日本時間21日の夜中に始まったワシントンDCでのオバマ新大統領の就任式。私は、NHKBS1のABCの特別番組の放送を副声音の英語にして、アメリカにいるような臨場感を味わいながら、1人興奮して見ていた。アナウンサーの女の人の声は、なつかしいやり手、ダイアン・ソイヤーのようだ。80年代より、彼女は、ずっとABCに君臨している。もう1人のアナウンサーとのやりとりで、なんとなく、いつもよりもはしゃいだ雰囲気が伝わってきた。
カーター、クリントン、ブッシュ親子など歴代の大統領が続々と夫人たちとともに登場。ブッシュ父は、足元がおぼつかないが、なんと紫のスカーフを巻いてしゃれっ気をだしている。みんな黒人初の大統領誕生の瞬間に立ち会うとあって、やや眩しげに、微笑みあっている。見守る200万人以上の全国から集まってきた人々。国会議事堂から延々と続く人人の群れの壮観な様子が映し出される。ときおり、待ちきれずに「オバマ!オバマ!」とチャントする人たち。ブッシュ一家の家具は出され、オバマ一家の家具がホワイトハウスに運ばれている模様。
気温は零下なのに、世紀のイベントを前に、人々の心は熱い!オバマ氏の待機している姿が映し出されるが、赤いネクタイを締め、冷静にかすかな笑みさえ浮かべて、緊張している気配がない。不思議な人だ。こんなに何億人いや何十億人もの世界中の人々がオバマ氏一点だけを見つめているというのに・・・
就任式の開会宣言をしたのは、ファインスタイン上院議員で、女性。とても堂々としていて、アメリカの歴史史上かつてない出来事だというのを実感できた。アリサ・フランクリンの美しい歌声がワシントンDCの町のかなたに響きわたる。厳粛な瞬間が訪れるのだと呼びかけているようだ。
バイデン副大統領の宣誓式に続き、チェロ奏者のヨーヨー・マたちの清らかな演奏。バイオリン、ピアノなどの演奏だが、こちらも多種多様の人種で構成される。いかにもオバマ氏の大統領就任式にふさわしい心憎い演出だ。
いよいよオバマ大統領の宣誓だ。言われた言葉を繰り返すだけだが、おっと、最初の文をちょっと言い間違えたかしら、オバマ氏、やはり緊張してる?と思いきや、かる~いノリでかわして、注目の宣誓はあっさりと終わった。オバマ氏の話では、最初は資金力もなく、ネットによる草の根運動で、短期間でアメリカという国の頂点にたどりついた。ちょっとしたテレがオバマ氏にあったのだろうか。そんなことが可能となるほど、アメリカ国民の政府に対する怒りは爆発寸前だったのだろう。
オバマ大統領というのは、いまやアメリカ国民全体の象徴なのだ。みんなの声を代表する本来の意味の大統領をめざす。昨日のNHKの「クローズアップ現代」で、オバマ氏には、ネットを通した百数十万人ものサポーターがついているという。オバマ氏は、いつでもどこでも一斉にこの人たちと対話が可能で、たとえオバマ大統領の意見に反対する議員がいても、国中にいるサポーターが、その議員に圧力をかけて、説得することができるという。また、ホームレスや職をなくした人たち、低所得者など、どんな人の意見もすくいあげるほど、それらのサポーターの人々のネットワークづくりができているという。アメリカはどん底を経験し、国民が一致団結して、這い上がろうとしている。
私の一番のアメリカ人の親友べスと彼女のボーイフレンドのマットも人一倍アメリカという国の方向性を杞憂していた。二人共贅沢とは無縁だが、シカゴ郊外の美しい町で、日々の生活をエンジョイしながら、まじめに働いている。マットは、まだ50代はじめなのに、パーキンソン病に冒されている。この病気が発覚してから、数年たち、年々ひどくなっている。なのに、去年べスからマットのことを聞いたとき、健康保険会社に保険に入るのを断られたという。重い病気になっているから保険に入らなければ生活が成り立たないのに、その病気がひどくなっているから、保険に入れないのだと言う。まさに弱者切捨ての社会!いつも冷静なべスだが、このときは「この国は、弱いものをサポートしない!アンフェアだ。」と強い怒りの表情をあらわにしていた。そして、べスもマットも2人とも勿論「オバマ氏が大統領になりますように!」と願っていた。去年シカゴで、私の周りのアメリカ人はみんな同じ意見だった。でも、それがこんなに早く実現するとは!
