瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

2018年、クリスマスには歌を歌おう♪その4

2018年12月24日 17時12分34秒 | クリスマス
はぁい♪ミス・メリーよ♪
いよいよ今夜はクリスマス・イブ!楽しいクリスマス・パーティーの準備は出来てるかしら?
御一人様でも大丈夫、ネットさえ繋がれば、見知らぬ世界の誰かとチャットが楽しめるんだから、良い世の中になったわ~。
そういえば今年の12月初め、ポケベルサービスを来年9月に終了するってニュースが流れたけど、貴方は「ポケベル」って知ってる?
ポケベル=ポケットベルは、無線呼び出しで相手にメッセージを送るシステムにより、携帯電話普及以前にヒットした小型通信機器の呼称。
ポーケーベールが♪ 鳴らなくてー♪…なんて歌が1993年日本レコード大賞新人賞に選ばれるくらい、当時の学生の間ではブームになったのよ~。
そのポケベルが、遂に日本で完全終了するなんて、諸行無常ねえ…。

「日本の少女漫画に登場するクリスマスエピソード」、第四夜目の今回紹介するのは、そのポケベルに纏わるクリスマスの奇跡物語。
やぶうち優女史著作、フラワーコミックス「新水色時代」3巻に収録された――「ひとりぼっちの季節」よ!

1991~1994年まで小学館が発行する少女雑誌「ちゃお」にて連載された「水色時代」。
真っ白な子供時代と青春時代の間、「水色時代」…ヒロイン河合優子が小学校高学年~中学校を卒業するまでの、主に友情や恋愛模様を描いた事でヒットした漫画は、その後も続シリーズが度々発表される等したの。
「新水色時代」はヒロインの河合優子が自分の水色時代を元に書いた小説って趣旨で、1996~1997年まで同雑誌にて連載されたリメイク作品。
ただ今回紹介する「ひとりぼっちの季節」は、「新水色時代」と銘打った単行本に収録されてるものの、作者の説明によると無印「水色時代」世界の物語らしいの。
ちょっと、ややこしいわね。
それと「ひとりぼっちの季節」では、河合優子でなく、親友の高幡多可子こと「タカちゃん」がヒロイン。
つまり、スピンオフ作品って事ね。
長い説明はここまで、こっからが本題である、「ひとりぼっちの季節」の筋書よ!

これはタカちゃんが、優子と親友関係になる前…小学校6年生時代のお話――その頃のタカちゃんはクリスマスが嫌いだった。
だって周りが賑やかで楽しそうで、余計に自分が独りな事を感じてしまうから。
タカちゃん家はパパママ共に忙しく、普段殆ど顔を合わせないの。
パパは単身赴任、ママは海外へしょっちゅう出掛けるほど売れっ子デザイナー、お陰で家の暮らしは裕福で、タカちゃんは欲しい物全部買って貰えてた。
羨ましいけど、何だか寂しそうな家庭ねえ。
タカちゃんはママからお土産買って貰う度に、クラスで見せびらかしては友達に分けたげてたので、彼女の周りには何時だって人の輪が出来てたの。
「いいなータカちゃんは!カッコ良いお母さんが居て、何でも買って貰えて」
そんな風にクラスの女子達から羨ましがられるのは快感、だからタカちゃんはママからのプレゼントを見せびらかす事を止められない。
今、タカちゃん達の間で欲しい物ベスト1はポケベル、今年のクリスマスプレゼントとして、親にお願いしてるコは多いの。
でも大抵の親は、「子供がポケベル持つのは早過ぎます!」なんて言って、買ってくれないんですって。
「タカちゃんの親ならポケベルだって買ってくれそう」って、クラスの女子の一人が羨望を籠めて彼女に言ったの。

学校が終わって家に帰ったタカちゃんを出迎えたのは、ママからの留守電メッセージ…これは何時もの事。
仕事で忙しいママは昼休み位しか電話出来ないから。
でも自分が学校に行って居ない時に連絡してくるママに、タカちゃん本当はすっごく不満を持ってたの。

次の朝タカちゃんは、未だ寝室で寝ているママの所へ行って、「ポケベル買って」って頼んだの。
そしたらママ、布団に潜ったまま「朝は起こさないでって言ってるでしょ…ポケベルね、ハイハイ」って、めんどくさそーに返事したのよ…遅くまで仕事して眠いのは解るけど、ママのこの態度はいただけないわ~。
案の定タカちゃんはムカッと来たようで、ドアを思いきり叩き付けて、学校へと出掛けたわ。
タカちゃんは年齢の割りにしっかりしてるから、パパやママの仕事が忙しい事理解してるけど、でも喋る時くらいちゃんと顔を合わせて、話を良く聴いて欲しいのよね。

