ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

共犯からの離脱

2010年02月01日 21時59分38秒 | 刑法
共同正犯の関係において、着手前の共犯からの離脱を論じる際、離脱しようとする者と実行者との間に共謀共同正犯が認められることを論じないといけませんね。


そうしないと成立しないなら共同正犯からの離脱を書く必要がないからです。

共謀共同正犯が成立しないなら、教唆、従犯関係からの離脱として検討しなければなりません。


普通に考えたらそうなのですが、つい、書くのを忘れそうです。





共謀共同正犯が成立するか?

しない

狭義の共犯からの離脱の要件を検討する。
狭義の共犯は、着手後でも意思表示と相手方の了承で良い。



共謀共同正犯が成立するか?

する

共同正犯の離脱の要件を検討する。

刑法復習

2010年01月28日 23時03分19秒 | 刑法
刑法復習

細かい点です。


問1
過剰防衛は任意的減軽である。

問2
強盗殺人を犯した者がその犯罪事実を母親に告げた。
自首が成立し、刑が免除される。

問3
心神耗弱は刑を免除することができる。

問4
父親の時計を取得するため、父親の反抗を抑圧し、時計を奪い去った場合、刑を免除することができる。













答1
×
任意的「減免」である。


答2
×
本来告訴しうる者に告げると自首が成立。強盗殺人は親告罪ではない。
仮に母親を介して自首が成立したとしても刑の減軽のみ。


答3
×
心神耗弱は刑を減軽する。


答4
×
親族相盗例は強盗罪に適用されない。

横領と背任の区別

2010年01月08日 23時24分53秒 | 刑法
横領と背任の区別は、権限の逸脱か濫用かで区別しますが、その理由は知りませんでした。



いずれも他人との信頼関係破壊がその性質として有するため共通する。

また、背任は一般財産への信任違背行為、横領は特定財産への信任違背行為であるが、いずれも特定の財産に対する信頼関係破壊の性質は同じであるといえる。

とすれば、背任と横領は一般法と特別法の関係にあり、横領をまず検討する。

そして、横領については、横領の意義を検討する。


横領とは、不法領得の意思の発現と解する。これは、財産罪の保護法益が本権であり、不法領得意思は財産罪に必要な要件といえる。

このことから、不法領得の意思は本権に対する侵害であるから、所有者でなければできない処分行為をする意思といえる。




そして権限があってもこれを逸脱して他人の財物を処分することは、不法領得の意思の発現といえる。


一方、権限内の濫用であれば、不法領得の意思の発現はないが信任違背はあることから、一般法である背任罪が成立する。

積極的加害意思と攻撃の意思

2010年01月04日 23時26分35秒 | 刑法
積極的加害意思と攻撃の意思の違いが難しい。


Aは、日頃から仲の悪いBが攻撃を仕掛けてくると知り、これを利用して日頃の恨みを晴らそうと考え、怪我を負わせるためにナイフを携帯していた。

数日後、Aは道を歩いていると、待ち伏せしていたBが突然殴り掛かってきた。
そこで慌てたAは道に落ちていた石を思い切り投げつけ、Bの頭部に当たったため重傷を負った。




Aは積極的加害意思があるが、用意していたナイフを使わず、待ち伏せされていたため、その時点での急迫不正の侵害は予期なかったであろうが、防衛の意思は否定されるのだろうか?

積極的加害意思があっても攻撃の意思になるのだろうか?

おそらく、積極的加害意思の評価だと思います。

正当防衛に名を借りた攻撃とみなされるか否かが分岐点であると。

よって、この場合には、もともと積極的加害意思はあったが、本件急迫不正の侵害時には、これを認められる客観的事実はないため、正当防衛は否定されないといえそうです。

間接正犯の類型

2010年01月04日 22時03分06秒 | 刑法
間接正犯の正犯性の根拠は、行為支配説を採ります。

この場合であっても、その犯罪の故意ある者を利用した犯罪でも間接正犯として処罰しうるんですね。



目的犯における目的のない者を利用する場合
例えば、行使の目的を隠して他人に教材として偽札を造らせた場合

身分犯における非身分者を利用する場合
例えば、公務員が妻に賄賂を受け取らせた場合


このあたりは択一でよく出るので問題ないですね。



知らなかったのは次の類型

故意ある幇助行為の利用の場合
例えば、覚せい剤販売者と顔を合わせたくないために第三者に頼んで販売者から買ってもらう場合
又は、覚せい剤販売者が第三者に頼んで売ってもらう場合


