ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

因果関係

2011年11月30日 23時52分25秒 | 刑法
因果関係は奥が深いですね。


危険の具体的現実化説を取ると、不能犯はどうなるんでしょうか?

私は、、因果関係は折衷的相当因果関係説を取ってきましたので、不能犯も同じ範囲で成否を検討できます。

危険の現実化説だと、不能犯はどういう形になるのでしょうか?

不能犯は、折衷的相当因果関係説になるのなら、矛盾では?とも思ってしまいます。


不能犯は実行行為性の問題、既遂犯は因果関係の問題とすると、行為の危険性はいずれも同じように検討するので、バラバラの基準は矛盾というか、整合性がないのかなぁ、とも思います。

盗品の疑いが強いと思った買い取り

2011年11月27日 00時29分32秒 | 刑法
盗品等有償譲受罪は、故意が必要ですが、疑いが強いと思った場合はどうでしょうか。

判例は、
有償譲受とは、盗品たるの情を知りながら、金銭その他の物件の対価として盗品の所有権を取得する契約をうること(大審院大正2年12月19日)
買い受ける物が盗品かもしれないと思いながら、あえてこれを買い受ける意思があれば足りる(最高裁昭和23年3月16日)
としています。

とすると、盗品の疑いが強いと思っている場合にあえて買い受けたならば、本来、盗品等有償譲受罪が成立するでしょう。


TSUTAYAで事件として問題になっています。

時事通信


少なくとも、古物営業法では、
15条3項で
「古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとする場合において、当該古物について不正品の疑いがあると認めるときは、直ちに、警察官にその旨を申告しなければならない。」
があります。

民法193条のような規定もありました。
20条
「古物商が買い受け、又は交換した古物(商法(明治32年法律第48号)第519条に規定する有価証券であるものを除く。)のうちに盗品又は遺失物があつた場合においては、その古物商が当該盗品又は遺失物を公の市場において又は同種の物を取り扱う営業者から善意で譲り受けた場合においても、被害者又は遺失主は、古物商に対し、これを無償で回復することを求めることができる。ただし、盗難又は遺失の時から1年を経過した後においては、この限りでない。」

24条は営業の停止も定めています。


また、33条には罰則があるのですが、15条3項に違反した場合には規定されていません。
なので、警察への申告義務違反としての行政処分となるような気がします。


盗品等有償譲受罪も成立する可能性がありますが、主観的要件の問題であり立証困難であることから、行政処分で終わるのでしょう。

共同正犯って?

2011年11月26日 23時08分13秒 | 刑法
過失の共同正犯で悩んでいたが、そもそも過失の共同正犯を論ずる実益がなければ不要です。

事案によっては記述する必要があるので、今後の課題ではあります。


共同正犯を認める実益は、因果関係などが認められないから。
とすると、単独犯が完全に成立するのに、どうして共同正犯を論じるのだろうか。


一部実行全部責任の原則なのに、全部実行を各々が行っている場合に、単独犯が各人に生じたとします。
その場合に、共同正犯となる、というのは必要なんでしょうか。


甲は、Aを殴りました。
その際、乙も、甲と一緒にAを殴りました。

しかし、Aはけがをしませんでした。

甲と乙には暴行罪がそれぞれ成立します。
その上に、共同正犯も成立します、とする実益はなんでしょうか?

一部実行全部責任を認める原則の共同正犯を単独犯がそれぞれ認められる場合には共同正犯の成立を認めるとすべき必要があるのでしょうか、という話です。

情状に影響があるのでしたら、訴訟上重要であるが、実体法上は重要ではないということにもなりそうです。

ちょっと考えさせられました。

過失の共同正犯

2011年11月24日 22時02分02秒 | 刑法
過失の共同正犯がよくわからなくなっています。


共同正犯は、共同意識、共同実行をすること
もっと論証チックには
共同意思の連絡の下、互いの行為を利用補充し合って、法益侵害結果の実現を容易にしたこと。


過失は、結果予見可能性及び結果予見義務を前提に結果回避可能性及び結果回避義務が認められること。


で、過失も結果回避義務違反を共同することはできる。

しかし、過失の共同意思の連絡は?
過失の意思の連絡ってなんだろうか?
ここをうまく説明できないです。


過失致死の共同正犯で、過失の共同意思ってなんだろうか?


では、翻って過失の故意(主観的要件)ってなんだろうか?
結果回避という作為をしなかったことの意思だろうか?
不作為犯に近づくのか?


