ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

事例

2012年10月15日 15時10分48秒 | 刑法
※ちょっと修正しました。


甲はパスタ屋に入った。

好物のニンニクの効いたペペロンチーノを頼み食べた。

しかし、財布がないことに気付いた。

トイレの場所を聞いて外にあったらトイレに行く振りをして逃げようと思い、店員にトイレはどこですか?と聞いたら、
『店の外に出て角を曲がったところです。』
と言われたので、トイレに行って来ます、といい、店を出てすぐに逃げた。

しかし、勘定がまだだったので逃げたのに気付いた店主が金を払えと追い掛けて来たので、甲は店主を殴って倒し、逃げた。

後日街で店主にすれ違い、店主に金を払えと詰め寄られたためまた殴って逃げた。

甲の罪責は?




























最初の店主を殴った時に事後強盗罪を検討したなら、失格です。

2項詐欺罪

2012年10月15日 15時00分03秒 | 刑法
2項詐欺罪は複雑です。

対象は財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させたこと。

これは不法な利益ではなく、財産上の利益を不法に取得したことを意味します。


客体は移転性のある利益に限られるが、狭く解する必要はないと思います。

情報やサービスは移転されることはない(提供者から消えない)ので、原則移転性は肯定はできません。

しかし、対価を支払うべき有償のサービスや情報提供にはその余地があります。

被害者は請求できる料金を詐欺により請求できないため、財産上の損害があるし、欺いた行為者にはサービスや情報を不正、不法に取得することによって、その対価として支払うべきであった財産上の利益を不法に取得したといえるからです。

サービスや情報自体ではなく、全体として見る必要があります。



詐欺罪の穴場的存在は、248条の準詐欺罪でしょうか。

過失

2012年10月13日 22時35分51秒 | 刑法
過失はいろいろとややこしい。

つらつらと書いてみます。


過失は、注意義務違反のことであり、結果予見可能性を前提とした結果回避義務違反をいうと考える。

過失には、
結果予見可能性+結果予見義務違反

結果回避可能性+結果回避義務違反
の双方を満たす必要があり、前者は責任要素、後者は構成要件該当性の問題になる。

構成要件該当性の問題より先に責任要素を検討するのは不思議な気もします。





過失と結果との因果関係は、結果回避可能性の問題に吸収されると考えられます。

結果を回避する可能性がない場合には、因果関係は否定されるし、結果を回避する可能性があり義務に違反したならば、結果との因果関係は肯定されるからです。


このように構成要件該当性としての結果回避義務違反には、結果との因果関係も含めて考慮されているといえそうです。





信頼の原則
適切な行動に出ることを信頼することが不相当な事情がないならば、これを前提にした行為をすればよい。


自分が不法な行為をしていた場合でもこれは信頼の原則は否定されない(失効の原理の排除)。


自分が交通違反をしていても、信頼の原則は否定されないが、信頼することが不相当ならば、信頼の原則は否定される。





予見可能性は、結果回避可能性が認められる前提である。

しかし、結果を回避しえなかった可能性がある場合、過失を基礎付ける責任要素としての予見可能性は認められない、ということもあるのでしょうか。


暗い夜道で黒い服を着て、自転車のライトも消していたため、人を轢いた事案

この場合、結果回避可能性が無かったという前提に、自転車を認識できなかったという結果予見可能性もなといえる。





整備不良の自動車を運転し、人を轢いた。

整備されていれば制動距離が短く、人を轢く手前で止まれた。

整備不良自体に結果予見可能性と結果回避義務違反があるのか。

万一の事故、事態は結果予見可能性を肯定するかという問題。


危惧感説になるから妥当ではないのではないか。


きちんと整備されていれば人の死傷は避けられたといえ、整備不良の自動車を運転していれば、人の死傷結果が生じることは容易に予見可能であるから、結果予見可能性が認められる。

親族相盗例

2012年10月13日 11時04分43秒 | 刑法
親族相盗例(244条)は、一身的処罰阻却事由を定めたものと解すべきです。

これは、法は家庭に入らずの格言から規定されたといえ、親族間の紛争に国家権力の介入を控えるべきであるからです。

この規定の趣旨から、財産罪の対象物の所有者、占有者ともに親族の物でなければなりません。親族の物ではなければ親族間の問題ではなくなるからです。

とすると、これを誤信して他人の物を盗った親族に対しては、親族相盗例の適用も故意や責任を否定することもできない。
このような事情は量刑にて考慮されるべきと考えます。


確かに、親族相盗例を知って盗っても罪にならないと考えて盗ったのに、所有者は別の者であった場合に、故意が否定されるとも考えられなくもありません(この考え方もあるようです)。

しかし、政策的に処罰しないとしているのであって、責任や違法性が減少するから処罰しないとしているわけではないため、故意や責任は否定されません。

器物損壊罪

2012年10月01日 22時48分27秒 | 刑法
刑法の演習書をやっているが、深い部分まで触れていました。



二人で金品を奪う目的で殺害、その後金品を奪った。
犯行発覚を恐れて腕時計を奪った。甲は乙に廃棄を依頼して去った。

依頼された乙は廃棄せずに後日質屋に売却。


廃棄をするために腕時計を奪った行為は何罪?



