昨日は繁昌亭の昼席へ。
夜に福笑との二人会を控えている昇太が出る、ということと、
他のメンバーも、まあ、トータルで見れば悪くないかな、と思ったので。
「松山鏡」(三段):△-
初めて見た。
吉本の「47都道府県芸人」の話がマクラ。
島根県の観光大使らしいが、北海道出身だそうな。
特にきちんとオチていないマクラからネタに入る。
東京弁でネタをやっているが、全体に「お話」っぽく、
言葉の面では特に違和感はない。
親孝行な男が特に親孝行っぽく見えないし、
奉行も奉行らしくない。
上方落語ではないし、師匠は特に何も見ていないのかも知れない。
何のために弟子に取ったのかはよく分からないけど。
お話が伝わって、笑いが起きてはいた。
あと、いちいち鏡を引っ繰り返してみるところ、
少し鬱陶しい気もしないではない。
鏡を手にとる動きを入れたかった
(箱を覗くだけで人が見えるようにすると、あまり変化が出ない)
のかも知れないので、良し悪し、ではあるが。
「湯屋番」(笑丸):△
マイクに顔を寄せたりする喋り方、表情の付け方、
如何にも営業慣れした、セコ芸人の雰囲気。
マクラから様々な営業での経験談や失敗談をしていき、
まあ、面白いが、人物によって声色を少し変え過ぎるきらいがある。
ネタは不自然過ぎ。
間の取り方、強弱の付け方、仕草のオーバーさなど、
若旦那などの登場人物が喋っているようには見えない。
個人的には「落語」でなく「笑丸」という色物だ、と思って見ていたので、
ウケを取ろうとクサく、オーバーに、不自然にやっていても、
まあ良いかな、と思って見ていられた。
「まんじゅうこわい」(八天):△+
「オチのある恐い話」をマクラに振る。
ここは良かったのだが、
その後ネタに入る前に「夕涼み」の話をいろいろ振るのは拙い。
マクラのウケで途切れ、ネタにつながらなかった。
八天のこのネタは以前も見たが、トチリが多い。
今回も「好きなもの」の尋ね合いの中で「二番目が蛇」と
「恐いもの」の話を入れてしまうもの。
以前も「好きなもの」と「恐いもの」の話をごっちゃにするトチリをしていた気がする。
気の入れ方が拙いのではないかなあ。
「はちみつは嫌い」という微妙なことを言ってウケをとって、
どうにか調子を取り戻していた。
その後も細かいギャグを入れており、
そこそこハマったもの、引かれたもの
(竹さんの好きなもの「男」恐いもの「そんな自分の気持ち」、など)
があった。
繁昌亭用にいろいろ手を付けている様子。
饅頭を集める時には饅頭の名前を呼ばずに
後で食べる時だけ入れており、これは悪くないか。
個人的には「饅頭で暗殺」の件がなかったのは残念。
「太神楽」(二重丸):△
初めて見た。男女コンビ。
ピンマイクを付けているのだが感度が良く、声が大きく聞こえ過ぎる。
2人のクサさと相俟って、ちとしんどい。
技術的には大したことはなく、ミスも散見された。
撥を2人で取るところで押したり叩いたりする絡みは、まあまあ面白く見られた。
「犬の目」(純瓶):○-
マクラから落ち着きがない。
勢いがあると言えばそうで、この日は空回りせず、よく受け容れられていた。
いつもは「いらち俥」を演る人らしいのだが、
ギックリ腰、ということで「犬の目」。
落ち着きのない口調で早口であるが、それが勢いにつながり、
よくウケていた。
聞き慣れている「犬の目」に比べて
「やたら奥まったところで開業している」「患者が少ない」
「いろいろなミスをする」など、
「薮医者」の面が強い印象。
「目」に関する慣用句など、クスグリも多く、面白かった。
どちらかと言えば下手な人ではあるのだろうが。
「いつも落ち着いている」という助手を矢鱈と慌てて見せるあたり、
