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新型コロナワクチン価格は、ボッタクリか?想定内か?〜接種費用約1万5000円の真相と実情

2024年10月19日 04時16分24秒 | 健康

 昨年までは公費(タダ)で接種できた新型コロナワクチンだが、今年10月からは定期及び任意接種とも自己負担となる。
 任意の接種費用は約1万5000円となるが、定期接種の場合は(8千円程の助成で)自己負担が最大でも約7千円となる。但し、自治体によっては助成金が更に上乗せされ、3千円程という所もある。
 また、定期接種の対象者以外は1万5000円を捻出して接種する事になる。因みに”対象者”とは、65歳以上の人または、60~64歳で基礎疾患がある人だ。

 以下でも述べるが、ワクチンの原価が約120~160円相当だと考えると、1万5000円は明らかにボッタクリだ。事実、「自己負担7000円に”高すぎる”と懸念も」を読めば、私と同じ様に考える医者は多い。
 開業医345人と勤務医829人を対象としたアンケート調査では、まず”定期接種の範囲”については、開業医の75.4%、勤務医の70.2%が”妥当だ”と回答し、”若い世代も定期接種にすべき”と”高齢者も定期接種すべきではない”を大きく上回った。
 次に、定期接種の”自己負担額7000円”については、開業医の50.7%、勤務医の45.8%が”高すぎる”と回答し、”妥当だ”を僅かに上回る結果となる。また”安すぎる”や”公費負担とし無料にすべき”はそれぞれ1割未満だった。
 結局は医療現場から見ても、”接種率が下がる”とか”もう少し国からの補助があるべき”とかの意見が多い。

 以上、現場医師の意見をまとめると、医療への負荷コストを考えれば、ワクチン接種による流行抑制の方が安上りで、接種料金を安くすべき事は明白で、現実的でもある。
 また、変異が必至なコロナウイルスは毎年の接種が必要で、故に有料化だけでも接種率が下がるし、元々高い接種率ではない為、高額な価格設定では受ける患者は微々たるものだろう。故に感染が広がる事を考えれば、接種有料化により行政予算は大幅な赤字となる。
 少なくとも、あと5~10年程は国からの補助があるべきだし、7000円では接種を受ける方が確実に減る。それに集団免疫の基本的概念からも逸脱するし、接種人数が少なければ流行が収まらないし、ワクチン効果はほぼゼロとなる。若干の重症化率が減る位で、接種コストとその効果が乖離しすぎてしまう。
 結局は、任意接種も3000円程が妥当だと思われるが、他のワクチンを大きく上回る料金だと接種拒否者が多くなり、定期接種制度の趣旨に反する。また、一旦病気になった時には国は際限なく金を出すのに、より低コストな予防には保険が使えないのも、甚だおかしな話である。


ボッタクリか?正規価格か?

 そこで、任意接種費用約1万5000円がボッタクリか?正当か?を考察する。
 2022年10月、新型コロナワクチンの最大の供給者であるファイザーが、通常の流通・販売ルートに乗せる際の価格を”1回あたり110~130ドル”(約1万4000円~1万7000円)と計画してる事が報じられた。
 その前月には、モデルナの想定が”64~100ドル”(約8130円~12700円)と報道されてたから、ファイザーの強気な価格設定に驚きの声が上がった。が、モデルナも23年1月には(ファイザーと同じ)”110~130ドル”に値上げしたい意向を示した。
 以下、「ワクチン1万5千円は妥当なのか?」より一部抜粋です。

 一般に競争相手が少ない場合、価格競争に持ち込まなくても顧客を確保できる為、市場原理が働かず、結果として価格が高止まりしたままになり易い。ファイザーとモデルナの強気な価格設定はこの典型である。
 新型コロナワクチンに関しては当初、様々な開発競争が繰り広げられ、効果として上記の2社が世界を制したと言える。しかも、ユーザー側も両社に大きな差は感じられないし、双方とも無益な争いより足並みを揃える方が得策なのは当然だ。 

 一方、競争原理による価格高騰はともかく、新型コロナワクチンの原価は幾ら程だろうか? 
 ワクチンの不公平撤廃を求める100超団体の連合体”The People's Vaccine Alliance”によれば、原価はファイザー製で1接種あたり1.18ドル(約120~160円)相当だとされるが、ファイザーは特に否定はしていない。
 米政府は2020年、まだ開発中だった新型コロナワクチンについて、1億回分を約20億ドル(約2100億円)で購入する契約をファイザーと結んだが、1接種あたり19.50ドル(約2000円)の計算となる。が、これは原価の16倍の売値であり、破格の“ホーム価格”だ。