最初考えたのは、質屋に売ったから乙は遺失物等横領罪で、甲は抽象的事実の錯誤かと思ったが違うらしいです。

売った乙は詐欺罪。


持ち去った時に器物損壊罪が成立するか。


利用処分意思に欠けるから窃盗罪は成立しないか。

発覚を恐れて持ち去ったのは、利用処分意思とはいえないか。

経済用法に従った利用処分意思ならいえない。


また、器物損壊罪が成立すると、自己の犯罪の証拠の証拠隠滅は無罪との関係は?

保護法益が異なるから別問題。



遺失物等横領なら利欲犯であり責任が重いのに罪が軽く(1年以下)、器物損壊罪は効用を害したのに過ぎないが罪が重い(3年以下)のは不均衡ではないか。


器物損壊罪は、
占有侵害を伴う器物損壊と、
占有離脱物の損壊
が含まれ、占有を侵害し物の効用を害するのは遺失物等横領罪より不法が大きいが、占有離脱物の損壊は遺失物等横領罪の処断刑の上限は超えてはいけない。

刑法

2012年09月30日 17時55分25秒 | 刑法
商法の判例百選、演習書であるロープラ商法の検討が終わりました。

事例で考える会社法をあとはぼちぼちやります。


明日から10月なので、次は刑法を始めます。
山口先生の刑法基本書を参考書として使いつつ、演習をやります。

先日書いたやるべきことを踏まえてこなしていきます。

刑法基本書

2012年09月17日 12時12分36秒 | 刑法
ようやく刑法の基本書を購入。


今までLECのC-BOOKのみだったので、不明な点がたくさんありました。


買ったのは以下にも示しました山口教授の刑法総論と各論です。

私は行為無価値で、山口教授は結果無価値の論者ですが、反対側の行為無価値の厚みが増すかと思いました。

自殺教唆罪

2012年07月06日 07時25分44秒 | 刑法
滋賀県の痛々しい自殺事件。

加害者と思われる生徒たちを指摘したり、いじめの存在を記載したアンケートが存在しています。

http://www.j-cast.com/2012/07/04138209.html


アンケート、これは本人が記載したものですが、訴訟であれば伝聞証拠ですね。

しかし、訴訟段階ではなく、捜査段階ではどのように事件化していくかが問題になっています。


複数の目撃、噂情報があるからといって事実が存在するかどうかの事実認定、事実推定は難しいですが、記載しているのが生徒であること、身近であること、嘘を記載する可能性が低いことなどから、事件化してもいいはずだと思われるような事件です。


加害者の生徒は自殺教唆罪になるのかどうか。
本人を支配、利用した殺人の間接正犯とするのか。

後者は飛び降り自殺するときに支配、利用関係が無いので、多分否定されるでしょう。
前者はあるのかどうか。刑法の重要な論点の整理になります。


このような事件は二度と起きてほしくないものです。

盗品等あっせん罪

2012年04月14日 23時36分50秒 | 刑法
窃盗の決意をした者の依頼に応じて同人が将来窃取すべき物の売却をあっせんしても、盗品等あっせん罪は成立しない。