この「慌てている」ところが他の場面と落差がなかったので
あまりウケは取れていなかった。
ここは勿体なかったかな。
「転宅」(九雀):○-
先日岡町で聞いた時とほぼ同じ。
お妾さんの描写がややクサいが、これはこれで良いと思う。
タバコ屋の説明は先日に比べて整理されていた印象だが、
盗人が振り回される感じは少しおとなしくなってしまったようにも感じる。
難しいところだなあ。
盗人が家を出たところでハメを入れているのだが、
個人的には入れなくても良いのでは、と思う。
選曲の問題かも知れないが、
ハメを入れることで夜の物静かな雰囲気が損なわれたようにも感じるし。
「漫談」(ナオユキ):○
ややだらしない恰好で、ふらふらと上がってくる。
ブルースというかヒップホップというか、音楽的なリズムでぼやくような高座。
ネタそのものは呑み屋で聞いた話にツッコミを入れるなどベタなものなのだが、
この音楽的なリズムが快く、よくウケていた。
「権助魚」(昇太):○
にこやかに上がってくる。
夜福笑との二人会がある、といった話で「困り」を中心にしたマクラで
客と近付いており、よくウケていた。
「山に住んでいる人は、刺身などを食べずに一生を終えることもある」てな話を
マクラに振っていて、なるほど、と思った。
あまりその視点でこの権助を捉えることがなかったので。
ネタは、若干早口で聞き取りにくいところもあった。
おかみさん、権助、旦那とも濃い目に描いている。
権助が非常に楽しそう。
魚屋はやや恐い感じ。
「鰊・スケソウダラ」「目刺し」「蛸」「かまぼこ」。
個人的には「蛸」は入れない方が良いかな、という感覚。
次第に無茶苦茶になっていく流れの中で、
この「蛸」は目刺しに比べてそこまで無茶でもないと思う。
実際、「蛸」の件ではあまりウケていなかった。
全体に、決して上手くはないが、
根本的に「面白いことを伝えたい」「楽しんで欲しい」気持ちを持つ人で、
マクラにしてもネタにしてもその気持ちを込めて喋ることで温かさが伝わり、
受け容れられ、よくウケている、という印象。
# 追い出し後、繁昌亭の前で私服で写真撮影などに応じていたのだが、
本当に「どこにでもいる、気の良い兄ちゃん」という感じだった。
少なくとも50代には見えなかった(笑)
「青菜→勘定板」(染弥):△
吉本興業での営業の話からネタへ。
「青菜」を始めたのだが、
仕込みの段階でおかみさんが「菜を九郎判官義経」まで言い、
それに重ねて旦那がサゲの「弁慶」まで言ってしまったので、中止。
「義経」まで言ってしまっても「弁慶」さえ言わなければどうにかなったかも知れないが、
まあ、それも難しいか。
その後「勘定板」へ。
「青菜」の失敗が残っていたためか、
最初の「閑所」や「閑所板」の説明が流れてしまっていた印象。
ネタは、まあ、どうってことのない代物。
店の人が上に取りに行くのではなく、
田舎の人が算盤に乗せて下に持ってくるのは初めて見た。
上でやったときに小便が垂れるところは少しクドくやっていたが、
大便の方は特に「臭い」といった話も強調せず、さらっと流していた。
汚いこのネタで、これはまだマシなやり方かも知れない。
「EBI」(仁智):△
染弥のトチリを受けて様々なトチリの話、
東京と大阪のベタな比較のマクラを振ってネタへ。
名古屋のエビフライ、大阪の串カツなど、
様々なエビが出てきてそれぞれのギャグ・クスグリを言い、
「エビとカニの対決」の場面で終わる、というネタ。
エビに関するギャグも散漫・単発であり、次第に盛り上がるものでもない。
あまり出来の良いネタとは思えない。
あと、仁智の喋り方も早口であるがトチリ・言い直しが多く、
すっと流れず、聞きづらく感じた。