使者として情を知りながら賄賂を届ける者や上司の命令で偽造文書と知りながら作成する場合も当たります。




行為支配説を採る場合でも、行為支配性はあるといえるのかなぁ。
因果経過を実質的に支配しているといえるんだろうか。


道具性としても、故意があり、反対動機の形成もあるのに、やっぱり道具なのだろうか。

共謀共同正犯の方がしっくりくるが、そのような見解はないようです。



こうすると殺害方法を事細かに考え、殺人を依頼しその通りに殺害した場合、殺人をした人は殺人の幇助犯という結論になるんでしょうね。

警察官への暴行

2010年01月04日 21時27分16秒 | 刑法
窃盗未遂犯が逮捕を免れる目的で警察官に暴行した場合、何罪が成立するか?














窃盗未遂犯も『窃盗』から除外すべき理由はなく、『窃盗』犯人足りうるし、窃盗の機会に暴行を加えているから、事後強盗罪を構成する。

さらに、窃盗未遂であるが、事後強盗罪は強盗罪と同視するから、財物の保護を主目的と考えて、窃盗未遂ならば、事後強盗未遂となると解する。

また、相手方は警察官であり、職務執行を妨害していることから、公務執行妨害罪も成立する。


したがって、両罪が成立し、観念的競合になる。

刑法

2010年01月03日 00時29分16秒 | 刑法
刑法はやっぱり奥が深い。



治療行為

治療行為は正当業務行為として違法性が阻却されるのが通説なんですね。

知らなかった…。

しかし、医師免許なくても違法性が阻却される場合もあるんですね。




信頼の原則と過失

過失犯は新過失論を採りますが、結果予見可能性は結果回避可能性の前提、信頼の原則は結果回避義務の軽減になる。

区別は、
結果予見可能性は、第三者を認識していない。

信頼の原則は、第三者を認識し、~だろうと思っていたのに、予想と違い結果が生じた。


結果予見可能性は、事故を起こし、勝手に荷台に乗っていた人が死亡した。

信頼の原則は、老人が歩道を歩いていたが、飛び出して来ないだろうと思っていたのに、飛び出してきてはねとばした。


前者は、注意義務違反としての結果回避可能性の前提たる結果予見可能性の問題。

後者は、注意義務違反としての結果回避義務違反があるかどうかの問題。




窃盗と詐欺の区別

窃盗は占有者の意思に反して占有を自己又は第三者に移転させること。
詐欺は被害者の瑕疵ある意思に基づく処分行為により、財物を移転させること。

占有の移転時期が処分行為に基づくか否かで区別される。




窃盗罪

甲が、乙の所有するカメラと乙が丙から窃取したカメラを盗んだ場合。

保護法益を平穏な占有と解し、いずれも窃盗罪が成立する。
そして侵害されたのは乙の占有一つであるため窃盗罪一罪が成立するそうです。
併合罪じゃないんですね。




窃盗罪の財物性

禁制品は財物性が認められるかどうかが問題になりますが、他人から盗んできたものを盗んだ場合は、財物性は認められるため、占有侵害の有無が問題になる。

後者は占有者の財産上の損害の有無ではないため注意。

親族相盗例

2009年12月28日 00時37分49秒 | 刑法
親族相盗例の教唆犯の適用について。


事例
Aは友人Bに対して、Aの母親が住む家に母親が所有する宝石があるから、盗んできてとそそのかしたため、Bが実行した。


Bには住居侵入と窃盗罪が成立し、牽連犯となる。


Aもこれらの教唆犯となりますが、244条1項により刑が免除されるか。


244条1項は法は家庭に入らずという格言に基づいて規定された政策的規定というべき。
とすると第三者を巻き込む場合には適用はないと解する。

窃盗罪の正犯と物件の所有者と占有者の間に親族関係が必要と解する。


とすると、第三者たる正犯Bを巻き込んでいるから、適用はなく、Aは刑を免除されない。


とするのが良い気がするのですが、問題集には正犯の介在を言及せず、Aは刑が免除されるとありました。


