先週金曜は繁昌亭の「雀松向上委員会」へ。
あまり安いとは言えない会なので、トリイホールでの会も含めて行くのは初めて。
雀松のネタ、ゲストの梅團治の「荒茶」が気になったので行ってみた。
「雀松時遊本舗」(雀松)
出囃子が、かつて「枝雀寄席」で
最初に枝雀がフリートークのために出てくる際のもの。
そのあたりの意識が若干あるのかな。
米朝アンドロイドの話、泉佐野市の命名権売却の話。
前者はありがちなネタだと思うが、まあ面白かった。
後者はもう少し考える必要がありそう。
爆発力のある売却先を考えるか、
全く違う視点を入れるか、が必要かな。
「米揚げ笊」(喬介):△
本人のアホのニンで押してくる。
ここはニンで、まあ、悪くないのだが、
全体には非常に雑。
アホが急いでいる人の袖を掴んだ時、
掴まれた側も相手の袖を掴んでいるように見えるのが変。
笑福亭らしく手紙を扇子でやっていたが、
相手が喋っている時も懐から覗くのには違和感がある。
別に手拭でやってしまえば良いのに。
堂島の旦那の風格も全くなく、
「普段風格がある人間が、ゲンの良いことを言ってもらって喜ぶ」ベースがないので、
何が何やら分からない。
後で「下がる」話を言われた時の戻り方も弱くなる。
「10円札1枚→2枚→100円→…」と金額で増やして
最後は「金庫」まで。
まあ、金額で増やして徐々にウケを取れれば自然で良い、とも感じるが、
「家」やら「妹」やら「嫁」やら「自分」やら言う方が
無茶で面白いかな、とも思う。
「蛇含草」(雀松):△+
昔経験した仕事の話を軽くマクラで振って、ネタへ。
上がってきて「涼しいもの」を言い立てていく際の位置の想定、
餅の食べ方など、
丁寧に作られてはいる(いちいち歯をせせるのはあまり好みではない)のだが、
個人的にはあまり満足できなかった。
このネタは「夏の暑さ」が根本にあり、
その上に「涼しい家」があり、
さらにその上に、よりによって夏場に「餅を食べる」暑苦しさがある、
という多層構造が必要なのかな、と感じるのだが、
「暑さ」を感じさせる要素が弱い。
それはこの人の口調であったり、
動きの大仰さが足りなかったりするところから、だろう。
何といっても、餅が頭の中まで詰まっている暑苦しさが欲しいのだが、
そのあたりのちょっと体を動かすのも大儀な感じ、
重心が下がっている雰囲気が乏しい。
言葉でサゲていた。
雀松には合ったサゲ方かも知れないが、
やはり仕草落ちの方が好み。
「荒大名の茶の湯」(梅團治):△
車の運転距離の話などからネタへ。
期待していたのだが、まあ、期待通りとは言えないな。
何といっても、トチリや噛みが多過ぎて入り込めない。
それがなければ、雰囲気としては合っていると思うので、勿体ない。
落語としてやるにはもう少し地の文を減らすべきだと思うが、
このあたりは講釈ダネをそのままやっている感じがする。
情景描写がけっこう多いので、減らすのはなかなか難しいだろうが、
少なくとも茶碗を回していくところ、
大名の名を何度も言う必要がない、と見切ればもう少し減らせると思う。
清正の髭を見て、隣(浅野だったっけ?)が一度飲んだのを吐くところ、
「ゲロゲロ」まで言わずに、
単に「口に入れたのを戻した」で良いと思う。
そこまで汚くする必要はないだろう。
客を巻き込む喋り方や間の取り方などは流石だが、
ネタとして完結したものには、まだなっていない印象。
「宇治の柴舟」(雀松):△+
# パンフには「柴船」と書かれていたが、
正しくは「柴舟」だろう。
マクラは健診や病気の話。
雀三郎の話、さもありなん。
このネタ、生で見るのは初めて。
「崇徳院」と同じ発端で、病に臥せった若旦那に熊さんが理由を尋ねる。
「恋煩い」だが、絵の女に惚れた、という話。
養生に宇治に行ったところ、急な雨があり、
雨宿りしている女がこの絵の女と同じ。
送っていくようなふりをして、途中で思いのたけを打ち明けたが
「夫がある身」ということで断られ、切ってしまったが…という話。
熊さんが若旦那に病気の理由を聞き出すあたりのやり取りは
「崇徳院」と若干異なる科白もあるが、
これはこれで面白い言葉もある。
「瓶に蓋がしてある」といったあたりなど。
ただ、宇治に行った後の設定は何が何やらよく分からないところがある。
療養に行った先で若い男女が出会う、
告白し、断られて切る、といった芝居がかった設定であり、
このあたりを多少大仰にやらないと、最後の転換が効かないだろう。
例えば舟の中での会話の場面を入れて世話物っぽくする、
といった手はあるかも知れない。
雀松の出来としては
熊さんの空気、若旦那や親旦那との絡みも面白かったし、
宇治に行ってからもしっとりした情感が出ていたので悪くなかったと思う。