ただ、窃盗幇助罪が成立することはありえるので、注意が必要です。


この前、刑事系の答練結果が返ってきてB順位でした。
上位30%以内がBですが、得意なハズなのに、イマイチでした。


刑法は多論点型になりがちなので、なんともいえないですが。

強盗の着手

2012年04月14日 23時05分45秒 | 刑法
強盗罪の実行の着手は、財物奪取の目的で相手方の反抗を抑圧するに足りる暴行、脅迫を加えた時点で認められます。


なので、財物奪取の目的で相手方の反抗を抑圧するに足りない程度の暴行をした時点で取り押さえられると、実行の着手がなく、恐喝罪に過ぎないといえるでしょう。

刑法各論

2012年01月29日 00時09分30秒 | 刑法
判例六法の刑法各論を読んでいます。

結構知らない判例があることに気付きました。
やるべきことはまだまだありますね。


○所有者が所有権を放棄した物を焼損し、公共の危険を発生させた場合

建造物等以外放火罪


○捜査中の参考人を隠匿した場合

参考人も証拠にあたり、証拠隠滅罪


○取り外し自由な畳を焼損しただけの場合

当該物件を毀損しなければ取り外せない状態にあることが、家屋の一部を構成するものといえる。
現住建造物放火未遂罪


○宿直室とは独立した庁舎であるが、宿直員が巡視するのが通例の場合の庁舎を焼損した場合

宿直室が庁舎と独立した建物でもその庁舎を宿直員が各部分を巡視するのが通例であるので、その庁舎は人の住居に使用する建造物である。
現住建造物放火罪


○証拠を隠匿した場合

隠匿も司法に対する国権の作用を妨害したといえる。
証拠隠滅罪


○法律上正当な権限のない看守者による看守している建物への侵入

住居侵入罪


○正当な理由なく侵入し、退去を求められたが応じなかった場合

建造物侵入罪が成立する以上、退去に応じなくても不退去罪は成立しない。
住居侵入罪のみ

刑法36条1項

2012年01月03日 19時14分40秒 | 刑法
刑法36条1項の重要論点の一つに、共犯と正当防衛の関係があります。

平成23年新司法試験論文刑法の問題でも出ました。

これを検討するに当たり、平成6年12月6日の判例が重要になります。

正当防衛行為も共同正犯となりえ、各人が正当防衛の要件を満たすならば犯罪不成立になります。


さて、ここで一方が積極的加害意思があり、他方がなかった場合とか、一方が防衛の意思がなかった場合や一方の行為が相当性がなかった場合などが難しくなります。



積極的加害意思がある場合は、防衛の意思が否定されます。
とすると、積極的加害意思がある者は、正当防衛が成立せず、ない者は正当防衛が成立します。

ここで、正当防衛は違法性阻却事由であるため、共同正犯の場合の違法性は連帯するのではないか、という問題点もあります。

すなわち、共同正犯が、何をもって共同したかという議論があります。

共同正犯について、各行為者は個別的に検討すべきであるから、違法を連帯的に、責任は個別的に考える制限従属性説を採る。

そうすると、正当防衛は違法性を阻却するが、主観的正当化要素としての防衛の意思も必要とすべきことから、共同正犯において防衛の意思の有無により個別に検討することも認められることになります。

そうすると、防衛の意思の有無で正当防衛の成立、不成立が異なることも当然である、ということになるかと思います。


次に一方の行為に相当性がなかった場合はどうでしょうか。

行為の相当性は、共同正犯であることから、一部実行全部責任の原則から、両者の行為として見るべきです。

とすると、一方の行為が相当性がなければ他方も責任を負い、正当防衛は成立せず、過剰防衛になるかと思います。




この辺りは錯綜していて難しいです。

新しい事案

2012年01月01日 13時32分33秒 | 刑法
新年あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。



先の記事にも書きましたが、新しい事案としては、電子マネーではなく、電子ポイントがあるかと思います。

電子ポイントは、家電量販店とか、ネット通販とかでついてくるポイントです。


そのポイントはその店でしか通常使えませんが、他のポイントとの交換ができるものもあり、電子マネーとして扱えるようなものもあります。

これらの実質を考慮すると、通貨といえるものと、非通貨といえるものが存在するかと思います。


非通貨を詐取する場合、財産上の損害があったといえるか、あるいは、窃取する場合も同様です。


そのポイントが財産といえるのかとか、色々問題がありそうです。

考慮すべき内容を挙げてみます。

・その店でしか使えないか。
・ポイントに対する盗難補償があるのか。
・ポイントを移動させただけで使用されていない場合はどうか。
・ポイントを移動させられたが使用しなかったため期限が切れた場合はどうか。
・ポイントは元々無償提供だったものか。
・無料ポイント進呈で取得したポイントを窃取した場合はどうか。
・お金を払って多くのポイントをもらった場合はどうか。



先日、楽天のポイントを窃取するという事案が発生したので、考えてみました。

刑事系の事案で出そうで、まだまだ電子通貨は出ないのかなぁとも思えますが、どうでしょうか。

刑事系

2011年12月24日 13時35分08秒 | 刑法
共同正犯を基礎付ける事情(肯定する事情)の一つに、報酬の授受や約束があります。


50万円払うから空き巣に入る家への送り迎えを頼む
→共同正犯を否定する方向に働く
∵犯罪の成否に関係なく犯罪の成功が自己の犯罪とは思えない


空き巣に入って300万円盗むのに成功したら50万円払う
→共同正犯を肯定する方向に働く
∵犯罪の成否に関係があり、自己の犯罪として成功するように関与する



反抗抑圧があったかどうかは、様々な事情が関係する。

年齢差
青年と老人

体格差
筋肉質とガリガリ

身長差
190cmと160cm

場所
自宅と街中
密室と山中

性別
男と女

武器
素手とナイフ

時間
昼と夜