Kuniのウィンディ・シティへの手紙

シカゴ駐在生活を振り返りながら、帰国子女動向、日本の教育、アート、音楽、芸能、社会問題、日常生活等の情報を発信。

司太鼓の醍醐味を味わう!~シカゴ日本人学校にて

2008-09-12 | シカゴ日本人学校全日校
今日は、シカゴ日本人学校大体育館にて、中西部では有名な「司太鼓」という太鼓演奏グループによるダイナミックな日本古来の太鼓演奏が全日校の生徒と保護者たちの前で披露された。松平校長先生によると、このイベントは、全日校の音楽の授業の一環だそうだ。

「太鼓には型がある」というシカゴではおなじみのジャズ・ベーシストの青木達幸(たつゆき)氏の説明で始まった。日本の太鼓の歴史は、何百年も前の大昔、中国から日本へ伝わってきて、その当時はお上のみしか演奏できず、仏教のセレモニーに使われるようになり、400年ぐらい前に村々のお祭り等で一般の人も演奏できるようになったという。昔の太鼓演奏は、豊作になるよう神様に捧げるような意味もあったという。



私たちにとっての太鼓というのは、日本の祭りにはなくてはならないもの。その力強い音がかもし出す意味というものを今まで考えたことがなかった。神道という宗教の中で神に念じながら、気持ちをととのえて、太鼓を打っていた昔の人々の精神はさぞや清いものだったのだろう。木々や石などあらゆる自然物に神々が宿ると信じていた古来の日本人。自然の中で、自然と一体化しながら、太鼓をひたすら打つ姿が想像される。



そう、今日の司太鼓の演奏もあたかもそういう日本古来の精神がのりうつったかのような凛としたパフォーマンスであった。踊りながら太鼓をたたく「助六」。魚の網をなげるイメージの「三宅」は、太鼓が床に近いため、太鼓を打つ姿勢がかなり低い。苦しい姿勢だろうが、足をピンと広げ、何かにとりつかれたかのように太鼓をたたく。太鼓奏者は、吉橋英律氏と本間永実氏。(3人のシカゴ日本人学校卒業生とともに)

司太鼓は、中西部では、有名で、吉橋氏が1996年にこのグループを結成し、2004年にJASC(Japanese American Service Committee of Chicago)に活動を移し、今に至っている。各地の学校でもワークショップが行われ、今後日本人学校でもワークショップを行う予定らしいので、楽しみである。

ときどき、米山真澄氏による笛や青木氏による三味線も織り交ぜながら、迫力ある太鼓の音がシカゴの日本人学校の大体育館に鳴り響く。



子供たちは、微動だにせず、真剣に目と耳、そして体全身で太鼓の鼓動を感じていたようだ。



青木氏の説明によると、現代の太鼓は、40年ぐらい前に組太鼓というのがはやってきて、田中先生という方が、サンフランシスコに道場を開き、ニューヨーク、セントルイスなどにもいろんな太鼓のグループができて、日本にもできたという。そして、世界中にも広がり、20年ぐらい前に太鼓という楽器が世界的に認知されたという。

日本の伝統楽器が、アメリカで盛んになり、日本に逆輸入という点が、とても面白い。浮世絵にしても伊藤若冲のような独特の日本画にしても、まず西欧の人々がその素晴らしさを発見して、逆輸入という形で日本人にその良さが伝わる。不思議だ。



シカゴの地で、シカゴ在住の日本人の演奏で、日本の伝統芸能の意味を知る。私達は、日本からきて、数年駐在して、また日本へ帰国するごくごく普通の日本人。こちらに永住されている日本人の方たちから、日本人としての心意気をもらう。子供達に日本文化の醍醐味を伝授してくださる。本当に本当に有難い!司太鼓永遠あれ!


司太鼓の演奏終了後、日本人学校全日校中学部の3年生のイケメン衆4人によるソーランの太鼓を専門家の前で披露 その腕前を見た青木氏から道場に来るようスカウトされた


司太鼓は、12月14日、15時から、シカゴ現代美術館にて演奏される。

JASC Tsukasa Taiko 4427 N. Clark St. Chicago, IL 60640
773-275-0097 ex229
programs@jasc-chicago.org

www.tsukasataiko.com


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4 コメント

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悲しい出来事 (yoshigonUSA)
2008-09-21 12:44:59
悲しい出来事がありましたね。
kuniさん、この写真はとても貴重なものとなりました。
私はその日たまたま用事があって見にいけなくてとても残念でしたが、うちの娘があのお兄さんはとても楽しそうに太鼓をたたいていたと言っていました。この日の数日後に亡くなってしまうだなんて・・・。
同じ年頃の息子を持つ母としてもとてもショックな事でした。でも最後に子供たちに感動を与えてくださった事、とても感謝しています。この場を借りて・・・ご冥福をお祈り申し上げます。そしてkuniさん、貴重な写真ありがとう。

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お兄さん、ありがとう! (Kuni)
2008-09-24 04:08:02
あのときのお兄さん、とても素晴らしい力強い演奏をありがとう!
これからもみんなのことをずっと見守っていてください。司太鼓のことは、忘れません!
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感動そしてショック (Keitaro)
2008-09-30 01:53:50
生の太鼓の演奏は全身鳥肌が立つくらいの迫力と感動を受けました。やはり演奏者の気持ちが言葉ではなく全身全霊を太鼓で表現していたからでしょう。日本の文化はすばらしい!と改めて実感したひと時でした。
その2日後に・・・・あまりにもショックで言葉も出ませんでした。それになんと私の元ピアノの生徒の同級生でそのお母さんからも話しを聞かされて・・・。青春真っ只中の夢多き若者の事を考えるだけで、残された家族の気持ちを思うだけで”どうして?”というやるせない気持ちいっぱいになります。皆、それぞれに色んな気持ちを抱えて1日1日精一杯悔いのない日を過ごして生きたいものです。○○君、感動をありがとう!そして心からご冥福をお祈り申し上げます。
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Keitaroさんへ (kuni)
2008-09-30 12:20:36
コメントありがとうございます。
毎日子供たちのことで、いろんなことが頭を駆け巡ります。最後に書かれている部分「1日1日精一杯悔いのない日を過ごして生きたいものです」私もまったく同感です。いろいろ書こうとして、消しては書き直しで、これ以上は書けないね。
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