小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

ブエノスアイレスのtoe

2018年05月15日 | 音楽

 

好きなバンドtoe(トー)が今年、南米ツアーをしたらしい。サンパウロ、リマ?のコンサートの模様がYouTubeにアップされていた。

なかでも、アルゼンチンのブエノスアイレスのものが画像よかった。2011年以降、かれらは積極的に外国ツアーをしているが、南米は初めてだ。ポストロックといわれるtoeの音楽が、ラテンアメリカで受け入れられているのは、何故か。

コアなファンばかりの、日本だけでなく世界においてもマイナーなバンドである。彼らのように洗練されてはいるが、メッセージ性の少ないバンドが熱狂的にウケるのは不思議だ。

自分たちの演奏を平気で撮影させるtoe。それを自由に投稿させていて、制約を加えない。ふところが大きいのだろう、著作権うんぬん侵害などの話は聞いたことがない。そんな鷹揚なところが、世界の隅々にtoeの音楽が知れわたるゆえんでもある。

toeのバンドとしての構成はギター2本とリズムセクション。ギターは、曲目によってエレキとアコギを使う。アコギを使うとき、メンバーではないピアニストが参加。なぜ、メンバーにならないのか疑問だが、事情がありそうだ。

基本はロックのバンド編成だが、インスツルメントが中心の、ボーカルはほとんどない。『グッドバイ』や新しい曲『HEAR YOU』などでは、まれにリーダーの山嵜廣和が歌う(凄くヘタなんだが、外国ではウケる)。

CDでのボーカル挿入曲は、木村カエラ、クラムボンの原田郁子、土岐麻子、acoらがフューチャーされている。

ライブイベントではかつて、土岐麻子が多くでて喝采をうけ、互いに人気を高める相乗作用があったようだが・・。(彼女の父親は、ジャズのサックス奏者。若い頃、新宿ピットインで聴きに行ったほどの優れた奏者だった。客は少なかったけど・・)

音楽的にはロックのメッセージ性は少なく、ジャズっぽいイメージのポストロックといえる。

しかし、ロックのエモーショナルな要素は濃く、それをゆっくりと、溜めながら出す。リズムの我慢と爆発力。それに負けない、ギターの美しい旋律。それが世界でも知る人ぞ知るポストロック・バンドtoeの独創性である。

そう、ロックでは必須のリズムセクションが安定している。特にドラムの柏倉は、the HIATUS(ハイエイタス)のドラマーで、ここからtoeに入門する人もいるだろう。

ベースの山根敏史は、足し算も引き算もしないのだが、文字通りtoeのベースラインをきっちり作っている。わたしがベースをコピーしたい当面の目標であるが、彼独特のアドリブ・感性は凄いなと思わせる。なんかのファッションブランドの経営者でもあったかな。

それにしてもタンゴの国で、こんなにもtoeが受けているのをみるのは、嬉しいかぎりである。ということで、今回は『グッドバイ』を。

toe - Goodbye (live in Buenos Aires, Argentina 2018)





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