少し古くなるが、こういう記事を見る度に、トヨタの車には乗りたくなくなる。1台200万円の車に役員報酬がいくら含まれてんの?って勘繰りたくもなる。
年俸10億のスーパー営業マンや時給100万のウルトラ派遣、10年100億ので契約労働者がいるとするなら、我々は尊敬もするし、歓迎もする。そして、庶民の励みにも憧れにもなる。
しかし、トップの役員だけが多額の報酬を貰っても、我らサピエンスには何ら見返りはないし、生活の保証もない。
そもそも役員報酬なんて、派遣労働者の最低限の時給以下に押さえるべきだ。仕事をしてない連中がボロ儲けし、汗水流して必死に働いてる連中が安時給で扱き使われ、挙げ句は簡単にクビになる。
極論を言えば、自動車の希望小売価格の大半は役員報酬じゃないのか?役員がいなけりゃ、車は今の半額で作れる筈だが?って勘繰りたくもなる。
だから、トヨタの車は買いたくない。営業マンはとても優秀なのに。
役員報酬倍増と終身雇用終結宣言と
今年の5月、経団連の中西宏明会長と口裏合わせでもしたかの如く、トヨタの豊田章男会長が「終身雇用を守るのは難しい」と語った。
世界のトヨタも火の車?と思いきや、安倍政権のお陰で役員報酬は2.9倍増。一方で労働者は賃下げ。その上、有期雇用は44%で、”終身雇用”は労働者の56%に過ぎない。終身雇用をゼロにして、役員報酬爆増って事か💢
そんな時、タイミングよく、「トヨタの役員賞与が1人当たり平均2億950万円」と報じられた。
なるほど終身雇用云々とは、役員報酬倍増の布石だったのだ。
経済界のトップが出来ないと言ったら、全てが終わりなのか?昭和の良き時代が築き上げた、労働者の仕事や生活の安定は崩壊するのか?
経済界は”終身雇用なんて最初から守れない”と思っている。
どうやって、そういう役員主導の社会システムに作り変えていくか?彼らが考えてるのは、そんな程度の低いレヴェルなのだ。
そんな”世代間の格差”に怒りを覚える若者も多い。
”これって、ある世代が逃げ切ったから卓袱台ひっくり返すって事?”
「年金」「60歳定年」に加え、「終身雇用」まで無くなってしまう。”団塊世代は結局、俺たちに何も残してくれなかった”
といった怒りの声が噴出する。
今まで終身雇用と年功序列があったから、平凡な社員でもローン組み、車を買い、マイホーム建てたりできた。
でもそういうのがなくなると、カツカツの給料で子供育てる金もなく、毎日生きていくのがやっとみたいな、第三世界レヴェルの生活に舞い戻るのか?これじゃ北朝鮮と何ら変りはない。
その不安定で貧しくなる人達って、結局トヨタの客なんだ。庶民が貧しくなったら、トヨタの車が売れる筈もなく、当然トヨタも貧しくなる。
学歴社会と年功序列と終身雇用の3点セットは、日本の宗教みたいなものだった。信じれば救われると教育されてきた。
しかし今、終身雇用は無理だって言ったら、”我々の神は死んだ”って事になる。
以上、ヤフーニュースを参考でした。
役員の数が半分に!トヨタの思惑とは?
そんな中、「役員の数が半分以下に」という、トヨタ自動車の2019年人事改革の記事(2018/12/29)が目についた。
以下、「驚きの改革」の核心(井上久男)から抜粋です。
つまり、これまで常務だった人が、”その他大勢”の社員と同じランクになる。
豊田章男社長が発表したこの新人事が今、驚きをもって迎えられている。
トヨタの常務役員ともなると、部長から一気に倍増近い年収4000万円近くなる。つまり今回の新制度では、”ホワイトカラーの賃下げ”を狙っていると噂される。
これまでのトヨタでは役職の降格がなく、一旦上がった賃金を下げる事ができなかったが、2級以上の役員を一括りにする事で、賃金の総原資を下げる事が可能になる。
特にトヨタは、工場の生産効率は高いが、大卒エリートの生産性が低い事が、常に問題視されてきた。
トヨタは、2兆円を超える利益を常に出し続け、純利益額は日本企業では1位だ。17年の研究開発投資は1兆642億円と日本では断トツだが。世界1位のアマゾンはトヨタの約2.3倍、同2位のグーグルの親会社アルファベットは約1.6倍を投じてる。
こうした世界のトップに対抗し、研究開発費を絞り出すには、無駄なコストは出せない。
その上、有能な若手を抜擢するという点で、今回の改革は有効だと見る向きもある。
トヨタの大卒社員は、評価が高い人でも30代後半で基幹職3級に昇格し、管理職になる。そこから3級→2級→1級→常務役員という出世の階段を上ってく。しかし、昇格の梯子を一段上るには4~5年ほどかかる。
この為、常務役員就任は50代前半というパターンが多かった。トヨタの大卒で1級に昇格できるのは全体の10%程度。常務役員はさらに狭き門だ。
つまり、殆どの大卒は2級で終わる。更に1級昇格の枠が決まってる為、優秀な人材でも”枠の壁”に阻まれる。
しかし、今回の人事制度改革で、2級から常務役員までを統合すれば、昇格の梯子が減り、有能な若手を抜擢できるという訳だ。
自動車産業という技術革新の早く激しい領域で、”50代のオッサン”がもたもた意思決定してては、30代の斬新な発想や行動力についていけない。そういう危機感があったのも確かだろう。
しかし、”息子を早く出世させて役員にする為に、昇格の梯子を減らしたのではないか?”