なんかちょっと混乱しています。

平成23年度予備試験論文再現(刑法)

2011年11月14日 22時53分52秒 | 刑法
第1 乙に対する同意殺人について
1 甲は、乙の「嘱託を受け」、乙を殺意を持って首を絞め、結果として乙を殺害しているため、同意殺人罪(202条後段)が成立する可能性がある。
2(1) しかし、乙の直接の死因は、窒息死ではなく、一酸化炭素中毒死であり、因果関係が認められるか。
 (2) 因果関係は、社会通念に従って類型化された構成要件要素であるから、条件関係を前提に相当な因果関係があったかどうかで判断すべきである。
    そして、相当かどうかの判断については、偶然事情を排除し、行為者が認識していた事情を取り入れる必要があるため、一般人が認識し得た事情及び行為者が特に認識していた事情を基礎に、行為時に一般人を基準として判断すべきであると考える。
 (3) 本件において、首を絞めた状況があり、その後乙は生きていたにも関わらず甲が放火して一酸化炭素中毒で死亡している。しかし、甲は乙は死んだものと考えており、乙が生きていたとの認識は甲はしていないため、この事情は含まれない。しかし、犯罪者が殺害後、その証拠を隠滅するため、放火することは犯罪類型上可能性が高いと考えられ、一般人は認識し得たものと考えられる。
    よって、一般人ならば認識し得た基礎事情としては、首を絞めたこと、その後犯人が放火したことであり、この基礎事情を基に一般人ならば被害者が死亡することはあり得たものと考えられ、相当因果関係が認められる。
3(1) しかし、甲は乙が生きていたことを認識していない。この場合にも構成要件的故意(38条1項本文)が認められるか。因果関係の錯誤の場合にも故意は否定されないか。
 (2) 故意責任の本質は、行為者が犯罪を認識し、反対動機を形成し得たのに、あえて犯罪を実現したことに対する重い道義的非難をすることができることにある。
    とすると、相当因果関係の認識がし得た以上、因果関係の錯誤において、故意は問題にならない。
 (3) よって、甲に故意は認められる。
4 したがって、甲は、乙に対する同意殺人罪が成立する。

第2 放火について
1 甲は、抵当権の実行を通知されており、「差押えを受け」、あるいは「物件を負担し」ている(115条)のであるから、「他人の物を焼損」したことになる。
2(1) しかし、乙は放火した際に生きていたのであるから結果的には現住建造物放火(108条)を行い、認識として非現住建造物放火罪(109条1項)を行ったことになる。この場合、故意は認められるか(38条2項)。
 (2) 故意責任の本質は前述したように、反対動機の形成をし得たのにあえて犯罪を実現したことに対する重い道義的非難である。そして、構成要件が異なっていても、重なり合いがある部分については、なお反対動機の形成がなしえたのであるから、重なり合いがある部分に対しては故意は否定されないと考える。
 (3) 本件において、現住建造物放火罪と非現住建造物放火罪は、建造物放火に関しては同じ構成要件であり、人が現住している建物かどうかに違いがあるだけである。よって重なり合いが認められる非現住建造物放火罪に関してはなお故意は認められるといえる。
 (4) よって、甲には非現住建造物放火罪が認められる。

第3 証拠隠滅罪について
1 甲は、自分が乙を殺した痕跡や乙が丙を殺した痕跡を消してしまいたいと考えているため、証拠隠滅罪(104条前段)が成立する可能性がある。
2 まず、甲が乙を殺した痕跡を消去しようとしたことについてであるが、104条は「他人の」とあり、自己の犯罪についての証拠を隠滅しようとすることは期待可能性がないことから、否定される。
3(1) では、乙に対しての証拠隠滅罪が認められるか。乙は死亡しているのであり、「他人の」とは死者も含むか。
 (2) ここで104条が保護しようとしている法益は、刑事司法作用を害する危険性を排除することにある。
    しかし、死者に関しては、公訴が提起できないため(刑訴法339条1項4号)、死者に対しての証拠隠滅罪は認められないと考える。
 (3) 本件において乙は死亡しているため、証拠隠滅罪は成立しない。

第4 以上から、甲には、乙に対する同意殺人罪(202条後段)、非現住建造物放火罪(109条1項、115条)の罪責を負い、両者は併合罪(45条前段)になる。


自己評価 B
評価 A


感想
相当因果関係のところで、条件関係のあてはめができていません。
また、因果関係の錯誤において故意を否定されないというのはこんな書き方で良かったのか不明です。理由になっていないでしょう。
客観的危険の現実化を書こうとも思いましたが、要件を知らないため、危険すぎると思ってやめました。
殺害行為をしたが、その後の海岸に捨て砂を吸い込んで死んだ場合をずっと考えていましたが、どうやって処理するかを思い出せませんでした。
証拠隠滅罪は刑事司法作用を出したなら肯定すべきだったかもしれません。また、公訴提起できないのではなく、公訴棄却になるので、ミスです。
死体損壊を書くかどうかかなり悩んみましたが、答案がぐちゃぐちゃになりそうでしたし、通常このような事案で見たことが無いなぁと思い、書きませんでしたが、書いて観念的競合にすべきでしたね。

この答案でAの評価がいただけたのはびっくりでした。

傷害致死罪、過失致死罪

2011年06月18日 00時26分39秒 | 刑法
甲は友人である乙に挨拶のつもりで軽くぽんっと頭をたたいた。

しかし、乙は脳に障害を持っており、脳の血管が切れて死んでしまった。

さて、これは何罪か?



この問題はどの構成要件で考えるべきか。


そもそも実行行為はあったのか?

