象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

老いた大国と消えゆく老人〜真夜中の訪問者”110”

2022年07月15日 13時03分28秒 | 真夜中の訪問者

 トランプが夢に出てきたのは、これで計4度目だが、タイミング的に見ても非常事態な時に登場する。
 最初は、トランプ大統領が女性スキャンダルで窮地に追い込まれた時(その27)、2度目はソレイマニ氏暗殺とウクライナ機撃墜疑惑で、アメリカとイランに大きな緊張が走った時(その31)、3度目は再選を目指す中、コロナ感染で入院し、トランプ政権最大の危機の時(その48)。

 この夢を見た後、不思議と気分が微妙になっていた。その直後に、安倍元首相が撃たれたというニュースが日本を襲った。
 ”虫の知らせ”という程のものでもないが、トランプ元大統領が何かを企むとしたら、今が丁度いい機会なのかもしれない。
 ただ、私には安倍氏が銃弾に倒れたという事実よりも、”SP何しとんねん”の方が衝撃的に映った。(安倍氏の背中はガラ空きで)まるで”どうぞ殺して下さい”といった感じの警備体制だったからだ。
 しかし、安倍氏が死んで数々の疑惑がチャラになる筈もないが、生きてる内に自らが犯した巨悪を精算して・・・というのが国民の本音ではなかろうか。その上、亡くなった以降も統一教会との癒着が大きく指摘されており、ひと悶着起きそうな勢いでもある。

 メディアや外国の要人たちは、安倍元首相が行ってきた政策の数々を(表向きは)称える傾向にはあるが、国民の胸の内には(口には出さないものの)”天罰が下った”とか”神の逆鱗に触れた”とかの思いもあるだろう。事実、”山上容疑者を国民栄誉賞に”との過激な声もSNS上ではチラホラと目立つ。
 参院選で大勝した自民党だが、安倍氏が政界から消えてくれた事で、党内の分断と新たな浄化の流れが出来る事を只々願うばかりである。
 

地に堕ちた老人

 夢の中で私は、議会?らしき所にいた。
 私はトランプ前大統領の元であるチームを組み、バイデン現政権を失脚させようと、様々な策を練っていた。
 しかし、私の考えたプランがバイデンが属する民主党にバレてしまい、逮捕されそうになった。私は咄嗟に議会を逃げ出し、人混みの中に紛れ込む。
 その瞬間、”トランプにまんまと裏切られた”と私は判断した。もう一人の相棒と待ち合わせし、どこに逃げようか迷ってた所、トランプが助け舟を差し出すではないか。

 トランプは私たちを心配し、最悪のケースを考えて事前に救出チームを準備していた。チームには(ごく普通の)若い女が2人いた。
 みんなとてもフレンドリーで、少しも焦った様子はない。しかし、皆普通すぎて嫌な予感もした。
 ”このチームにいれば安全だから心配しないで・・・貴方はよくやってるわ。トランプさんは貴方を信頼してるの”
 女の一人はとても優しかった。

 私は最初はトランプを信用してなかったが、”何もしないし何も出来ない”バイデン大統領にしびれを切らしていた。
 平和である事は世界中の万人の共通の願いである。しかし、それは何もしないで得られる簡単なものではない。故に、トランプに希望を預けたのではなく、バイデンに失望したけであった。
 私は慰めてくれた女と色々と話をした。日本を見捨てて逃げだした事、アメリカに渡って失望した事や全てをさらけ出した。

 そんな中、トランプがやってきた。
 彼は現職の大統領の時と全く変わっていなかった。いや、それだけが救いだった。
 ”大丈夫、俺たちのプランは順調に進んでいる。今度こそ必ずうまく行く”
 男は高齢だが、私よりもずっと大きかった。
 男は私の横に静かに腰を落ち着けると、自らの悪事と過去の失敗談を全て打ち明けた。が、それは全て愚かで悲しいものばかりであった。
 プーチンや過激な白人至上主義との繋がり、そして同胞や家族の裏切り。だから彼は日本人である私を頼りにするのだろうか?

 確かに、横にいる高齢の男は信頼に値する男ではなかった。しかし今や、高い城にいる男でもない。ただ、私よりもずっと虚しく悲しい老人であった。それだけが私への慰めでもあった。
 女は私を説得するように言い放つ。
 ”貴方がトランプを信頼できない気持ちはよく理解できる。でも、今は信頼し合うしかないの。でないと、アメリカはアメリカでなくなる”
 私はトランプが頷くのを確認した。
 ”プーチンの狂気をバイデンは止められなかった。ウクライナの惨劇を見て見ぬふりをし、老人はただ笑ってただけだ。もしアンタだったら、黙って見過ごしただろうか?”