教唆犯の場合の記述が手元にある参考書にはないので、よく分かりません。

う~ん。

過失犯

2009年12月27日 18時26分51秒 | 刑法
過失犯について検討してみました。


過失を旧過失論は結果予見義務違反を本質とし、責任要素とする。
これは、結果無価値を前提としている。

とすると結果が発生すれば、構成要件、違法性を満たすことになる。
また、結果が発生すれば、結果予見義務違反はほぼ認められることになる。

しかし、高度に発達した社会において、危険発生の可能性は高まるのであるから、結果を予見しうるだけで結果予見義務違反とすることは、処罰範囲が拡大する。

また、結果が発生すれば構成要件は満たされるとすることは、構成要件における自由保障機能も果たせない。

さらに、主観面も考慮すべきであり、殺人と過失致死で構成要件が同一ということはできないというべきである。

よって旧過失論は採れない。


過失は、構成要件、違法性、責任の各段階で考慮すべきである。

構成要件段階では、構成要件的過失、違法性段階では、違法過失、責任段階では、責任過失である。

新過失論は過失の本質を結果回避義務違反とする。


構成要件的過失を検討する。

構成要件的過失の内容は、客観的注意義務違反であり、結果予見可能性を前提に結果予見義務違反があり、結果回避可能性を前提に結果回避義務違反がある。


この結果予見可能性は、結果回避義務の前提であり、この注意義務は一般人を基準に考慮すべきである。
責任過失において行為者を基準にすべきである。


この結果予見義務違反と結果回避義務違反を内容として、過失行為があったといえることになる。

そして、結果予見可能性を検討するにおいて、その程度と対象を考える。

程度には、具体的予見可能性を検討し、対象は法定的符合説を検討する。

ここで、過失犯においては行為の主観的側面と客観的側面を同時に検討する必要があるために、実行行為たる結果回避義務違反を検討する前提として予見可能性を検討するのである。

もっとも、過失犯においても、結果回避義務違反を形式的に該当するとして、結果予見可能性があったかどうかを検討することも問題ないと考える。


スピード違反でハンドルを誤って切って事故を起こし、隠れて荷台に乗っていた人が死んだ場合、結果回避義務違反としては、スピード違反でハンドルを誤って切ったことにあるから、形式的には該当する。

その後、結果予見可能性がそもそもあったのかを検討することも問題ないと考える。

過失の予見可能性

2009年12月25日 21時34分18秒 | 刑法
過失の予見可能性は択一模試などではよく見かけますが、論文を書いてみると疑問が沸いて来ました。

有名な問題。

暴走トラックを運転していた甲がハンドルを誤り事故を起こした際に、こっそり荷台に乗っていたXが死亡した。
甲の罪責は?


故意と過失は結果のみ同じである。
そして行為無価値の点から違法性は結果のみならず、行為も考慮すべきであるから、過失は違法性についても考慮し、その類型たる構成要件についても考慮すべきである。


過失の実行行為は、結果予見可能性を前提とした、結果回避義務違反とする。

そして結果は発生しており、相当因果関係も認められる。


構成要件的過失については、結果予見可能性があったかどうかを検討する。
具体的予見可能性を採りつつ法定的符合説のように、人に対する過失行為で人に結果が発生しており、構成要件的過失は阻却されないとする。



ここで、疑問である。

行為について検討したように結果予見可能性を前提に結果回避義務違反として、実行行為ありと考えるのに、構成要件的過失については、その結果予見可能性を検討するのか?


そうすると、実行行為自体に疑問があるのではないか?
実行行為を先に検討すべきであるから、この結果予見可能性は実行行為の段階で検討すべきではないのか?