挨拶のつもりであっても人の身体に向けた有形力の行使といえれば暴行罪となり、結果的加重犯である傷害致死罪となってしまう。

しかし、挨拶を暴行というのは社会通念上考えられない。

暴行罪の実行行為はなかったと考えられる。


とすると、過失致死罪の検討か?

しかし、過失といえるのだろうか?結果発生注意義務違反というのは重過ぎないだろうか?

結果予見可能性、結果回避可能性を前提とした結果回避義務違反があったとはいえないと考えられる。

この事案では実行行為がなく無罪とはならないのだろうか?

しかし、おそらく過失致死罪のような気もする。


過失としての実行行為はあったとするならば、因果関係はどうか?
脳梅毒問題と同じで、因果関係は否定されないだろう。

責任故意は?
違法性の意識の可能性があったのか?



結果無価値を取る人は、この問題は結果が発生しているから傷害致死罪が成立するなどという考慮のない結論を言っていました。

判例は、因果関係も否定しないし、実行行為も軽微であっても認めているからだと。

社会通念を考慮しない人は法曹としてはふさわしくないと思います。

刑事系過去問

2011年02月25日 01時16分23秒 | 刑法
新司刑事系過去問をやってます。

2回目なので結構簡単なんですが、9割にまだ届きません。

3回目を5月までにできるかなぁ。いや、やらないと!!

民事系がまだ2回目突入してませんが、3月にやる予定。


論文は旧司と違って問題提起と規範にもう少し気を使わないといけないです。
短くするにしても流れよく。

防衛行為

2010年03月07日 12時00分24秒 | 刑法
去年の論文本試験の刑法の似た事案で、


甲は、乙に第一暴行、第二暴行をして乙は死亡した。
死亡原因は、第一暴行か第二暴行かは不明であった。


ここで、各暴行には断絶があるとし、第一暴行は正当防衛と認められる場合、死の結果はどうなるんでしょうかね。

傷害致死は、
暴行の結果的加重犯である傷害の結果的加重犯と解するのですが、
第二暴行と加重結果に相当因果関係が認められないとし、

傷害の結果には相当因果関係が認められる

として、傷害罪かなぁ。

予備の中止犯

2010年02月07日 18時02分50秒 | 刑法
予備の中止犯で、肯定したとして刑の基準をどれにするかという問題で、

予備を基準とすると、予備罪は基本犯の法定刑を法律上減軽したものをさらに減軽するのは、妥当でないという批判がある。


一方、既遂犯を基準とすると、予備罪よりも重い場合が生じるとの批判がある。



そこで、既遂犯の刑を基準としつつ、減軽の適用は否定する見解が主張されている。


というのがありますが、最後は一見すると、?となりますが、実際は、

既遂犯の刑を基準としつつ、減軽の適用を否定し、免除のみ認めるとする見解でした。



既遂犯を基準とするだけなら、二番目の説への批判がかわせないのでは?
と思ったら、免除のみ認めるのが記述されていないからでした。

引っ掛けです。

封緘物

2010年02月03日 23時41分52秒 | 刑法
封緘物の占有は、判例は
全体は受託者、中身は委託者としています。


では、郵便配達員が封緘された委託物を落とした拍子に封が破れ、中身の札がばらまかれた状態になった。

これを拾っている最中に、数枚ポケットに入れたら?







落ちて封が破れた段階で委託者の占有は消滅し、中身も全て受託者たる郵便配達員に占有が生じたといえるでしょうから、横領(業務上横領)罪でしょう。

占有

2010年02月03日 23時36分55秒 | 刑法
占有の有無によって、窃盗か横領か遺失物等横領かに区別されるため、占有の認定は非常に重要。


他人にあれば、窃盗
犯人にあれば、横領
誰にもなければ占有離脱物横領



窃盗罪の占有とは、財物に対する事実上の支配。

占有は、
客観的要素たる占有の事実と、
主観的要素たる占有の意思から成り立つ。
両者は相関関係にある。


客観的要素たる占有の事実は、
物理的支配はもちろん、社会通念上支配者を推知しうる状態も含む。


主観的要素たる占有の意思は、
包括的、抽象的意思で足りる。


よって占有の有無は、この二つの要素を、財物の形状や性質、支配力の有無、距離などから、総合的に判断する。



列車内の遺留品は、一般人の出入りが容易であるから、持ち主はもちろん、車掌の占有はない。

ゴルフ場の人工池のロストボールは、一般人の出入りがなく、ゴルフ場管理者の支配下であり、占有がある。

放任しても飼い主の下に戻る習性のある動物は、飼い主に占有がある。

現住建造物

2010年02月03日 23時16分22秒 | 刑法
まとめると

現住建造物等放火罪は、
条文では、

現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物

とあるので、


人がいて、住居に使用している場合は現住建造物放火罪

人がいないが、住居に使用している場合は現住建造物放火罪

人が現にいる場合は、非現住建造物でも現住建造物等放火罪(現在建造物放火罪)


人がおらず、非現住建造物の場合は、非現住建造物放火罪