瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

2018年、クリスマスには歌を歌おう♪その6

2018年12月26日 22時25分23秒 | クリスマス
はぁい♪ミス・メリーよ♪
日本のクリスマスは精々25日までだけど、本当のクリスマスは今夜からの十二夜を指すって、毎年言ってるわよね。
というわけでメリーのクリスマス記事もまだまだこれから!
「日本の少女漫画に登場するクリスマスエピソード」、第六夜目の今回は、白泉社発行「パタリロ!」第23巻に収録されてる――「6世一人旅」を紹介するわ。

魔夜峰央氏著「パタリロ!」は、1978年~「花とゆめ」など白泉社系の少女漫画誌にて連載しているロングランギャグ漫画。
若干10歳ながら常春のマリネラ王国々王の座に座る、パタリロ・ド・マリネール8世。
そのパタリロが、有り余る金と権力と頭脳と生命力でもって、時にイギリスの諜報機関MI6、或いはアメリカ中央情報局CIA、はたまた国際ダイヤモンド輸出機構を巻き込み、世界をハチャメチャの渦に巻き込むの。
え?そんな粗筋じゃ良く解らないって?
だって正直なところ本筋なんて無い、毎回行き当たりばったりのストーリーなんだもの。
パタリロとは腐れ縁のMI6所属エージェントにして美少年殺しバンコランと、その恋人の美少年マライヒと、パタリロ直属武官部隊タマネギ達という、基本的人間関係さえ押さえてれば、初見でも充分面白く読めると思うわ。

但し、今夜紹介するエピソードには、通常レギュラーであるバンコランやマライヒやタマネギ部隊は登場しないの。
或る時、パタリロは御先祖のパタリロ6世になって、魔界の大魔王アスタロト様に仕えてる夢を見るのね。
夢の世界で魔界の追っ手から逃れる最中、主人であるアスタロト様に見捨てられ、一人で旅を続けるってとこから、「6世一人旅」のお話は始まるの。

一先ずパタリロ6世は、アスタロト様が逃げてった方へ歩いて行き、天の助けか、と或る町に辿り着いた。
そこで彼は持ち前の狡賢さを発揮、質屋で金目の物を掏った上に、パン屋では詐欺を働き小腹を満たした。
更に、悪質で下劣な商売人をタコ殴りにしていたそこへ、ボロ着姿の見知らぬ老人が止めに入ったの。
老人はパタリロ6世がパン屋で詐欺行為を働いたのを見て、不正を止めるように諭す積もりで、後を尾けて来たんですって。
老人は「腹が減ってるなら、わしが晩飯をご馳走しよう」と言い、パタリロ6世を1泊1ドルの木賃宿へと連れてったの。
そこの食堂は一流ホテルから残飯を仕入れてる為、激安料金な割りに味はデリシャスだった。
満足して落ち着いたパタリロ6世は、老人が旅装姿で居るのに気付き、旅の目的を尋ねたの。
老人が言うには「今年初め、大切な物を盗まれた」そうで、それを探して津々浦々旅して廻ってるんですって。

二人が会話してる最中、先程パタリロ6世がタコ殴りにした商売人が、ボスを引き連れ食堂へ乱入したの。
ボス、と言っても随分若い、まだ少年にしか見えなかったけど、食堂に居る客達が言うには、この辺りを取り締まってるギャング団のトップなんですって。
少年ボスはパタリロ6世から「詰まらん物売り付けられた為にヤキを入れた」との事情を聞くと、「今回は大目に見てやるが、以後気を付けろよ!」と威圧し、大勢の子供達を付き従えて去ってった。
食堂の客達が教えてくれた話によると、「亡くなった初代ボスからシマを継いだ少年ボスは、町の孤児を取り纏めて子分にしている」らしいわ。
その話を聞いた老人は、「あんなやくざな少年の所に居ったら、あの子達に碌な事は無い」と言い、渋い顔を見せたけど、町の大人達は「親が居ないんだから仕方ない」と、他人事の様に返すだけだった。
みーんな貧乏だから、子供達を助ける余裕なんて無いんだわ。
「わしは子供が大好きなんじゃ。不幸な子供を見ると胸が痛む」
…この御老人、余程子供が好きなのねェ。

その頃、少年ボスは、隣町を仕切る敵対組織のボスと顔を合わせてた。
「悪い事は言わん。俺の手下になれ。副組長にしてやるぞ」
成る程、敵のボスは、相手がまだ少年と見縊り、この機会にシマを奪おうって魂胆なのね!
勿論そんな話に乗る少年ボスじゃないわ。
「こいつらだって、後5、6年もすれば、立派な兵隊になる」と強がる少年ボスの周りを、子供ながら度胸の据わった部下達が取り巻いてる。
若者の威圧感に負けた敵対組織の老ボスは、「後で吠え面かくなよ!」と捨て台詞を残して退散したの。

