象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

”ダブルプロダクト”とは?〜ストレスによる職場高血圧の恐怖

2024年10月18日 05時16分15秒 | 健康

 若い頃は、血圧なんて計るのがアホ臭にに思えた。それに健康診断も受けるだけムダだと思っていた。
 というのも、ナンボお酒を呑んでも、どんなに無理をしても、血圧どころか血糖値もコレステ値も肝臓の値も全く変わらないからだ。
 しかし、60を超えた今になって、初めて健康である事が難しいのを(それなりにだが)思い知るようになった。

 勿論、毎朝血圧を計ってるからとて、健康を意識してる訳でもない。自分のバロメータを知るには不思議と参考にはなる。確かに、健康だからとて、お金が降ってくる訳でも、美女が微笑む訳でもない。
 ただ、毎日を変わりなく過ごす事の有り難みを少しだけ感じる様にはなる。
 でも血圧とは、とても繊細なもんで気温の変化やその時の気分でも変わってくる。歳をとればそういった些細な事が数値となって現れるのだろう。全く時代も身体も正直な生き物である。


季節の変わり目と高血圧

 7月末の健康診断で”高血圧”と判定され、指導員からは、家庭用の血圧計でいいから毎朝血圧を計る様にと言われた。
 私の場合は、典型の”白衣血圧症”だからと、油断してたのだが、(安物のそれも中古だが)実際に血圧計(A&D製)を買って、毎朝計るようにした。
 最初、上は160あったのが2週間で130程までに下がったのだが、下は90前後あったが同じく2週間程で、80を何とか下回る様になった。
 高血圧対策としてやった事は、1日2回のスクワットと踵落としと、血圧を計る前の腹式呼吸だけで、2ヶ月ほど止めてた晩酌は復活させていた。というのも、飲酒と高血圧の関係を知りたかったからだ。
 お陰で、これと言った食事療法もせずに、その後の1ヶ月ほどで、上は120前後で下は70近くにまで下がった。脈拍も60を優に切り、全くの正常値で移行していた。

 勿論、油断した訳でもないが、2日に1度の晩酌は毎晩になり、高値止まりの米に代わり、マヨネーズを自作してパンに乗せて食べる様になった。更に連日の猛暑のせいか、塩辛い味噌汁も朝晩飲む様になったし、運動も控えめになっていた。
 一方で、適量の飲酒が血圧を若干下げる事は確認できたが、長期の飲酒は血圧を下げるとの専門家の指摘だが、私に関しては血圧は全く安定し、殆ど関係がないようにも思えた。
 ネタ的には少し古くなるが、我が柳川市もウンザリする程の猛暑だったが、朝夕になると少し涼しくなり、9/23は1日中雨が降った事もあり、普段は34度近くあった朝の気温が20度と、いきなり冷え込んだ。
 寒がりの私は、慌てて長袖を着て、その上から血圧を計る。毎朝5回計り、その平均値を出す訳だが、下が90を超えた事もあり、平均は152ー88と、最初の頃の高血圧に近い数値に戻ってしまった。
 その後、何度か計り、今朝は127−80程に落ち着いてはいるが、脈拍が75前後と普段よりも10以上高い。

 まさか、季節の変わり目や気温の変化で血圧は大きく変動するのでは?と思い、ネットで調べると、”血圧は常に一定ではなく、日内変動とは別にもっと周期の長い変動があり、<季節変動>と呼ばれるものがある。春から夏の気温が上昇する季節は血圧は下がり、秋から冬にかけ気温が低下する季節は血圧は上昇する傾向にある。冬場の血圧上昇は、寒さによる血管の収縮や血圧を上げる事で体温を維持する。更に、運動量が減少し、塩分の多い食事が増える事も理由として考えられている”(OMRON)とあった。
 まさに、今回の血圧上昇に全てが当てはまる。気温の急激な低下、自作マヨネーズや食パンや味噌汁などの塩分の多い食事と、ピッタリカンコンである。


ストレスによる職場高血圧の恐怖

 このOMRONのサイトでは、”仮面血圧症の危険性”について詳しく述べられている。
 仮面血圧症とは白衣高血圧とは真逆で、健診や病院で計ると正常値を示すが、自宅で計ると異常な値を示す人の事を言う。また、血圧が上昇する時間帯により、早朝高血圧・昼間高血圧・夜間高血圧と、3つに分類される。
 更に、仮面高血圧の人は脳心血管疾患が持続性高血圧の人より早く進行するとされ、例えば、脳心血管疾患リスクは正常血圧の人を1とすると、持続性高血圧の人が2.94倍、仮面高血圧の人は3.86倍にもなる。
 特に、夜間高血圧は、心血管イベントリスクの増加や認知・身体機能の低下と関連する為に注意が必要だという。