夜に福笑との二人会を控えている昇太が出る、ということと、
他のメンバーも、まあ、トータルで見れば悪くないかな、と思ったので。
「松山鏡」(三段):△-
初めて見た。
吉本の「47都道府県芸人」の話がマクラ。
島根県の観光大使らしいが、北海道出身だそうな。
特にきちんとオチていないマクラからネタに入る。
東京弁でネタをやっているが、全体に「お話」っぽく、
言葉の面では特に違和感はない。
親孝行な男が特に親孝行っぽく見えないし、
奉行も奉行らしくない。
上方落語ではないし、師匠は特に何も見ていないのかも知れない。
何のために弟子に取ったのかはよく分からないけど。
お話が伝わって、笑いが起きてはいた。
あと、いちいち鏡を引っ繰り返してみるところ、
少し鬱陶しい気もしないではない。
鏡を手にとる動きを入れたかった
(箱を覗くだけで人が見えるようにすると、あまり変化が出ない)
のかも知れないので、良し悪し、ではあるが。
「湯屋番」(笑丸):△
マイクに顔を寄せたりする喋り方、表情の付け方、
如何にも営業慣れした、セコ芸人の雰囲気。
マクラから様々な営業での経験談や失敗談をしていき、
まあ、面白いが、人物によって声色を少し変え過ぎるきらいがある。
ネタは不自然過ぎ。
間の取り方、強弱の付け方、仕草のオーバーさなど、
若旦那などの登場人物が喋っているようには見えない。
個人的には「落語」でなく「笑丸」という色物だ、と思って見ていたので、
ウケを取ろうとクサく、オーバーに、不自然にやっていても、
まあ良いかな、と思って見ていられた。
「まんじゅうこわい」(八天):△+
「オチのある恐い話」をマクラに振る。
ここは良かったのだが、
その後ネタに入る前に「夕涼み」の話をいろいろ振るのは拙い。
マクラのウケで途切れ、ネタにつながらなかった。
八天のこのネタは以前も見たが、トチリが多い。
今回も「好きなもの」の尋ね合いの中で「二番目が蛇」と
「恐いもの」の話を入れてしまうもの。
以前も「好きなもの」と「恐いもの」の話をごっちゃにするトチリをしていた気がする。
気の入れ方が拙いのではないかなあ。
「はちみつは嫌い」という微妙なことを言ってウケをとって、
どうにか調子を取り戻していた。
その後も細かいギャグを入れており、
そこそこハマったもの、引かれたもの
(竹さんの好きなもの「男」恐いもの「そんな自分の気持ち」、など)
があった。
繁昌亭用にいろいろ手を付けている様子。
饅頭を集める時には饅頭の名前を呼ばずに
後で食べる時だけ入れており、これは悪くないか。
個人的には「饅頭で暗殺」の件がなかったのは残念。
「太神楽」(二重丸):△
初めて見た。男女コンビ。
ピンマイクを付けているのだが感度が良く、声が大きく聞こえ過ぎる。
2人のクサさと相俟って、ちとしんどい。
技術的には大したことはなく、ミスも散見された。
撥を2人で取るところで押したり叩いたりする絡みは、まあまあ面白く見られた。
「犬の目」(純瓶):○-
マクラから落ち着きがない。
勢いがあると言えばそうで、この日は空回りせず、よく受け容れられていた。
いつもは「いらち俥」を演る人らしいのだが、
ギックリ腰、ということで「犬の目」。
落ち着きのない口調で早口であるが、それが勢いにつながり、
よくウケていた。
聞き慣れている「犬の目」に比べて
「やたら奥まったところで開業している」「患者が少ない」
「いろいろなミスをする」など、
「薮医者」の面が強い印象。
「目」に関する慣用句など、クスグリも多く、面白かった。
どちらかと言えば下手な人ではあるのだろうが。
「いつも落ち着いている」という助手を矢鱈と慌てて見せるあたり、