敵ボスの態度から、不穏な気配を感じ取った少年ボスは、部下の一人に組員を集めるよう指示を出した。
「隣町の奴等がちょっかいを出して来るかもしれない、今夜から町を見回る」
少年ボスから指示を受けた部下は、何処で手に入れたのか、ヤクザ稼業に似合わない派手派手しい服を着込んでた。
「こないだ流れ者のこそ泥からカツアゲした服なんすが、えらく丈夫で鋏でも切れないし、火も点かないんすよ…」
見れば、前開きの真っ赤な生地に、真っ白い綿の縁取り…何だか何処かで見た服ねえ?
部下が語る話は大変不思議なものだったけど、今の少年ボスの頭には敵対組織との抗争の件しか入らないわ。
そういう訳でこの奇妙な服の話は、少年ボスによって打ち切られてしまったの。

同日深夜、所変わって木賃宿では、皆が寝静まった中、そっと起き出して大声を上げようとした老人が、パタリロ6世に見付かり理由を吐かされてたわ。

「全ては盗まれた物を取り返す為…
 皆が寝静まった所を見計らい、大声で『火事だー!!!』と叫ぶんじゃ。
 すると皆が自分の大切な物を持って逃げ出そうとする。
 泥棒が居れば盗品を持ち出すじゃろう。
 それを見張っていて、取り返す積りだったんじゃ!」

呆れた事に老人は旅の間中、ずっとこんな事を繰り返してたんですって。
泥棒心理に詳しいパタリロ6世が、「泥棒が盗品を何時までも持ち歩く訳が有るか!」と言葉を返せば、老人は「その心配は無用」と胸を張ったの。
「盗まれたのは、わしの服じゃが、一度袖を通したら、あまりの着心地の良さに二度と手放せなくなる」
「だからって、そんな事をしながら世界中廻る積りか!?」
「あの服が無いと困るんじゃ!」
二人が言い争ってるそこへ、「火事だー!!!」との大声が外から聞こえて来たわ!

「…爺さん…まさか…」と、疑いの目を向けたパタリロ6世に、「冗談はよしこちゃん!」と否定する老人。
犯人は胡散臭い老人ではなく、隣のシマを仕切るボスの手下だった。
パタリロ6世ら宿に泊まる客が、慌てて木賃宿から飛び出せば、外は一面火の海!!
どうやらガソリン撒かれて火を点けられたようね…。
燃え盛る炎で建物が焼け落ちてく様を見た少年ボスは、「町を見回ってる間に足元を掬われた…!」と悔しがった。
でも今は何より町の人達の命が大事よ!
堅気の町人達と共同で消火活動に励む傍ら、少年ボスは組員に点呼を取らせ、全員揃ってるかを確認させた。
すると――「トニー坊やが居ない!!」――年少組のトニーが逃げ遅れてる事に気付いたの!
トニーを助ける為、火柱上がる建物の中へ入ろうとする少年ボス、そんな事をすれば二人揃って丸焼けジュウジュウよ!!
若者の命を無駄にするわけにはいかぬと、老人のフライングネックブリーカードロップが鮮やかに炸裂!!――ダウンする少年ボス!
「離せ!トニーを助けるんだ!!」
「無駄じゃ!君まで焼け死んでしまうぞ!」
「あの子達は皆孤児で親父が引き取ったんだ!
 オレにとっては兄弟同然の子供達だ!
 トニーが死んだら火事を起こした隣町の奴等と一緒にきさまもブッ殺してやる!」
泣きながら罵る少年ボスの頬に、老人の怒りの張り手が飛んだ。

「君がヤクザ稼業を続ける限り、これからも子供達に災難が降り掛かる!
 それは君の責任だ!」

少年ボスにそう説教した老人は、先刻、焼け出された部下から奪い返した赤い服を手にすると、パタリロ6世が止める間も無く、火の渦へと入って行ったの…。

暫くして天から季節外れの雪が降り始めた。
雪は直ぐに吹雪へと変わり、紅蓮に包まれた建物を純白に染め替え、すっかり鎮火させるやピタリと止んだの。
「爺さん!!あんた何者だ!?」
パタリロ6世が焼け残った建物の中へ入ると、そこにはトニー坊やが横たわってた。
後から駆け付けた少年ボスと部下達が、抱き上げてトニーの無事を確認し歓声を上げる…無事で良かったわァ~~!
それもこれも全て不思議な老人のお陰ね!
一体あの老人は何者なのかしら?

