ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

間接暴行

2009年10月30日 00時32分03秒 | 刑法
間接暴行は、人に向けられた間接的なものであればよく、人の身体に直接向けられたものでないことをいいます。

間接暴行の具体例ってあまりないですね。


公務執行妨害罪の暴行が例としてあげられますが、覚せい剤事犯での注射器を破壊したとか、逮捕状を破いたとかですので、物に対するものが基本となるのかな?


人の身体に直接向けられていなくて、物に対するものでないものはあるのかなぁ?
物に対するもののみなのか、それ以外もあり得るのかが不明です。

以前記載した無形的方法による傷害(病人に栄養、薬を与えず衰弱させる場合)は、間接暴行ではないようですし。


ちょっと不明です。

傷害罪

2009年10月28日 22時04分43秒 | 刑法
一部修正しました。

傷害罪は、通説は有形的方法による場合は暴行の故意、無形的方法による場合は傷害の故意が必要とします。

傷害罪を暴行罪の結果的加重犯と解した場合、暴行以外の手段による傷害の場合に傷害罪の成立を認め得なくなるという有力な批判があるんですね。

暴行罪が前提にあって傷害が発生することを念頭に置いているためです。

なるほど。


暴行以外の手段で傷害の結果とはどんな場合でしょう?

暴行罪は狭義の暴行ですから、間接暴行で傷害が成立した場合でしょうか。


追記
無形的方法による傷害は、病人に栄養、薬を与えず衰弱させる場合があたるそうです。

また、逆に有形力としての暴行は、物理的な力だけではなく、音、光、電気などのエネルギーも暴行罪にあたるようです。

横領罪と背任罪

2009年10月25日 22時02分53秒 | 刑法
横領罪は個別財産に対する罪とされています。

そして、判例は故意とは別の不法領得の意思が必要としています。

そして、横領行為であっても本人のためにする意図があれば横領罪は成立しないとされます。
これは故意とは別の不法領得の意思が否定されるから。


しかし、不法領得の意思を不要とし、財産的損害の認識という故意に吸収されると考えると、本人のためにする意思があっても財産的損害の認識があれば横領罪が成立することになり、処罰範囲が広がりそうです。
これは、個別財産の罪だから、委託信任関係に背かなければ、財産的損害はなかったとでもいうのかな?

ちょっと不明。



一方、背任罪は全体財産の罪とされています。
そのため、故意とは別に本人に対する図利加害目的が必要とされています。
これは、本人のためにする意図があるならば、一時の財産的損害の意図であっても結果的に本人のために利益を得させようというのならば、全体として財産的損害はないとの認識を保護し、背任罪の故意は阻却されるからと考えられます。


合ってるのかなぁ?

このあたりは弱いです。

正当業務行為

2009年10月20日 18時49分18秒 | 刑法
通信の秘密に対する総務省の見解
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/11/14/13944.html



では、正当業務行為と思ってしていたのに、正当業務行為とは認められなかった場合。


この場合、違法性に関する事実の錯誤か、違法性の錯誤か。


前者の場合、違法性阻却事由の錯誤になります。

これは誤想防衛と同じと考えると、事実の錯誤として、誤想防衛は急迫不正の侵害がないのにあると誤信して正当防衛を行ったことですから、責任故意が阻却されるとする責任阻却事由説を採る自説からは、この場合も同じく責任阻却されると考えられます。


正当業務行為について、急迫不正の侵害は要件となっていないので、これは目的の正当性や必要性、相当性の錯誤などが当たるでしょうか。



後者の場合、違法性の錯誤、すなわち法律の錯誤になります。

この場合、違法性の意識の可能性があれば責任故意は阻却されないが、可能性がなければ責任故意が阻却されると解します。



以上のことから、正当業務行為と思っていたのに、正当業務行為とは認められなかった場合、違法性の事実に関する錯誤の場合、違法性の錯誤の場合、いずれの場合でも、責任故意が阻却される場合があるといえます。

同意

2009年10月20日 16時22分28秒 | 刑法
財産罪や自由に対する被害者の同意は構成要件該当性を阻却すると解し、傷害に関しては違法性を阻却すると解します。

傷害に関しては、身体、生命は存在そのものに価値があるので、同意があっても法益侵害性は認められるからである。


では、通信の秘密を公務員や電気通信事業者が害した場合、処罰されますが、当事者が同意した場合はなぜ犯罪が成立されないのでしょうか?