 当然だが、米政府は2020年5月~21年2月だけでも、ワクチンメーカー7社に新型コロナワクチンの開発助成金として192億ドル(約2兆160億円)超を拠出し、うちファイザーとビオンテックには60億ドル(約6300億円)近い金額が渡っている。なお、モデルナには59億ドル(約6200億円)が投入された。
 故に、他国(特に先進国)が”売ってくれ”と言えば、価格は2倍近くに跳ね上がる。事実、英国政府は、1接種あたり22ポンド(約3500円)で、1億8900万回分買い上げる契約をファイザーと交わした。つまり原価の30倍。
 結構な“ボッタクリ”商法だが、実際にファイザーの新型コロナワクチンは、22年に378億ドル(約4兆円)超もの売り上げを叩き出す。

 しかし、(原価比はともかく)1接種数千円なら、むしろリーズナブルとの印象があるし、1回数万円というワクチンはざらにある(殆どは数回の接種で半永久的な効果が得られるが)。しかも、1接種1万円台は本国アメリカでは一般的価格らしい。
 例えば、大手ドラッグストアでは肺炎球菌ワクチンは141ドル(約1万8500円)、肝炎ワクチンは145ドル(約1万9000円)、髄膜炎ワクチン179ドル(約2万3300円)、帯状疱疹ワクチン205ドル(約2万6700円)、HPVワクチン261ドル(約3万4000円)、といった具合だ。
 勿論、これらは毎年接種する必要はないが、数回接種が必要で合計10万円を超えるものもある。
 但し、新型コロナと同じく毎年接種のインフルエンザは、アメリカ国内でも1接種50~95 ドル(約7500円~1万2000円)だ。だが、”1万4000円~1万7000円”となると、やはり割高に感じてしまう。


安くはならんのか?

 昨年1月30日、米政府は新型コロナ非常事態宣言を5月11日に終了すると発表した。故に、ワクチンへの助成も廃止となり、有料化へと進む。翌日、ファイザーは23年の同社新型コロナワクチン”コナミティ”の需要が前年比3割減し、売上高は前年比64%減の135億ドル(約1兆8000億円)となる見通しを示した。
 一方、モデルナのバンセルCEOも同社の売上高が昨年の184億ドル(約2兆1100億円)から、今年は”少なくとも50億ドル(約6500億円)”に縮小するとの予想を示したが、同社は21年時点で、売上げの96%を新型コロナワクチン”スパイクバックス”に依存する。
 事実、人々の関心は新型コロナワクチンからどんどん離れ、23年の1月末時点で国内のオミクロン対応ワクチンの接種率はやっと40%を超えた程度で、海外では更に低調だ。2回目追加接種で見れば、アメリカは15%超、EUも約17%に留まる。
 因みに、全世界で約50億人が2回接種を完了した。健康上の理由や反ワクチン主義の人はともかく、2回接種は完了したけど”追加接種は受けない”という人が多いという。

 一方で、いち早くワクチン確保に動いた欧米各国は大量の在庫を抱えてるに違いないし、この状況で有料になれば、接種率は更に低下すると推測できる。
 モデルナは22年5月時点で、毎年の追加接種の対象者として、世界人口の約21%(17億人)との推計を示した。しかし、脱コロナへのシフトは思った以上に急激で、この数値は遠く及ばない可能性が高い。つまり、こうした厳しい見通しが”原価の120~140倍”の超高値に繋がる根拠となる。
 その上、ファイザーもモデルナも一般医薬品と同じ流通に乗せるにはパッケージ変更が必須で、そこにコストが掛かるし、バイアル(小瓶)の問題もある。
 更に、mRNAワクチンは超低温の冷凍庫を必要とするなど、医療現場にとっては扱い辛い特殊ワクチンだった。それでもオミクロン株ワクチンからはある程度使い易くなり、希釈が不要で一定期間は冷蔵庫で保管(ファイザー製は10週間、モデルナ製は30日間)できる様になった。

 だが現製品でも、ファイザーで1バイアル6接種分、モデルナでも1バイアル5接種分の作りである。つまり、1度小瓶を開封したら、当日中に5人又は6人に打つ必要がある。無料で希望が殺到してた頃ならともかく、有料の場合、小規模に個別接種を請け負うクリニックにこれだけの希望者集めは厳しい。
 某クリニックでも、新型コロナワクチンの接種予約が1人しか入らず、やむを得ず実施し、開封した残りを廃棄せざるを得ない日があった。が当時は、大量に期限切れになる程にワクチンが余り、かつ無料配布されてるから踏み切れた事だ。故に、バイアルの見直しについては当然、ファイザーやモデルナも準備を進めているようだ。