権力か平和か

 高齢の男は深く考え込む。
 ”プーチンとはかつては蜜月な関係にあった。しかし奴は最後に裏切った。俺は大統領の座を剥奪され、奴は独裁者に成り上がった。そして今、ウクライナだけが犠牲になった”
 私は男を遠い視線で見つめた。
 ”アンタだったら、アメリカを賭けて戦っただろう。だから私はここにいる。この戦争はアメリカがやらかし、アメリカが決着をつけるべき戦争だ。そういう事がアンタには解ってる筈だ”

 もう一人の女が口を挟む。
 ”だから、私たちは今ここにいる。逃げ込んでる訳じゃないわ”
 私の相棒が叫んだ。
 ”正義や大義なんてもうどうでもいい。アメリカは変わるべきだ”
 私は男を睨みつけた。
 ”そんなに簡単に変われるのか?俺たちのプランは呆気なく見透かされたじゃないか”
 トランプが重い腰を上げる。
 ”でもこのままでは終われないぞ。みんなここで殉死したら、俺達の事は忘れ去られる。生きてれば何とかなる。ここは俺に任せろ”

 私にはトランプをまだ信じきれないでいた。
 ”再び、白人至上主義者を使って議会にでも乱入するのか?アンタは既に前科者だぜ”
 ”そうかもしれん。でも失敗を恐れては何も出来んじゃないか。それに革命はまだ始まったばかりだ。反撃のチャンスはいくらでもある”
 ”今のアメリカには、その力もチャンスも残されてない様な気がする。バイデン同様、今のアメリカは老いた大国なんだ”
 ”いや、老いぼれなんて言わせない。俺はまだまだ戦える。戦い続けて、惨めな思いをし続けて、ここまで上り詰めてきたんだ”
 ”いや、アンタはただ建物を転がして、大金をせしめただけだろ?その大金で大統領になっただけじゃないか?”

 女の一人が横槍を入れる。
 ”つまり、強引すぎるってこと?”
 私は少しムカついた。
 ”手下にばかり危険な仕事やらせて、自分は高みの見物さね。自分が前線に立って動いてみろ。金持ちはこれだから困る”
 相棒が口を挟む。
 ”確かに、俺も金に困ってるからこのチームにいる。でもトランプの考えは野望じゃなく現実だ。プーチンを嫌うロシアの富豪と結託するのがどこが悪い?”
 ”いや、金と権力に骨抜きにされるのが怖いんだ。悪の中枢をピンポイントで抹殺できれば、最小限の被害で最大限の成果が得られるんだが、金持ちが余計に交じるとプランも濁ってしまう”
 ”金持ちには正義を下せないって?”
 ”いや、金持ちにとっての正義とは金と権力。一方で、大衆にとっての正義は平和と安定。私はこの2つさえあれば、多少貧乏でも不自由でも構わない”
 私は冷静になりかけていた。

 男は声を少し荒げた
 ”君らは金持ちを見縊りすぎている。私の祖先(ドイツ移民)はゼロからの叩き上げでここまで成り上がった。貧乏は理解してるつもりだ”
 私も引き下がらない。
 ”いや違うね。アンタら一族は<貧乏は敵で贅沢は味方>なんだ。叩き上げで帝王学を身につけた所で、やってる事は脅しとピンハネじゃないか”
 ”いやそれは違う。俺は日本がバブルの頃、NYで荒稼ぎをする地上げ屋と勝負した事がる。奴にはヤクザというバックがあったが、俺には何もなかった。しかし俺は、確率論を使いその男を打ち負かしたんだ。君の好きな数学という知の権力を利用したんだ。これでも、信じてもらえないかな”
 ”奴はどうなったんだ?”
 ”自殺したっていうね。悪の権力に頼ったツケだよ。自業自得だ”

 大柄で金髪の老人は、それ以上何も言おうとはしなかった。私もそれ以上何も言う気はなかった。
 長い沈黙が続いた後、トランプは重い腰を上げ、口を開く。
 ”確かに、今までの自分の生き方も哲学も間違ってたかもしれない。でも、ここで立ち止まってては何も始まらない。俺は一人でも戦い続ける。君たちは各自自由にすればいい。無理強いはしない”
 私は男の背中が寂しく小さく思えた。負けを認めた男の潔さを感じ取っていた。
 ”アンタに従うよ。これだけ追い込まれた状況でも、生きていくお金があるのは救いさ。さあ、いい事だけを考えて前へ進もうじゃないか”