オバマ大統領の演説が始まった。今までの国の経緯を説明し、「今求められているのは、新たな責任の時代だ。それは、1人ひとりの米国人が、私たち自身とわが国、世界に対する責任があると認識することだ」とやや引き締まった表情であたかも1人1人を見渡すかのように語りかけた。ときには、言葉をかみしめるかのように、絶妙の間をとる。自分自身にその言葉を刻むかのよう。「米国は再び主導する役割を果たす用意がある」とオプティミスティックな言葉で、みんなに希望と自信を持たせ、励ます。キング牧師のような声を震わせるような大げさな演説ではなかった。オバマ流とでも言おうか。冷静にみんなを励ました。
就任式の前日だったか、ボランティア・ディを国民に呼びかけ、オバマ氏自らボランティアとして、ペンキ塗りをする姿が、印象的だった。やりながら、インタビューに答える。話し方が、演説のときのオバマ氏と打って変わって、ややぶっきらぼうで、なぜか普通のその辺にいる中西部の若者と同じ雰囲気を感じる。なんか、親しみやすい大統領やなあ。普段着のオバマ氏といつもの演説での冷静沈着で理性的な大統領のイメージのオバマ氏とのギャップが、ますますファンを増やすのだろう。
オバマ大統領と新生アメリカ。どうか、どうか、オバマ政権の改革がうまく行くように!それは、日本と直結し、しいては、私たち自身の生活にもじわじわと影響を及ぼす。今後は、アメリカ発のニュースに目が離せない。
追伸
先ほど、べスよりメール。「アメリカの経済状況、引き続き悪し。オバマ大統領の就任式はエキサイティングだった。しかし、人々の期待があまりに大きすぎて、現時点でオバマ大統領が到達できる範囲を超えている」と警戒のコメントだった。私も同感。
カーター、クリントン、ブッシュ親子など歴代の大統領が続々と夫人たちとともに登場。ブッシュ父は、足元がおぼつかないが、なんと紫のスカーフを巻いてしゃれっ気をだしている。みんな黒人初の大統領誕生の瞬間に立ち会うとあって、やや眩しげに、微笑みあっている。見守る200万人以上の全国から集まってきた人々。国会議事堂から延々と続く人人の群れの壮観な様子が映し出される。ときおり、待ちきれずに「オバマ!オバマ!」とチャントする人たち。ブッシュ一家の家具は出され、オバマ一家の家具がホワイトハウスに運ばれている模様。
気温は零下なのに、世紀のイベントを前に、人々の心は熱い!オバマ氏の待機している姿が映し出されるが、赤いネクタイを締め、冷静にかすかな笑みさえ浮かべて、緊張している気配がない。不思議な人だ。こんなに何億人いや何十億人もの世界中の人々がオバマ氏一点だけを見つめているというのに・・・
就任式の開会宣言をしたのは、ファインスタイン上院議員で、女性。とても堂々としていて、アメリカの歴史史上かつてない出来事だというのを実感できた。アリサ・フランクリンの美しい歌声がワシントンDCの町のかなたに響きわたる。厳粛な瞬間が訪れるのだと呼びかけているようだ。
バイデン副大統領の宣誓式に続き、チェロ奏者のヨーヨー・マたちの清らかな演奏。バイオリン、ピアノなどの演奏だが、こちらも多種多様の人種で構成される。いかにもオバマ氏の大統領就任式にふさわしい心憎い演出だ。
いよいよオバマ大統領の宣誓だ。言われた言葉を繰り返すだけだが、おっと、最初の文をちょっと言い間違えたかしら、オバマ氏、やはり緊張してる?と思いきや、かる~いノリでかわして、注目の宣誓はあっさりと終わった。オバマ氏の話では、最初は資金力もなく、ネットによる草の根運動で、短期間でアメリカという国の頂点にたどりついた。ちょっとしたテレがオバマ氏にあったのだろうか。そんなことが可能となるほど、アメリカ国民の政府に対する怒りは爆発寸前だったのだろう。