「ここじゃ、ここじゃ!」――老人を捜すパタリロ6世が、高所から聞こえて来た声に誘導され見上げると、焼け焦げた屋根の上には紅白の服を身に纏った老人の姿――赤い生地に白い綿で縁取られた服…何処かで見た格好だと思ったら、サンタクロースのコスチュームだったのね!!

「ブーツも帽子もここに有った、取り返せて良かったよ。
 これでないと格好がつかんのでな。」

信じられない光景を目にし、町の人達は声も出ないほど驚くばかり。
そりゃそうよ、小汚い老人の正体が、サンタクロースだなんて。
メリーはてっきり流離のタイガーマスクかと思ったわ。
サンタクロースのお爺さんは、少年ボスの方へ顔を向けると、彼を諭す様に言ったの。

「君自身と子供達の為に、危ない世界から足を洗いなさい。
 世界中の子供達が幸せになる事が、わしの願いなんじゃ。」

お爺さんの言葉に少年は涙を浮かべ、「はい」と頷いた。
サンタクロースは少年に「約束じゃよ」と念押しし、パタリロ6世や町の人達が見詰める中、トナカイが牽くソリに乗って、大空へ飛び去ってったの…。

…何だか良い話ね~~。(パタリロの夢の中の話だけど)
今日はイギリスで「ボクシング・デー」と呼ばれる日、クリスマスを祝う事が出来なかった人達に寄付をする日なんですって。
また、クリスマスも忙しく働いてた人達を労う日でもあるわ。

ここで第6曲目のクリスマスソングを紹介、1930~40年代にアメリカ西部劇で活躍した俳優であり、シンガーソングライターのジーン・オートリー。
彼とオークリー・ホールドマンの共作で、ジーンが1947年に歌って流行した――「Here Comes Santa Claus(サンタクロースがやって来る)」!
カントリー調の音楽が耳に心地良い名曲なの、どんな歌かはこちらを参考にね♪
世界中の子供達に楽しいクリスマスを届けよう――優しいサンタのお爺さんの願いよ。

それじゃあまた、明日も楽しくクリスマスソングを歌いましょう♪



【Here Comes Santa Claus(サンタクロースがやって来る)】




Here comes Santa Claus♪ 
Here comes Santa Claus♪
Right down Santa Claus Lane♪

Vixen and Blitzen♪
And all his reindeer♪  
Are pulling on the reins♪

Bells are ringing♪
Children singing♪
All is merry and bright♪
 
Hang your stockings and say your prayers♪
Cause Santa Claus comes tonight♪


Here comes Santa Claus♪
Here comes Santa Claus♪
Right down Santa Claus Lane♪

He's got a bag that is filled with toys♪
For the boys and girls again♪

Hear those sleigh bells jingle jangle♪
What a beautiful sight♪
   
Jump in bed, cover up your head♪
Cause Santa Claus comes tonight♪

Bells are ringing♪
Children singing♪
All is merry and bright♪

Hang your stockings and say your prayers♪
Cause Santa Claus comes tonight♪



【訳】

サンタクロースがやって来るよ
サンタクロースがやって来るよ
直ぐ近くにね

ヴィクセンやブリッツェン
トナカイみんなでソリを引っ張って

鈴は鳴り
子供達は歌う
何もかも楽しく輝いて

靴下吊るして、お祈りしよう
だって今夜、サンタクロースがやって来る


サンタクロースがやって来るよ
サンタクロースがやって来るよ
直ぐ近くにね

玩具でいっぱいの袋を持って
またやって来るよ、少年少女達の為に

ソリの鈴がリンリン鳴る
なんて美しい眺め

ベッドへ飛び込み、布団を被ろう
だって今夜、サンタクロースがやって来る

鈴は鳴り
子供達は歌う
何もかも楽しく輝いて

靴下吊るして、お祈りしよう
だって今夜、サンタクロースがやって来る



…こんばんは、びょりです。
少女漫画界のこち亀「パタリロ!」、最近漫画喫茶で読み直したら、止まらなくなって困りました。
「パタリロ!」22巻から始まるアスタロト編は、作者の別作「アスタロト」の世界を舞台に、パタリロが客演するシリーズ。(いや、パタリロ世界でアスタロトが客演してるのか?)
魔夜先生の他作品のキャラが時々パタリロの世界に登場したり、その逆でパタリロが他作品に登場したり…魔夜先生的にパタリロと言うキャラは動かし易いのでしょうか?
最早、作者の代理人的ポジションかも…(と言うと作者的には嫌に思うそうです)

今夜の写真はポンパドールで買ったクリスマスパン。
クリスマスシーズンは可愛いデザインの食品が売られて楽しい♪
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