そのまた次の朝、タカちゃんが目を覚ますと、枕元にはママからのメモと共に、ピカピカのポケベルが――ママ、私がお願いした通り買ってくれたんだ!!――タカちゃんは大喜び!
でも…ポケベルの下に敷いてあったメモを読んだ瞬間、彼女の嬉しい気持ちは一気に萎んじゃった。

「ポケベルです。PS.今日は起こさないでね、ママ」

…あ~~~これはダメよ!絶対ダメ!
ママったらどーして余計な一言添えるの~!?
ほら御覧なさい!タカちゃん怒りの衝動から貰ったばかりのポケベルを叩き付け――ないでグッと堪えたわ!!
タカちゃん偉い!!なんて出来た子なの!!
メリーだったら親だって説教しちゃう!
でもそうよね、欲しかった物買って貰ったんだもの、一時の衝動で壊したら勿体無いだけ。
その朝、早速タカちゃんは学校へポケベルを持ってって、何時もの如くクラスの女子達に見せびらかしたの。
「わーいいなータカちゃん、ホントに何でも買って貰えるんだァー」、皆そう言って羨ましがるもんだから、タカちゃんは益々得意な顔して言ったわ。

「番号教えたげるから、皆ベルしてよね!」

それからズーッと待ったのに、誰からもかかって来なかった…。
海外のお土産を気前良くあげる事で、クラスの人気者気分を味わってたタカちゃんだけど、自慢気に見せびらかす行為なんかは周りの女子から良く思われてなかったのね。
親しいと思ってた友達全員に番号教えたのに、ウンともスンとも鳴らないポケベルは切ないわ。
今も昔も友達問題の根っ子は同じね~。
ママも相変わらず自宅の固定電話の方に、「今日も遅くなるから戸締まりちゃんとしてね」なんて、留守電メッセージを入れてるし…。
「ベル買ったんだから、ベルの方に連絡すりゃ良いのに…!」、このタカちゃんの意見には、メリーも目一杯ミートゥーするわ!
ママったら、タカちゃんがどうしてポケベル欲しがったのか、理由を考えたりしないのかしら?
考える暇も無いほど、お仕事忙しいの?

――こんな事ならベルなんか買って貰わなきゃ良かった!
――だって、ベル持ってなかった時より、余計に独りを感じるじゃない…!

目に見える形で孤独を実感するのは辛いわよね…ツイッターで自分だけリプ返して貰えなかったり、ブログのアクセス数が少なかったりで、孤独感抱いちゃうとか有るわよね!
タカちゃん哀しみを堪え切れず、とうとうポケベルを路面に叩き付けて壊しちゃったの!
あああっ!!…その気持ち解るけど、買って貰って直ぐに壊すのは、やっぱり勿体無く感じちゃう…安くなかった買い物でしょうに。(貧乏性で御免なさい)

12月24日クリスマス・イブ、タカちゃんは壊したポケベルをママに見せた。
ママは、折角買ってあげたポケベルを、どうして壊したのか訊きかけて、でも「また買えば良いわ」って諦め顔で言うと、直ぐに仕事へ戻ろうとしたの。
タカちゃんのママは、タカちゃんがやる事を殆ど怒らないし、タカちゃんが欲しがる物なら何でも買ってくれる。
多分、仕事が忙しくて構ってあげられない引け目から、せめて物理的に子供を満足させようって親心からなんでしょうね。
でもママ、そういう行為って裏目に出るものよ。
だってタカちゃんが本当に欲しがってるのは、お金で買える「物」じゃないんだから。
「どーして何にも言わないのよ!?ママは、あたしの事なんか、どーだっていいんだ…!!」
壊れたポケベル持って走り出す…んじゃなくて、御免なさい、ここはギャグ挟むとこじゃないわよね(つい暗さに耐えられなくて;汗)…壊れたポケベル持って泣きながら家を出てったタカちゃん。

――何にも買ってくんなくていい!
――留守電のメッセージなんか要らない!
――クリスマス・イブくらい、家に居てよ、ママ…!

…タカちゃんは、ママにもっと一緒に居て貰って、話を聴いて欲しかったのよね。
でもママの仕事は理解してるから、我儘言って困らせたくなかったのよ。

日が落ちて暗くなり、雪がチラホラ降り始めた外を、タカちゃんは独り彷徨う…。
どうせ家に帰っても、仕事に戻ったママは、今夜も遅くまで居ない…外でも中でも彼女にとって独りなのは変わらないわ。
気が付いたら目の前の家の灯りを、ジッと眺めてた――そこはクラスメイトの河合優子ちゃんの家。
窓に映るタカちゃんの姿に気付いた優子ちゃんは、良かったら家に来て一緒にパーティーしようって誘ったの。
優子ちゃん家のホームパーティーには、お母さんにお姉ちゃん、彼女の幼馴染みで隣に住んでる長沼博士君も参加してた。

中学校に入って親友になるタカちゃんと優子ちゃんだけど、小学生の頃はあんまり仲良くなかったの。
タカちゃんなんて実は優子ちゃんの事嫌ってたわ。
優子ちゃんの、無自覚に他人から嫌われないようにしようって性格が、タカちゃんからすれば地味に苛ついたのね。
この時も何時もの彼女だったら、同情されてる様で、感じ悪く受け取ったかも。
でもこの時のタカちゃんは、心から温かい家庭に飢えてたんでしょうね。
優子ちゃんの誘いに応じて、彼女の家にお邪魔したタカちゃんは、遅くなるまで皆とトランプをして遊んだの。
『家に帰っても、どーせ誰も居ない…』

その時――ピーピーピー!って、ポケベルから呼び出し音が!!