結果予見可能性がないなら、結果回避義務は否定され、その違反はないとならないのだろうか?

実行行為ありとしながら構成要件的過失はその実行行為の前提となった結果予見可能性を検討するのは、戻ってきているのではないか?




択一ではどのような問題だったかわからないから、今度短答オープンで出たらよく検討しようっと。

主観的違法要素

2009年12月21日 22時18分31秒 | 刑法
主観的違法要素は理解困難です。
…(゜Д゜;)??



客観的違法性論は法規範を評価規範(違法性)と決定規範(責任)に区別する。


しかし、違法性の本質は、社会的相当性を逸脱した法益侵害行為と解することから、決定規範違反にも根拠を求めるべきである。
すなわち、行為無価値からは、評価規範違反という結果無価値に加えて、決定規範違反という行為無価値を考慮すべきであるからである。

これを新客観的違法性論という。

そして、法規範は人の行為を対象とするものであるが、行為は主観と客観の総合であるから、評価規範違反と決定規範違反は違法性と責任の段階で問題となる。

もっとも、違法性の段階では、評価規範違反と決定規範違反は一般人を基準に考え、責任の段階では行為者を基準に考える。




さらに違法要素には
客観的違法要素

主観的違法要素
があり、客観的違法要素は構成要件の客観的要素に加え、それ以外のたとえば、法益侵害の危険性、行為の手段、方法も含まれる。

一方、主観的違法要素は、行為の違法性に影響を与えるものであり、
特殊的主観的違法性
故意又は過失
その他の人的要素
がある。



違法性の本質を社会的相当性を逸脱した法益侵害行為と解することから、故意や過失、動機、内心的傾向は、行為の社会的相当性について影響するため、主観的違法要素も考慮すべきである。




ここで具体例として、嫌がらせのために女性乙を裸にして写真撮影をした甲に強制わいせつ罪が成立するか。


主観的違法要素を不要とすれば、甲に強制わいせつ罪が成立するが、例えば医者が性的欲求を満たすためだけに女性を裸にした場合、行為の外形だけでは判断できない。


違法性の本質における社会的相当性には主観的違法要素が影響するため、主観的違法要素を必要とすべきである。


よって、主観的違法要素としての性的意図を必要とし、甲には強制わいせつ罪を認めず、強要罪が成立するにとどまる。

過失

2009年12月19日 10時10分12秒 | 刑法
過失


過失で新過失論を採りますが、その理由って行為無価値だからってのでもいいんでしょうかね。
問題の解答例にそのような記載がありました。

結果無価値だと旧過失論になるのかな?



違法性の本質は社会的相当性を逸脱した法益侵害行為と解する。

とすると、故意と過失は結果は同じであるが、違法性において行為を検討すべきであり、違法性、有責性の類型たる構成要件でも過失を検討すべきであるから、新過失論が妥当である。



これは、旧過失論を採らないってことだけとも思えます。

誤想過剰防衛

2009年12月19日 10時06分46秒 | 刑法
誤想過剰防衛において、二分説を採り、36条2項を準用します。
もっとも、過失犯の場合準用しないのに、故意犯なら36条2項の準用で刑の免除可能は不均衡のため、減軽のみとする見解を採ります。


しかし、あてはめの際、準用するには責任阻却とし得る情状が必要なんですね。

言われてみればそうですが、誤想過剰防衛の事案では36条2項の準用ありとし、当然に減軽になると考えてました。

主観的傾向

2009年12月03日 22時01分50秒 | 刑法
行為無価値で強制わいせつなどに要求される主観的傾向は、故意以外の構成要件要素であり、主観的違法要素にあたる。

そこで、違法性の本質からこれを要求するかを検討し、社会的相当性を逸脱する法益侵害行為と解することから、社会的相当性の判断に主観的違法要素を検討すべき。

そして、この主観的傾向が否定されるなら構成要件に該当せず犯罪不成立となる。

結果無価値の場合は、主観的傾向は不要であるから、犯罪成立するのでしょう。