最後に軽く抽選会。
あまり安いとは言えない会なので、トリイホールでの会も含めて行くのは初めて。
雀松のネタ、ゲストの梅團治の「荒茶」が気になったので行ってみた。
「雀松時遊本舗」(雀松)
出囃子が、かつて「枝雀寄席」で
最初に枝雀がフリートークのために出てくる際のもの。
そのあたりの意識が若干あるのかな。
米朝アンドロイドの話、泉佐野市の命名権売却の話。
前者はありがちなネタだと思うが、まあ面白かった。
後者はもう少し考える必要がありそう。
爆発力のある売却先を考えるか、
全く違う視点を入れるか、が必要かな。
「米揚げ笊」(喬介):△
本人のアホのニンで押してくる。
ここはニンで、まあ、悪くないのだが、
全体には非常に雑。
アホが急いでいる人の袖を掴んだ時、
掴まれた側も相手の袖を掴んでいるように見えるのが変。
笑福亭らしく手紙を扇子でやっていたが、
相手が喋っている時も懐から覗くのには違和感がある。
別に手拭でやってしまえば良いのに。
堂島の旦那の風格も全くなく、
「普段風格がある人間が、ゲンの良いことを言ってもらって喜ぶ」ベースがないので、
何が何やら分からない。
後で「下がる」話を言われた時の戻り方も弱くなる。
「10円札1枚→2枚→100円→…」と金額で増やして
最後は「金庫」まで。
まあ、金額で増やして徐々にウケを取れれば自然で良い、とも感じるが、
「家」やら「妹」やら「嫁」やら「自分」やら言う方が
無茶で面白いかな、とも思う。
「蛇含草」(雀松):△+
昔経験した仕事の話を軽くマクラで振って、ネタへ。
上がってきて「涼しいもの」を言い立てていく際の位置の想定、
餅の食べ方など、
丁寧に作られてはいる(いちいち歯をせせるのはあまり好みではない)のだが、
個人的にはあまり満足できなかった。
このネタは「夏の暑さ」が根本にあり、
その上に「涼しい家」があり、
さらにその上に、よりによって夏場に「餅を食べる」暑苦しさがある、
という多層構造が必要なのかな、と感じるのだが、
「暑さ」を感じさせる要素が弱い。
それはこの人の口調であったり、
動きの大仰さが足りなかったりするところから、だろう。
何といっても、餅が頭の中まで詰まっている暑苦しさが欲しいのだが、
そのあたりのちょっと体を動かすのも大儀な感じ、
重心が下がっている雰囲気が乏しい。
言葉でサゲていた。
雀松には合ったサゲ方かも知れないが、
やはり仕草落ちの方が好み。
「荒大名の茶の湯」(梅團治):△
車の運転距離の話などからネタへ。
期待していたのだが、まあ、期待通りとは言えないな。
何といっても、トチリや噛みが多過ぎて入り込めない。
それがなければ、雰囲気としては合っていると思うので、勿体ない。
落語としてやるにはもう少し地の文を減らすべきだと思うが、
このあたりは講釈ダネをそのままやっている感じがする。
情景描写がけっこう多いので、減らすのはなかなか難しいだろうが、
少なくとも茶碗を回していくところ、
大名の名を何度も言う必要がない、と見切ればもう少し減らせると思う。
清正の髭を見て、隣(浅野だったっけ?)が一度飲んだのを吐くところ、
「ゲロゲロ」まで言わずに、
単に「口に入れたのを戻した」で良いと思う。
そこまで汚くする必要はないだろう。
客を巻き込む喋り方や間の取り方などは流石だが、
ネタとして完結したものには、まだなっていない印象。
「宇治の柴舟」(雀松):△+
# パンフには「柴船」と書かれていたが、
正しくは「柴舟」だろう。
マクラは健診や病気の話。
雀三郎の話、さもありなん。
このネタ、生で見るのは初めて。
「崇徳院」と同じ発端で、病に臥せった若旦那に熊さんが理由を尋ねる。
「恋煩い」だが、絵の女に惚れた、という話。
養生に宇治に行ったところ、急な雨があり、
雨宿りしている女がこの絵の女と同じ。
送っていくようなふりをして、途中で思いのたけを打ち明けたが
「夫がある身」ということで断られ、切ってしまったが…という話。
熊さんが若旦那に病気の理由を聞き出すあたりのやり取りは
「崇徳院」と若干異なる科白もあるが、
これはこれで面白い言葉もある。
「瓶に蓋がしてある」といったあたりなど。
ただ、宇治に行った後の設定は何が何やらよく分からないところがある。
療養に行った先で若い男女が出会う、
告白し、断られて切る、といった芝居がかった設定であり、
このあたりを多少大仰にやらないと、最後の転換が効かないだろう。
例えば舟の中での会話の場面を入れて世話物っぽくする、
といった手はあるかも知れない。
雀松の出来としては
熊さんの空気、若旦那や親旦那との絡みも面白かったし、
宇治に行ってからもしっとりした情感が出ていたので悪くなかったと思う。
最後に軽く抽選会。