ファイナル答練刑訴法第4回をやりました。
今回のは非常に典型論点の組み合わせ問題で簡単でした。こういうのならば、事例の分析は簡単なんですけどね。
刑法に入りました。1問書いてみました。
刑法平成8年度第1問
「甲及び乙は、友人Aに対して、二人で殴る蹴るの暴行を加え、傷害を負わせた。甲及び乙は、Aを甲のアパートに連れて行き、傷の手当をしていたが、Aが次第に高熱を発し、意識もうろうの状態になったため、Aが死亡するかもしれないと思ったものの発覚を恐れ、放置しておくこととした。しかし、その後、乙は、Aがかわいそうになり甲の外出中にAを近くの病院に運び込み、看護婦に引き渡した。
ところが、当時、その病院の医師が、たまたま外出中であったため、手遅れとなり、Aは、甲及び乙の暴行による内臓の損傷が原因で死亡してしまった。
甲及び乙の罪責を論ぜよ。」
答案
○甲の罪責
・Aに対して傷害を負わせている=傷害罪(204条)
・Aを自宅のアパートに連れ込み放置(=不作為)し、その結果死亡
↓
不作為も実行行為として「殺した」?
↓
実行行為とは、犯罪の結果発生の具体的・現実的危険を有する行為
→不作為でも実現可
↓しかし
不作為は広範で無限定になり、刑法の自由保障機能を害する
↓よって
作為と構成要件的同価値性が認められるかどうか
①法益の高度の危険
②作為の可能性・容易性
③作為義務の存在
↓ここで
③作為義務は、法律、条理、契約を基に、先行行為、排他的支配の有無等の事情で判断すべき
↓あてはめ
①Aは傷害を負い、高熱あり=生命の高度の危険
②病院に連れて行くことは容易・可能
③傷害を加え、条理上救助義務(作為義務)あり=先行行為+排他的支配
→殺人罪の実行行為あり
↓さらに
甲の不作為とA死亡結果発生の因果関係あり(因果関係を遮断する事由なし)
↓加えて
未必的故意(38条1項)あり
↓したがって
甲は殺人罪の罪責も負う
○乙の罪責
・Aに対して傷害を負わせている=傷害罪
・Aを自宅のアパートに連れ込み放置し、死亡結果発生により殺人罪成立
↓しかし
乙は中止行為あり
↓もっとも
結果発生しているため中止犯(43条但書)は成立不可
→準用は?
↓
中止犯による刑の必要的減免は、結果発生防止行為に向けた真摯な行為に責任が減少する点にある
×責任減少なら、刑の免除ではなく、犯罪不成立とすべき
↓そこで
褒賞を与えるという政策的観点も考慮すべき
↓とすると
結果発生の場合には褒賞を与える必要なく、中止犯の準用もなし
↓したがって
乙に中止犯の準用なし
○両者の罪責
甲及び乙は、傷害罪と殺人罪の共同正犯(60条)で、傷害罪は殺人罪に吸収
今回のは非常に典型論点の組み合わせ問題で簡単でした。こういうのならば、事例の分析は簡単なんですけどね。
刑法に入りました。1問書いてみました。
刑法平成8年度第1問
「甲及び乙は、友人Aに対して、二人で殴る蹴るの暴行を加え、傷害を負わせた。甲及び乙は、Aを甲のアパートに連れて行き、傷の手当をしていたが、Aが次第に高熱を発し、意識もうろうの状態になったため、Aが死亡するかもしれないと思ったものの発覚を恐れ、放置しておくこととした。しかし、その後、乙は、Aがかわいそうになり甲の外出中にAを近くの病院に運び込み、看護婦に引き渡した。
ところが、当時、その病院の医師が、たまたま外出中であったため、手遅れとなり、Aは、甲及び乙の暴行による内臓の損傷が原因で死亡してしまった。
甲及び乙の罪責を論ぜよ。」
答案
○甲の罪責
・Aに対して傷害を負わせている=傷害罪(204条)
・Aを自宅のアパートに連れ込み放置(=不作為)し、その結果死亡
↓
不作為も実行行為として「殺した」?
↓
実行行為とは、犯罪の結果発生の具体的・現実的危険を有する行為
→不作為でも実現可
↓しかし
不作為は広範で無限定になり、刑法の自由保障機能を害する
↓よって
作為と構成要件的同価値性が認められるかどうか
①法益の高度の危険
②作為の可能性・容易性
③作為義務の存在
↓ここで
③作為義務は、法律、条理、契約を基に、先行行為、排他的支配の有無等の事情で判断すべき
↓あてはめ
①Aは傷害を負い、高熱あり=生命の高度の危険
②病院に連れて行くことは容易・可能
③傷害を加え、条理上救助義務(作為義務)あり=先行行為+排他的支配
→殺人罪の実行行為あり
↓さらに
甲の不作為とA死亡結果発生の因果関係あり(因果関係を遮断する事由なし)
↓加えて
未必的故意(38条1項)あり
↓したがって
甲は殺人罪の罪責も負う
○乙の罪責
・Aに対して傷害を負わせている=傷害罪
・Aを自宅のアパートに連れ込み放置し、死亡結果発生により殺人罪成立
↓しかし
乙は中止行為あり
↓もっとも
結果発生しているため中止犯(43条但書)は成立不可
→準用は?
↓
中止犯による刑の必要的減免は、結果発生防止行為に向けた真摯な行為に責任が減少する点にある
×責任減少なら、刑の免除ではなく、犯罪不成立とすべき
↓そこで
褒賞を与えるという政策的観点も考慮すべき
↓とすると
結果発生の場合には褒賞を与える必要なく、中止犯の準用もなし
↓したがって
乙に中止犯の準用なし
○両者の罪責
甲及び乙は、傷害罪と殺人罪の共同正犯(60条)で、傷害罪は殺人罪に吸収
>社会奉仕もせずに受験専業なんてふざけんな
人には境遇っていうものがありますから、現在の自分の置かれている立場でどのくらい頑張れるかじゃないでしょうか。
上を見ても下を見てもキリがありません。
己に打ち克つ(克己)のみですよ!