Kuniのウィンディ・シティへの手紙

シカゴ駐在生活を振り返りながら、帰国子女動向、日本の教育、アート、音楽、芸能、社会問題、日常生活等の情報を発信。

パリ在住画家早川俊二氏からの手紙~ミケランジェロデッサン展を見る

2010-12-05 | アート
昨日今日といたく落ち込むことが起きて、しばし気分は鬱状態・・・
めずらしくドーンと落ちて、気持ちが闇の底を這い回る。

そうしたら、パリ在住画家の早川俊二さんから長いメールが携帯に届く。
11月30日からウィーンに3泊4日滞在し、Albertina美術館でミケランジェロのデッサン展を見に行ってきたという。
日本人の画家の中でも卓越したデッサン力と空間の表現力を持つ早川さんが、一番影響を受け、自身もめざしたであろうミケランジェロの白と黒のデッサンの世界を今一度確かめるという崇高な行為。
日本でのチマチマしたことが一気に吹き飛んでしまうような出来事である。
以下、パリにもどって書かれた彼からの手紙(メール報告)をぜひ読んでいただきたい。(早川さんからブログへの掲載許可をいただきました。)


ウィーンから一昨日夜0時少し前に帰宅しました。
ご存じかと思いますが、今年のヨーロッパは雪が多くて、やはりウィーン空港でも大雪のために3時間半ほど遅れて飛び立ちました。

3泊4日の旅でしたが、雪が降らなかったのは1日だけで、到着した翌日は吹雪の中を歩き美術館を見学しました。
ミケランジェロは滞在中、3日間毎日通いました。

ミケランジェロのデッサンはすごいの一言です!!僕の人生の中で見た最大の展覧会でしょう。
おそらく、これからもこれ以上の展覧会を見ることはないと思います。
セザンヌ展も大変素晴らしい展覧会でしたが、今回のデッサン展はミケランジェロの代表作の大半は揃っていたのではなかろうかと思います。
もちろん僕が影響を受けたデッサンも展示されており、よく見納めてきました。
この作品は「創造的対話inパリ」の最終章・前編の最終ページに掲載されています。

どの作品もそうですが、図版では絶対出ない調子があり、今回実物を見たあとすぐに
カタログを見て印象の違いを確認しておきました。図版は調子が飛んでおり、またスカスカです。
僕の稚拙な言葉でも、感想を書いておいた方が良いかなと思っています。
出来るかどうか分かりませんが挑戦してみますのでお待ちください。

初日、ミケランジェロを見たあと美術史博物館のブリューゲル、ベルヴェデーレ美術館のクリムト、エゴン・シーレを見たのは失敗でした。
ミケランジェロで味わった崇高な感覚がどんどん遠のいてしまって、翌日からは他の絵を見ないことにしました。

雪の中のウィーンは街を歩くのに不便しましたが、一生忘れられない印象深い旅になりました。
ドイツ語圏で何を言われているのかまったく分かりませんでしたが、シャルル・ド・ゴールに降りて入ってくる言葉が理解出来ることのありがたさを痛感しました。

滞在中、食事はホテルで朝食をたっぷり食べて出かけたので、昼食は2、3時頃、自然食・菜食レストランに毎日通いました。
普通のレストランでは野菜が少ないので、ここで思い切り食べました。
これは大変助かりましたね!!
パリは雪があまりありませんでしたが、零下3度という寒さでストーブを焚き続けても暖かくならずに震えて寝ました。
昨日夕方になって部屋の中が暖かくなりホッとしました。
簡単ですが旅の報告でした。

早川俊二   12月5日   朝


冬のヨーロッパの凍りついた空気の中、ウィーンという国をイメージしながら、早川さんが長年影響を受け続けてきた生のミケランジェロに再会できた喜びが伝わってくる。
この崇高な出会いが今後の早川作品にどう影響していくか、ファンとしては胸騒ぎが・・・

写真の作品は、10月から11月にかけてのアスクエア神田ギャラリーでの「早川俊二小品展」から。
ワタクシの気に入った作品。

Albertina美術館のサイト: http://www.albertina.at/jart/prj3/albertina/main.jart