪気があるのだが、
個人的にはけっこう無邪気に作る方が好み。
ここは子どもを演じている、というより、
演者が演者のまま喋っている感じ。
細かい台詞回し・設定など、いろいろ工夫されている。
例えば「50銭もらった」ことは隠さずいきなり父親に見せるとか、
「うなぎ屋に行く」話を父親が知る持っていき方が、
「おとっつぁん、おかんと同じようなこと言っているな、次はうなぎか」と言い、
それを「うなぎって何や」と父親が受ける、とか、
「両方温いままにするにはどうするか」と母親に聞くところから
「戻ったら両方温いままにできる」と女友達がもっていく流れとか。
また、個人的に好みではないが、
戻ってくるあたりの「亀のためというより、ワシのため」といった話の積み重ね方など、
上手く作っていると思う。
全体に、女友達に喋らせ過ぎていたり、
ちとクサい台詞回しなどは個人的には気にはなるが、
よくウケていた。