この「慌てている」ところが他の場面と落差がなかったので
あまりウケは取れていなかった。
ここは勿体なかったかな。
「転宅」(九雀):○-
先日岡町で聞いた時とほぼ同じ。
お妾さんの描写がややクサいが、これはこれで良いと思う。
タバコ屋の説明は先日に比べて整理されていた印象だが、
盗人が振り回される感じは少しおとなしくなってしまったようにも感じる。
難しいところだなあ。
盗人が家を出たところでハメを入れているのだが、
個人的には入れなくても良いのでは、と思う。
選曲の問題かも知れないが、
ハメを入れることで夜の物静かな雰囲気が損なわれたようにも感じるし。
「漫談」(ナオユキ):○
ややだらしない恰好で、ふらふらと上がってくる。
ブルースというかヒップホップというか、音楽的なリズムでぼやくような高座。
ネタそのものは呑み屋で聞いた話にツッコミを入れるなどベタなものなのだが、
この音楽的なリズムが快く、よくウケていた。
「権助魚」(昇太):○
にこやかに上がってくる。
夜福笑との二人会がある、といった話で「困り」を中心にしたマクラで
客と近付いており、よくウケていた。
「山に住んでいる人は、刺身などを食べずに一生を終えることもある」てな話を
マクラに振っていて、なるほど、と思った。
あまりその視点でこの権助を捉えることがなかったので。
ネタは、若干早口で聞き取りにくいところもあった。
おかみさん、権助、旦那とも濃い目に描いている。
権助が非常に楽しそう。
魚屋はやや恐い感じ。
「鰊・スケソウダラ」「目刺し」「蛸」「かまぼこ」。
個人的には「蛸」は入れない方が良いかな、という感覚。
次第に無茶苦茶になっていく流れの中で、
この「蛸」は目刺しに比べてそこまで無茶でもないと思う。
実際、「蛸」の件ではあまりウケていなかった。
全体に、決して上手くはないが、
根本的に「面白いことを伝えたい」「楽しんで欲しい」気持ちを持つ人で、
マクラにしてもネタにしてもその気持ちを込めて喋ることで温かさが伝わり、
受け容れられ、よくウケている、という印象。
# 追い出し後、繁昌亭の前で私服で写真撮影などに応じていたのだが、
本当に「どこにでもいる、気の良い兄ちゃん」という感じだった。
少なくとも50代には見えなかった(笑)
「青菜→勘定板」(染弥):△
吉本興業での営業の話からネタへ。
「青菜」を始めたのだが、
仕込みの段階でおかみさんが「菜を九郎判官義経」まで言い、
それに重ねて旦那がサゲの「弁慶」まで言ってしまったので、中止。
「義経」まで言ってしまっても「弁慶」さえ言わなければどうにかなったかも知れないが、
まあ、それも難しいか。
その後「勘定板」へ。
「青菜」の失敗が残っていたためか、
最初の「閑所」や「閑所板」の説明が流れてしまっていた印象。
ネタは、まあ、どうってことのない代物。
店の人が上に取りに行くのではなく、
田舎の人が算盤に乗せて下に持ってくるのは初めて見た。
上でやったときに小便が垂れるところは少しクドくやっていたが、
大便の方は特に「臭い」といった話も強調せず、さらっと流していた。
汚いこのネタで、これはまだマシなやり方かも知れない。
「EBI」(仁智):△
染弥のトチリを受けて様々なトチリの話、
東京と大阪のベタな比較のマクラを振ってネタへ。
名古屋のエビフライ、大阪の串カツなど、
様々なエビが出てきてそれぞれのギャグ・クスグリを言い、
「エビとカニの対決」の場面で終わる、というネタ。
エビに関するギャグも散漫・単発であり、次第に盛り上がるものでもない。
あまり出来の良いネタとは思えない。
あと、仁智の喋り方も早口であるがトチリ・言い直しが多く、
すっと流れず、聞きづらく感じた。