最後に〜老いた大国

 チームに笑顔が戻ったような気がした。
 その時、夢から覚めた。

 本当を言えば、ここまで正確に覚えてる筈もないが、トランプとは腹を割って色んな事を話し合った様に思う。
 夢の中の彼は人間味があり、とても優しかった。TVに見るような傲慢な老いぼれではなかった。
 しかし、トランプが再び大統領になり、アメリカが変わるとも良くなるとも思えない。つまり、役立たずの老人は消えゆくべきなのだ。

 今のアメリカは多少貧乏でも多少の自由が制限されようとも、争いのない平和な生活を望んでるようにも思える。
 何が何でもNo.1とか、やられたらやり返すとか、自由や権利を勝ち取る為だけの争いとか、そういうものを拒んでるように思える。 
 多少不自由で貧しくとも極端な格差のない世界。格差は戦争や殺戮や犯罪を生むし、その全て不可解で不合理なものばかりだ。
 夢の中に登場したトランプは、今の老いたアメリカの麓にいる老人そのものであった。

 まさに、”老兵は消えゆくのみ”なのである。そういう事を教えてくれたような夢でもあった。
 同じ様に、(安倍が死んでも)巨悪や不正は死なず、ただ消えゆくのみなのであろうか。 
 今から思うと、安倍前首相が築いた長期政権は砂上の楼閣に過ぎず、アメリカ(いやCIA)に脅され、安倍一族と自民党が描いた幻影でもあり、巨悪だけが生き延びた悪夢の様にも思える。

 安倍前首相の国葬が今秋行われる事が決まった。まるで”豚に真珠”いや、巨悪に勲章といった次元である。
 悲しいかな、安倍が国葬なら”国民の為に巨悪の一角を倒してくれた”として、山上容疑者にはノーベル平和賞が妥当だろうか。

 岸田首相は”暴力に屈しない姿勢を世界に示す為に”と言い放つが、安倍前政権はアメリカの脅しに屈し続けた。
 ”悲しすぎた”東京五輪と同じ様に、(このままで行けば)コロナ渦の第七波が襲う真っ只中で、”愚かすぎる”葬儀が再び東京で行われようとしている。
 我ら日本島民は、アメリカの脅しと権力という暴力に屈した日本をこれからも支え続けていくのだろうか・・・



4 コメント

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Unknown (1948219suisen)
2022-07-15 14:20:23
おもしろく読ませていただきました。私もこんなふうにトランプ氏とお話してみたいです。が、トランプ氏は白人至上主義者だから、まず最初から会ってももらえないでしょうね。転象さんはよく会ってもらえましたね。

先程ご紹介いただいた平成エンタメさんのブログも読ませていただいて、大変勉強になりました。平成エンタメさんの記事は、コペルニクス転回を私に促しました。
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1948219さん (象が転んだ)
2022-07-15 22:42:31
そうなんですよ。
今の日本人はコペルニクス転換が必要なんですよ。
安倍政権が権力を中心に世界が回る天動説だとすれば、地動説は国民を中心に政府が回るというコペルニクス的転回ですね。

そういう私もエンタメさんには色々と教えてもらいました。
かつて安倍氏は、あのプーチンに”ウラジミール、君と僕は同じ道を・・・”と語りましたが、歴史が繰り返すのなら、プーチンも銃殺されるんでしょうか。
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国葬とタイム誌 (hitman)
2022-07-16 13:03:57
日本島民は大人しい
ホント大人過ぎる
権力と金と脅しにトコトン弱い平和ボンボンな農耕族うぅぅ〜
どんな不都合にも矛盾にも
お利口さんに振る舞うことが美徳とされる

オラこんな村イヤだぁ〜
って歌がありましたよね
アベみたいな政界の巨悪が
タイム誌の表紙を飾るなんて

オラこんなの絶対にイヤだぁ
あ〜あイヤだイヤだ
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hitmanさん (象が転んだ)
2022-07-16 15:26:01
タイム誌の表紙は
何度見ても趣味が悪いですよね。
Blogでも書いたんですが、モノクロに赤い枠組み・・・葬儀の写真にしても趣味が悪すぎます。
これこそがアメリカNYお得意のブラックユーモアなんでしょうが、これこそが故安倍氏の真の評価なんでしょうか。

日本には徳という美学がありますが、生きてる内に徳を積み上げないと天国と地獄を延々と彷徨う事になるんでしょうか。
東京五輪と同じで、悲しい国葬になりそうで・・・
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