ダーチャ訪問ツアー報告の途中ですが……。
夏休みの宿題になっていたプロコフィエフの短編小説のひとつ
『毒キノコのお話』を昨日完訳。
かつてない不思議な余韻に浸っております。
「ターニャは5歳の女の子。あるとき森で赤いキノコを拾いますが、
家族は毒キノコだといって相手にしてくれません。
数日後、チョウチョを追って森に迷い込んだターニャは、
人間の言葉を話す、赤いキノコに出会います。
その〝ベニテングダケ17号〟に導かれ、地中のキノコ帝国へ…。」
…という、子供向けの平易なお話。
ありがちな物語では、冒険から現実の世界に戻った子供は
家族に温かく迎えられ、やっぱりおうちが一番!となるのだが、
そうは問屋が卸さないのがプロコフィエフ。
子供の夢はぴしゃりと打ち砕かれ、突き放されたまま終わるのだ。
ミもフタもない。救いがない。展開が読めない。残酷で辛らつ。
これらはプロコフィエフのいくつかの短編に共通するもので、
正直これまであまり共感できなかったのだけれど、
このお話の結末には、じわりと納得できるものがある。
というのも、ほかの作品の主人公たちはオトナなので、
これも人生、と読者もまた突き放すしかないのだが、
気まぐれで無作法で懲りない5歳の少女には、
したたかな未来が待っていることを予感させるからだ。
そして特筆すべきは、この作品には音と色があること。
はっきりと書き分けられたキャラクターは
それぞれに音色をもち、ときに合唱する。
またプロコフィエフの短編では、モノのディテールが
書き込まれることは極めて稀なのだが、
この作品では「色」が事細かに指定されている。
まるで、音楽劇を想定して書いたかのようなのである。
この作品、単独で絵本にしても面白いかも…。
夏休みの宿題になっていたプロコフィエフの短編小説のひとつ
『毒キノコのお話』を昨日完訳。
かつてない不思議な余韻に浸っております。
「ターニャは5歳の女の子。あるとき森で赤いキノコを拾いますが、
家族は毒キノコだといって相手にしてくれません。
数日後、チョウチョを追って森に迷い込んだターニャは、
人間の言葉を話す、赤いキノコに出会います。
その〝ベニテングダケ17号〟に導かれ、地中のキノコ帝国へ…。」
…という、子供向けの平易なお話。
ありがちな物語では、冒険から現実の世界に戻った子供は
家族に温かく迎えられ、やっぱりおうちが一番!となるのだが、
そうは問屋が卸さないのがプロコフィエフ。
子供の夢はぴしゃりと打ち砕かれ、突き放されたまま終わるのだ。
ミもフタもない。救いがない。展開が読めない。残酷で辛らつ。
これらはプロコフィエフのいくつかの短編に共通するもので、
正直これまであまり共感できなかったのだけれど、
このお話の結末には、じわりと納得できるものがある。
というのも、ほかの作品の主人公たちはオトナなので、
これも人生、と読者もまた突き放すしかないのだが、
気まぐれで無作法で懲りない5歳の少女には、
したたかな未来が待っていることを予感させるからだ。
そして特筆すべきは、この作品には音と色があること。
はっきりと書き分けられたキャラクターは
それぞれに音色をもち、ときに合唱する。
またプロコフィエフの短編では、モノのディテールが
書き込まれることは極めて稀なのだが、
この作品では「色」が事細かに指定されている。
まるで、音楽劇を想定して書いたかのようなのである。
この作品、単独で絵本にしても面白いかも…。