”明らかに賃下げを狙ってるし、出世が生きがいだったトヨタマンはやる気を失う”
”役員を減らしたのに、社長と副社長を含めた、身内の(7人の)人事は何も変わっていない”とかの批判も多い。
豊田章男社長は、”激動の時代を生き抜き、持続的に成長し続ける為には、その時々の経営課題に対し、その時々に必要となる一芸をもったその道のプロが、年齢や学歴に関係なく活躍できる企業風土をつくる事が何よりも大切だ”と反論する。
つまり、”超二流”の育成だ。
今トヨタには、成功体験を持つ巨大企業を変革する事の難しさの分厚い壁が、大きく立ちはだかってる。
巨大企業を変える為に、新たな人事制度をどう使いこなすのか?経営者の力量が試される。
以上、”gendai IsMedia”からでした。
トヨタ崩壊の始まり?
以上で述べた2つの改革に加え、今度は「トヨタ販売店網”崩壊”の始まり」という記事が舞い込んできた。
”トヨタは、トヨタ•トヨペット•カローラ•ネッツ店の4チャネルを来年春に統一すると、今年6月に発表した。
しかし、地場ディーラーの反発が強く、トヨタへの不信感が高まる。
トヨタは”顧客の利便性向上”と説明しているが、各ディーラーに同じ車種を扱わせても顧客の利便性向上はなく、トヨタの意図は各チャネルの車種統合により、販売店を整理•統合し、販売車種を減らす事にある。
トヨタの強力な販売網は、トヨタとその販売店が対等であったが故に構築された。しかし、その前提となる信頼関係をトヨタが壊し、販売店の力を衰えさせ、トヨタ販売店のネットワークを崩壊させる事に、豊田章男社長は気付いていない”
少子化や若者の車離れ、カーシェアの普及により、今後国内の車の販売台数は、更に縮小すると予想される。
そんな中、日産(2005年、2→1)やホンダ(2006年、3→1)は既にチャネルを1つにし、各デーラーの販売車種を統一した。
勿論、トヨタも例外じゃなく、販売店の整理統合とディーラーの販売車種統一を進める事は、今すぐにやるべき最重要課題ではある。
”4チャネルは市場が拡大していた時に作った流通政策に過ぎない”とある幹部が指摘する様に、今のやり方では明らかに限界がある。
全国でトヨタ車を扱う約280社、約5000店の多くは、各地の地場資本による独立経営だ。
トヨタは歴史的に、こういった地場資本による人的ネットワークを生かし、伝統の販売力の強さに優位性を見出した。
さらにチャネルごとに棲み分けし、互いに切磋琢磨しながら成長してきた歴史が長いだけに、統合は簡単ではない。
故に、トヨタとしてはまず、各販売店に同一車種を扱わせ、販売店間の弱肉強食により、販売店の整理統合をさせる事になる。
しかし、今回の販売改革で地元資本の信頼を失うなら、記事にある如く、”トヨタ販売店網崩壊の始まり”となる可能性も捨てきれない。
以上、東洋経済Onlineと白象サンのコラムも参考でした。
相矛盾するトヨタの3つの改革
こうして「3つの改革」を見比べてみると、全て微妙に矛盾してるのが判る。
まず役員の数を半減させ、役員報酬を倍増し、その上、労働者や一般社員の終身雇用をなくす。そして自慢の堅固な、長年築き上げた販売網を統一化し、車種を絞り、無駄な経費を抑える。
全くやってる事は、カルロス•ゴーンの”暴力的削除”と、何ら変わりはない。結局、一部の役員だけが美味しい思いをするだけの、”現代版”リストラ改革を実行するだけだろうか。
しかしこれら全てが、トヨタをマイナスに向かわす様に思えなくもない。
つまりトヨタ崩壊は、私達が思う以上に早く到来する?のかもしれない。
トヨタが、日本の車産業が衰退すれば、日本の経済の衰退に加速度が増します。
日本は、こういう車産業だけでなく、他の産業も、こういう身内びいきの経営をしているから減速しているのかもしれませんね。
やはり団塊の世代の考え方が間違っていたのでしょうか?
そう言われたら、そんな気がしないでもないですが・・・。
とにかく若い人達が夢と希望を持てる国に再生しなおさないと日本は潰れてしまうでしょう。
一部の人間が富を独占して配分しようとしない。
現在、企業が溜め込んでいる内部留保に課税するだけで、消費税を10%に上げなくてもいい。
格差が拡がり、中間層が没落すれば、自動車も売れなくなるのがわからないんですかね?
あるいは国内市場はどうでもよくて、アジアなど新興国で売れればいいと考えているのか?
この件、まさに「今だけカネだけ自分だけ」の典型ですね。
99%の弱者を切り捨て、1%の強者を過保護にする合理的なシステム。
でも今のトヨタがやってる事は確実に自分に降り掛かってきます。それだけは言えますね。
政界も企業も世襲で雁字搦めにし、自分たちだけは温々とという魂胆でしょうか。世界のTOYOTAというより、トヨタの為のTOYOTAって感じですか。