電気通信事業者やインターネットプロバイダ協会は違法性が阻却されるとしています。

通信の秘密の趣旨は主にプライバシー保護にあるといえるので、上の例だと構成要件該当性が阻却される気がします。

また、同協会は正当業務行為として違法性が阻却されるともしています。

この場合の正当業務行為が成立するには、
目的の正当性
通信の秘密を害する必要性
手段の相当性
を要件としています。

目的の正当性というのは目的手段審査みたいです。

この基準は刑法においても参考になりそうです。

誤想過剰防衛

2009年10月13日 22時23分49秒 | 刑法
誤想過剰防衛は色々ややこしいです。

択一的問題だと結論から逆算する必要もあります。


急迫不正の侵害を誤信した場合に過剰な攻撃をして相手方を死亡させた場合。


誤想過剰防衛は傷害致死罪が成立する。

この結論は、違法性阻却事由の錯誤は法律の錯誤と解し、誤想防衛を法律の錯誤と解する見解から導くことができる。
法律の錯誤は故意を阻却しないと解すると違法性阻却事由の錯誤によっては故意を阻却しないため、故意犯が成立する。
そして誤想過剰防衛は誤想防衛の延長線上に位置するものであるから、故意犯が成立する。
したがって傷害致死罪が成立する。

占有離脱物横領罪と暴行、脅迫

2009年07月22日 08時57分40秒 | 刑法
先日書いた
窃盗犯が財物の取り返しを防ぐため、暴行、脅迫をした場合、事後強盗罪を検討

占有離脱物横領犯が財物の取り返しを防ぐため、暴行、脅迫をした場合、強盗利得罪を検討



後者の事例は、
Aが座っていたベンチの横にポーチが落ちていた。
これを見付けた甲はAがベンチから離れ、ポーチに気付かないことを確認しながら、ポーチを取りその場を離れようとした。

ところが、そのポーチは昨日Bが落とした物であり、甲がポーチを持ち、その場を離れようとした時にBが探しにきた。
Bは、甲が持っているのを確認したため、『返して』と言ったところ、甲は取り返しを防ぐためにナイフで脅し、Bは諦めた。


この場合、故意の錯誤で、占有離脱物横領罪が成立し、取り返しを防ぐ行為は2項強盗罪というのが予備校の解答か、優秀答案にあったのです。


財産上不法の利益は、ポーチの返還を免れたこと。



この事例、占有離脱物横領と暴行なら、納得がいったのですが、2項強盗罪なら、窃盗犯が財物の取り返しを防ぐために暴行、脅迫をしても2項強盗罪になるので、そうするとわざわざ事後強盗罪を規定した意味がなくならない?と思ったのです。

意味があるとするためには、占有離脱物横領罪と暴行がすっきりします。


態様は全く同じなので、占有離脱物横領犯の方が窃盗犯よりも罪質は軽く、窃盗犯なら事後強盗、占有離脱物横領犯なら、これに加えて暴行罪が良さそうな気がします。


しかし、後日、ポーチの取り返しを防ぐために暴行、脅迫をしたら2項強盗罪なので、その場での暴行、脅迫と後の暴行、脅迫で不均衡になるため、やはり、2項強盗罪の成立なのかなぁ。


なお、窃盗既遂犯が『財物確保』のため、暴行、脅迫した場合には、事後強盗説と2項強盗説があるようです。

事後強盗と強盗利得

2009年07月18日 12時25分20秒 | 刑法
窃盗犯が財物の取り返されるのを防ぐため、暴行、脅迫を行ったら事後強盗罪の成否を検討します。

しかし、

占有離脱物横領罪の犯人が財物を取り返されるのを防ぐため暴行、脅迫を行ったら強盗利得罪を検討するんですね。

行為、態様は同じでも検討するのが異なるのも不思議な気がしますが、仕方ないですかね。

あと一日

2009年07月18日 12時16分17秒 | 刑法
ついに明日決戦です。


今日の注意点

自説

違法性の錯誤は、法律の錯誤であり、責任故意の要件として違法性の意識の可能性があれば、責任故意は阻却されない。
∵故意責任の本質から、違法性の意識の可能性すら認められないなら、反対動機の形成も認められない。


違法性阻却事由の錯誤は事実の錯誤として、責任故意を阻却する。
∵違法性阻却事由の錯誤あれば、反対動機の形成が認められない。

代理名義の冒用

2009年07月10日 00時43分17秒 | 刑法
代理名義の冒用がようやく見えてきた気がします。


偽造は争いないから、定義で。

「偽造」とは、作成権限のない者が、他人名義を冒用して文書を作成すること(有形偽造)をいい、名義人と作成者の人格的同一性を偽ることをいう。

そして、代理名義の冒用について、名義人、作成者を誰とするかが問題となる。

文書偽造罪の保護法益は、文書の社会的信用にあり、これを保護するためには形式的真正性が重要となる。

そこで、代理名義の文書においては、
作成者は、文書の意思・観念の主体をいい、
名義人は、当該文書から誰に効果が帰属するかが文書の社会的信用として重要であるため、当該文書の効果が帰属する者をいう。