 次に、昼間高血圧の人に多いのが昼間高血圧(ストレス下高血圧)で、ストレスも血圧に大きな影響を与え、普段の血圧が正常でも、職場でストレスに晒されてる昼間の時間帯の血圧値が高い場合をいう。
 この昼間高血圧の1つに”職場高血圧”がある。普段の血圧が正常でも、ストレスが溜り易い職場での血圧が高くなる職場高血圧は、肥満や高血圧の家族歴のある人に多いのが特徴とされる。

 例えば、月曜日の午前中は脳梗塞や心筋梗塞などの心血管事故が多い事が判っているが、これは30代~60代前半のビジネスパーソンに特有の現象で、職場でのストレスが関与してるとされる。
 実際に”職場のストレスによる血圧上昇(職場高血圧)が原因で心血管事故が誘発される”との仮説を立て、調査を実施した所、血圧は曜日・時間帯によって差はなかったが、”ダブルプロダクト”(=最高血圧×心拍数)については月曜日の10時に明らかな上昇が認められたという(上図)。因みに、ダブルプロダクトとは心臓への負荷と全身の酸素消費量を測る指標で、心血管事故を予測できるリスク因子だとされる。 

 更にこの実験では、正常血圧のビジネスパーソンのみを対象に職場高血圧に関する調査を実施した所、健康診断では正常血圧と診断された157人のうち、45%が高血圧で、38%が厳格な正常血圧、17%が職場高血圧である事が判った。
 また、高血圧・厳格な正常血圧・職場高血圧のどの群でも月曜午前にダブルプロダクトの上昇が見られたが、厳格な正常血圧の人では上昇幅が小さいが、職場高血圧と高血圧の人では上昇幅が大きく、この2つの群では心血管事故のリスクが高まると考えられる。

 以上、高血圧にも様々な種類がある事を紹介したが、それ以外にも、原因が明確でない本態性高血圧と、原因が特定できる二次性高血圧に分けられるという。
 日本人の高血圧の約90%は本態性高血圧といわれ、食生活・ストレス・気温・過労・肥満・遺伝などの様々な要素が複雑に絡み合って発症するのでは?と考えられている。一方、二次性高血圧はホルモン異常や心臓病、腎臓病など特定の病気によって起こるという。

 
最後に〜たかが血圧、されど・・

 人間、60を過ぎると、グラッとなったら、もうその時点で(最悪はだが)植物人間である。
 昔なら、60と言えば”初老”と呼ばれ、多くの日本人男性はこの歳になると、寝たきりになるか?病気で死ぬか?のどちらかだった。
 今は、医療も進化・進歩し、健康に対する知識や知恵も充実し、60はおろか70や80でも現役で、ピンピンしてる輩も多いが、所詮は寿命を先延ばししてるだけである。
 一方、”無理は禁物”という言葉をお医者さんはよく口にする。今まさに、その言葉の意味を等身大に受け容れる事ができる様になった。

 (冒頭で述べた様に)若い時は、”高血圧”なんて気にも留めなかったし、血圧や脈拍なんて計るだけ無駄だとさえ思っていた。心臓は一定して動くのが当り前だし、同じ様に血圧も一定した値を出すのが当り前だと思っていた。
 2年前の健康診断で、健康年齢が10歳以上も若かったので、油断した私がバカだったが、”健康は何もしないでもタダで手に入る”と高を括っていたのだ。
 無知とは、そういう私の為にある言葉だが、健康を維持する事の難しさを、60過ぎた今になって初めて知らされた気がする。勿論、無理してまで、健康を維持しようという気は更々ないのだが・・・
 事実、高血圧対策とても、1日僅か2セットのスクワットと踵落としだけで、晩酌も食生活も甘いものも塩辛いものも自由放任状態である。

 よく、”絶頂の時にこそ崩落が始まる”と言われるが、私の場合、お世辞にも絶頂でなかった(どちらかと言えば、どん底に近い)事が幸いだが、こういう経験をしない限り、健康でいる事の有り難さと難しさを痛感する事もないだろう。
 結局は、色んな薬を服用してるとか、掛かり付けの医者がいるとか、毎年健康診断を受けてるとか、食生活に気をつけ運動を忘れないとか・・・そうした2次的な事ではなく”無理をしない”という本質的な事こそが、最高の健康法なのかもしれない。  



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