オバマ大統領というのは、いまやアメリカ国民全体の象徴なのだ。みんなの声を代表する本来の意味の大統領をめざす。昨日のNHKの「クローズアップ現代」で、オバマ氏には、ネットを通した百数十万人ものサポーターがついているという。オバマ氏は、いつでもどこでも一斉にこの人たちと対話が可能で、たとえオバマ大統領の意見に反対する議員がいても、国中にいるサポーターが、その議員に圧力をかけて、説得することができるという。また、ホームレスや職をなくした人たち、低所得者など、どんな人の意見もすくいあげるほど、それらのサポーターの人々のネットワークづくりができているという。アメリカはどん底を経験し、国民が一致団結して、這い上がろうとしている。
私の一番のアメリカ人の親友べスと彼女のボーイフレンドのマットも人一倍アメリカという国の方向性を杞憂していた。二人共贅沢とは無縁だが、シカゴ郊外の美しい町で、日々の生活をエンジョイしながら、まじめに働いている。マットは、まだ50代はじめなのに、パーキンソン病に冒されている。この病気が発覚してから、数年たち、年々ひどくなっている。なのに、去年べスからマットのことを聞いたとき、健康保険会社に保険に入るのを断られたという。重い病気になっているから保険に入らなければ生活が成り立たないのに、その病気がひどくなっているから、保険に入れないのだと言う。まさに弱者切捨ての社会!いつも冷静なべスだが、このときは「この国は、弱いものをサポートしない!アンフェアだ。」と強い怒りの表情をあらわにしていた。そして、べスもマットも2人とも勿論「オバマ氏が大統領になりますように!」と願っていた。去年シカゴで、私の周りのアメリカ人はみんな同じ意見だった。でも、それがこんなに早く実現するとは!
オバマ大統領の演説が始まった。今までの国の経緯を説明し、「今求められているのは、新たな責任の時代だ。それは、1人ひとりの米国人が、私たち自身とわが国、世界に対する責任があると認識することだ」とやや引き締まった表情であたかも1人1人を見渡すかのように語りかけた。ときには、言葉をかみしめるかのように、絶妙の間をとる。自分自身にその言葉を刻むかのよう。「米国は再び主導する役割を果たす用意がある」とオプティミスティックな言葉で、みんなに希望と自信を持たせ、励ます。キング牧師のような声を震わせるような大げさな演説ではなかった。オバマ流とでも言おうか。冷静にみんなを励ました。
就任式の前日だったか、ボランティア・ディを国民に呼びかけ、オバマ氏自らボランティアとして、ペンキ塗りをする姿が、印象的だった。やりながら、インタビューに答える。話し方が、演説のときのオバマ氏と打って変わって、ややぶっきらぼうで、なぜか普通のその辺にいる中西部の若者と同じ雰囲気を感じる。なんか、親しみやすい大統領やなあ。普段着のオバマ氏といつもの演説での冷静沈着で理性的な大統領のイメージのオバマ氏とのギャップが、ますますファンを増やすのだろう。
オバマ大統領と新生アメリカ。どうか、どうか、オバマ政権の改革がうまく行くように!それは、日本と直結し、しいては、私たち自身の生活にもじわじわと影響を及ぼす。今後は、アメリカ発のニュースに目が離せない。
追伸
先ほど、べスよりメール。「アメリカの経済状況、引き続き悪し。オバマ大統領の就任式はエキサイティングだった。しかし、人々の期待があまりに大きすぎて、現時点でオバマ大統領が到達できる範囲を超えている」と警戒のコメントだった。私も同感。
でも、アメリカの不景気は深刻のようです。日本からの駐在でも予定より帰国が早くなったり、来たばかりなのに帰らなくちゃいけない方なども聞きます。無理矢理長期休暇を取らされる話とか。
アメリカの景気っていろんな国にも影響があるから、なんとかいい方向へ向かってほしいですよね。