平成19年度刑法第1問

2009年07月06日 00時34分43秒 | 刑法
平成19年度刑法第1問の早すぎた構成要件で、乙の罪責がよく分かりませんでした。


簡単に書くと、

Xを殺害するため、甲と乙が薬剤で昏睡させ、海に投棄して殺害する計画を立てた。

甲と乙は、薬剤をかがせ、昏睡にした。
乙は、止めようと甲に懇請したが甲に殴られ気絶した。

甲は、Xをでき死させる意思で、海に投棄した。

しかし、Xは薬剤をかがせた時点で死亡していた。



この時の甲の罪責は、殺人罪についても認められるか問題がありますが、例えば認められたとします。


そうだとしても、乙も殺人罪の共同正犯とし得るかが疑問です。


甲に殺人罪を認めるのは、まず、殺人の実行行為を、第一行為は、第二行為を行うために確実かつ容易に行うため必要不可欠であり、第一行為と第二行為の間に障害となる事情がなく、密接関連行為として全体として一個の行為と解します。


そして、第一行為の時点で、具体的現実的法益侵害を惹起したといえるから、実行の着手ありとします。

さらに、第二行為の時点で殺意があったとしても、実行行為全体と最終的結果について認識し実現する意思があれば、全体として殺人の故意があったと認められるからだと思います。



さて、乙については、薬剤をかがせた時点で殺人の故意はなく、その後も海に投棄しておらず、殺人の故意がない。
とすると、実行行為全体と最終的結果について認識し実現する意思を欠くのではないでしょうか?


それなのに、共同正犯として殺人罪とするのは、何だか変な感じです。

殺人罪の故意を欠き、傷害致死罪の限度で共同正犯が成立とするのは、ダメなののかなぁ??

代理名義の冒用には、作成者は誰かという問題と名義人は誰かという問題がある

2009年07月01日 00時21分02秒 | 刑法
代理名義の冒用には、作成者は誰かという問題と名義人は誰かという問題がある
ということをよく理解していなかったために、勘違いが生じました。



Xには、Aの代理権限がないのにA代理人Xとする文書を作成した場合。


偽造罪について


偽造罪の保護法益は、文書に対する社会一般の信用である。

そして、これは、名義人が責任を負うかどうかが重要であるため、
偽造とは、文書の名義人と作成者の人格的同一性を偽ることである。



ここで、疑問だったのが、代理名義の冒用なのです。


上記問題で、XがAの代理権限を有する正当な代理人の場合、
形式的に把握すると、作成者はX、名義人はAとなります。

とすると、作成者はX≠名義人はAとなってしまい、偽造の形式的
定義に該当することになります。


これに対して、択一で有名な承諾を与えたから違法性が阻却されると
いう反論もありますが、文書に社会的信頼を保護する公共的犯罪に個人の意思で違法性が
阻却されるのは妥当でないと再度批判されます。


そのため、代理名義の冒用については、作成者は誰かという問題と、
名義人は誰かという問題があるのです。


形式的に作成者はXとすると上記疑問があります。


そこで、判例は、
作成者は、文書の意思の主体と解します。


とすると、正当な代理権を有するのであるから、Xが作成した
文書の意思の主体はAであるため、法律的意味の作成者は、Aである。

そこで、
作成者はA=名義人はAとなり、偽造ではなくなる。


ここで、以前のブログでは、文書の意思の主体ではなく、効果帰属する者と
いう説を取った場合、

「作成者は、現に作成した者をいうのではなく、文書の効果が帰属する者」

と記述しています。

この場合、択一で有名な、公序良俗違反で効果が名義人に帰属しない場合、
自己が作成した自己名義文書でも有形偽造になるとの批判があります。


そして、代理権限がない者が作成した文書については、
文書の意思の主体は、冒用者の意思によって作成されたので、
文書の作成者はXとなります。



さて、次に問題となるのが、名義人ですが、名義人は、
文書上認識される者というべきことから、上記問題では
本人Aとなります。


代理名義の冒用の択一的まとめ

作成者

1.文書を形式的に作成した人
×社長秘書が作成しても偽造になる。

2.文書の意思の主体となる人
×代理権を濫用した場合も偽造になる

3.文書の効果が帰属する人
×自己作成文書で公序良俗違反の文書の場合も偽造になる。


名義人

1.無権代理人X
×無形偽造になる

2.本人A

3.A代理人X
×肩書きの冒用も偽造になる




ということで、まとめてみますと、

代理名義の冒用には作成者と名義人の問題がある。

作成者が文書の意思・観念の主体とした場合、その者が
作成した文書上認識される名義人と異なる場合に
有形偽造となる

ということがいえると思います。

放火罪と正当防衛

2009年07月01日 00時17分49秒 | 刑法
放火罪と正当防衛に関して、コメントいただき、ありがとうございました。


考察しましたところ、下記のように至りました。


また、ご意見がございましたら、よろしくお願いします。


正当防衛は、急迫不正の侵害に対する防衛行為でなければならず、
放火罪は、この侵害に対する防衛行為ではないため、正当防衛は成立しない。

一方、

緊急避難は、現在の危難を避けるための避難行為であれば良いため、
放火罪であっても緊急避難が成立する可能性がある。