 一方で、ファイザーは”原価120~140倍”の高価格の理由として、製造コストと流通コストが緊急用ワクチンとは決定的に異なる事を挙げる。つまり、6人分を1バイアルから1人分1バイアルに変更する事で、これ迄と比べ最大3倍の費用がかかるという。
 また、流通と保険者(アメリカでは有料化後も殆どが民間の医療保険によってカバーされる見通し)がそれぞれ多数関わってくる事で販路が複雑化し、輸送コストが跳ね上がると説明する。
 が、ファイザーのこうした主張は投資専門機関の調査でも支持されている。一方で、新しい価格設定により、ファイザーの年間収益が約25~30億ドル(約3250~3900億円)増加する可能性もある。おそらくモデルナも同様のコスト計算の上で、ファイザー価格に合わせて方向性を打ち出したのだろう。

 ただ、”生き馬の目を抜く”様なワクチン業界の過当競争の中で、期待の新星モデルナが繰り出す次の一手にも大いに興味がある。つまり、ファイザーという医薬品業界の巨人や老舗のワクチンメーカーとは圧倒的な体力差がある中、どう立ち回っていくのか。
 更に、mRNAワクチン価格の高騰が国内外のワクチン市場を揺るがし、日本のワクチン関連事業や行政にパラダイムシフトをもたらそうとするタイミングだけに、一層目が離せない。
 以上、東洋経済からでした。


最後に

 結局は、新型コロナワクチンでもアメリカの一人勝ちとなった訳だが、これもアメリカだけが美味しい思いをし、それ以外の先進国は高い金を払って、ワクチンを接種する必要がある。
 どんな理由や事情があろうと、英国同様の”1回接種で3500円(当時のレートで27.5ドル)が妥当”というのが私の考えである。今は円安だから4千円程になるが、勿論そんなバーゲン価格をファイザーが受け入れる訳がない。
 だが、国内のインフルエンザワクチンが保険対象外で4000円弱とすれば、それと同程度の価格帯に引き下げる努力を日本政府は(当然だが)すべきである。
 つまり、インフルワクチンとは異なり、副反応の危険性もなくはないmRNAワクチンに、我らは原価の約100倍の1万5千円以上を支払う必要がどこにあろう。

 一方で、日本人による日本人の身体にあった国内開発mRNAワクチンの可能性はゼロなのだろうか?
 実は、今SNS上で話題になってるレプリコンワクチン”コスタイベ”は、MeijiSeikaファルマが開発・製造・販売する次世代mRNAワクチンで、日本だけが唯一認可するものだ。
 この新世代ワクチンの仕組みを簡単に言えば、ウイルスの”コピー能力”を応用し、効率的に免疫システムを複製する事で、ウイルスに対する防御効果を高めるワクチンである。
 以下、「レプリコンワクチンについて」より簡単にまとめます。

 まず、このワクチンが投与され、細胞内に取り込まれると、大量に複製する為にレプリカーゼ(酵素)を作るたんぱく質の設計図(mRNA)を送り込む。そして、レプリカーゼがmRNAを増幅(複製)する事で、効率的にウイルスのスパイクタンパク質が生成される。コピー機に例えると、原稿がスパイクタンパク質を作る設計図(mRNA)で、コピー機能がレプリカーゼとなる。
 つまり、ワクチンを投与すると、細胞内にコピー機能(レプリカーゼ)とチラシの原稿(mRNA)が送り込まれ、コピー機が原稿をコピーし始め、大量のチラシ(スパイクタンパク質)が作られる仕組みだ。
 一方で、従来のmRNAワクチンでは1枚1枚手書きでチラシを作る様なもので、1枚1枚丁寧に作るので効果はあるが、作るのに時間掛かるし、沢山のチラシを作るのは大変である。

 但し、SNS上で非難の的になってるのが、”接種により、ワクチンの成分が他に伝播(複製)し病気になる”というもので、”接種により体内で生成されたスパイクタンパク質が誤って折り畳まれ、プリオンと呼ぶ異常タンパク質に変化する”可能性が示唆されてはいる。更に”そのプリオンが呼吸や皮膚接触などで他の人にうつるのでは”との指摘もあるが、その信憑性は限りなく低いとされる。
 それ以上に、レプリコンワクチンは1バイアル16人分で”非常に取り回しが扱い難い”点がある。mRNAワクチンは非常に高価で、余らせるとクリニック側の大きな損失になる。故に、(現実的には)このワクチンを接種できるクリニックは限られる。 
 以上、「ひまわり医院」のコラムからでした。

 今までもこれからも、欠点のないワクチンは存在しないし、ワクチンのあらゆる可能性を否定すれば、(最悪)人類はすぐに死滅するだろう。
 ファイザーが強気でいられるのも、こうしたアドバンテージがあるからで、ベンチャー企業はそうした土台を揺るがす必要がある。
 つまり、大手製薬会社の傲慢なボッタクリ商法を阻止する為にも、医療現場だけでなく、我ら大衆も常に監視の目を光らせ、賢く振る舞うべきである。



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