『嘘!?壊れてる筈なのに…!』、驚いてポケベルを取り出し確認するタカちゃん。
けど、あいにく液晶画面が割れてるせいで、誰からの連絡か読めなかった。

――もしかして、ママから…!?

居ても立っても居られなくなったタカちゃんは、優子ちゃんの家を退出し、急いで自分の家へ帰ったの。
雪が静かに舞い降りる夜、帰宅したタカちゃんの目に映ったのは、誰も居ない筈の家に温かな灯りが点る光景。

クリスマス・イブをタカちゃんと一緒に過ごす為、ママは仕事を早目に切り上げて帰って来てくれたの。
そんなママからタカちゃんへの、今年のクリスマス・プレゼントは、母子でお揃いのPHSですって。

PHSって言うのはポケベル同様、携帯電話が一般に普及する以前に流行った、小型の無線通信機器を指しての名称。
こちらも2020年7月に個人向けサービスを終了するんですって…まったく、ここ30年余り、通信機器の流行り廃りが超高速過ぎて、メリー息切れしそう。

「これだったら、お昼休みにちょっとでも話せるでしょ?ポケベル壊れちゃったし、丁度良かったかもねv」
PHS片手にママはそう言って笑ったけど、あれ?でも待って、じゃあタカちゃんのポケベルに掛けたのは……
「さっきベルを鳴らしたのは、ママじゃないの?」

――ママじゃないなら、一体誰が…?

不思議に思うタカちゃんだったけど…きっとあれはサンタクロースがママの帰りを知らせてくれたんだって考える事にしたわ。
普段彼女はサンタの存在なんて信じない、多分あれは誰かの掛け間違い…でもあのポケベルのお陰で、タカちゃんは大好きなママと久し振りにクリスマスパーティー出来たんだもん。
一番欲しいものをプレゼントしてくれるなんて、サンタクロースみたいだって、タカちゃんは思ったのよ。

クリスマスは家族で仲良く…それが最も幸せな過ごし方じゃないかしら?
…ここで第4曲目のクリスマスソングを紹介、クリスマス・イブと言えばこれよね――「赤鼻のトナカイ」♪
歌はこちらを参考にしてちょうだい♪
明日はいよいよ聖クリスマス…また一緒に楽しくクリスマスソングを歌いましょ♪



【赤鼻のトナカイ】




真っ赤なお鼻の♪
トナカイさんは♪
何時も皆の♪
笑いもの♪

でも♪ その年の♪
クリスマスの日♪
サンタのお爺さんは♪
言いました♪

暗い夜道は♪
ピッカピッカの♪
お前の鼻が♪
役に立つのさ♪

何時も泣いてた♪
トナカイさんは♪
今宵こそはと♪
喜びました♪


真っ赤なお鼻の♪
トナカイさんは♪
何時も皆の♪
笑いもの♪

でも♪ その年の♪
クリスマスの日♪
サンタのお爺さんは♪
言いました♪

暗い夜道は♪
ピッカピッカの♪
お前の鼻が♪
役に立つのさ♪

何時も泣いてた♪
トナカイさんは♪
今宵こそはと♪
喜びました♪



…こんばんは、びょりです。
やぶうち優先生の絵を最初に見た時、竹本泉先生に似てるなって思いました。
今はすっかり少女漫画テイストに変わりましたが、ひょっとしたら昔ファンで影響受けたのかもなって。
「水色時代」は小学館発行の学習誌、「小学六年生」でも連載してたとの事。
小学生のお悩み相談的な内容が、雑誌のコンセプトにぴったり合致したのでしょう。
しかしこのタカちゃんスピンオフストーリー、パパの存在が希薄で気になる…。
ポケベルは自分の場合、結局持たないままで終わったので、どんな物かも良く解らない謎の機体です。
最近の流行り廃りほんと速過ぎ!

写真は横浜ランドマークタワーのクリスマスツリー。
今年は雪を降らせる演出付だったそうですが、私が行った時は残念ながら「やらない日」でした。



今夜は青鼻のトナカイ「チョッパー」の誕生日でもある。
チョッパー、ハッピーバースデー♪
コメント (2)
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