土曜日に財布を落とした。
老人性痴呆のはじまりなんだろうか.
気持ちは落ち込み、身体から力も抜けた。
自分を責めても、なにも生まれないと、ひたすら気分転換を心がけた。
あちこち電話して手配した。現金より、カード紛失のほうが怖い。
月曜日、まずは免許証の再交付が先決だとかんがえ、東陽町に行った。
手続きをすませ、新しい免許書の交付を待っていた。
自宅から電話があった。一瞬耳を疑った。そのまま交番に届けてくれた方がいたとのこと。
その方の親切心に頭がさがる。同時にやはり日本人は凄いと思った。この正直さは国民的なものであり、儒教でいう「仁」とか「礼」がまだあるということだ。
所管の警察署にいき、拾い主の方にお礼したいというと、個人情報保護法により教えることはできないとのこと。以前だったら、財布に入っていた金額の20%位をお礼しなくてはいけなかったはずだが・・。
この場を借りて、届けていただいた方に深謝いたします。感恩の意を心から表します。(FBでもお礼を書いた)
NHKのドキュメンタリーで72時間、沢山の人たちが行き交う場所で定点観測する番組がある。見たのは六本木の目抜き通りにあるトルコ料理・ケバブレストラン。24時間営業のファーストフード的なレストランなのだが、アラブ系の外国人のみならず、欧米系の人達も集まる。ケバブの肉の美味しさと、コスモポリタン的なオープンな雰囲気で四六時中にぎわいをみせている。
客はケバブだけを食べに来るわけではない。さまざまな理由、目的でその店に集まる。
そのなかで印象に残ったのは、シリアから来た若い女性のことばが忘れられない。
「日本にはテロがないでしょ。平和、安全。欲しいものがなんでもある。街がきれい。人々が礼儀正しい。日本は、素敵です」
お世辞でもこんなに列挙されたら、日本人なら誰もが喜ぶであろう。
シリア本国ではいまだにアサド政権のもと内乱は収まらない。ましてISILの台頭で不穏さは激しさを加えているときく。日常的に銃声が聞こえたり、爆発音などがあったら、ふつうの生活はできまい。心の平安は望むべくもない。
中東では、日本は平和国家として、人道支援に積極的な国として名をはせる。欧米先進国とはまったく違う評価がされ、信頼感は特別なものがあるという。
ただし、近い将来、日本はアメリカの片棒をかつぐ国家として、徐々に敵対する国家としてのイメージが醸成されていくであろう。
集団的自衛権を行使する、平和国家・日本? どんな武器使用、軍事活動を展開するか知らないが、反米テロ組織からは、日本が標的になること必定だろう。
シリアから日本へ逃れてきたあの女性たち。日本でもテロが頻発すようになれば、ふたたび流浪の旅にでるのか・・。
自衛隊から犠牲者がでることを仮定する人はおおいが、結果としては加害者となるケースの方が圧倒的だろう。つまり、(日本人によって)彼女たちの親戚のだれかが犠牲になるということ。憎悪の連鎖が、ここからでも始まる。
平和な国、安全な国。礼儀正しい、とても親切な日本人。 70年の歳月を重ねて培ったイメージは、世界でも稀有なものあり、ものづくりの科学技術的な信頼感とは別種のものだ。このままでは、この貴重な、無形の財産を失うことになるだろう。
私たちがお互いに信頼し、平和な生活をおくるということ。これほどの、確かさ、手ごたえというものは、かんたんに手離してはなるまい。
ブログらしい、いいイメージで締めたいのだが・・。
信頼を連ねる、或いは信頼を寄せるということで、わが家の花の写真を、性懲りもなく載せる。
追記:「72時間」というNHKのドキュメントは、好きな番組である。無意識にだが番組のテーマ曲にも惹かれていた、と今になって分かった。松崎ナオというソングライラーの「川べりの家」という曲。
松崎ナオ - 川べりの家 (Official Music Video)
どこにでもあるような普通さ、いや普遍的で素敵な歌。技巧的な変調、あるいは歌い方の丁寧さに、表現力の非凡さを感じる。忘れないために、ユーチューブを貼りつけておく。 2017/3/22→再生できなくなったので、再度アップした。こちらは番組紹介の (Official Music Video)かな。2020・2/28 :語句を訂正して追記す)