象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

映画「ファンタズム」と”ラベンダーの女”と青春の思い出

2022年07月27日 15時15分38秒 | 映画&ドラマ

 Amazonプライムの唯一いい所は、新作や今人気の最新TVドラマは見れないけれど、型落ちの映画や一昔前の旧作が見れる事にある。勿論それらの多くは駄作ではあるが、ごく偶に掘り出し物に引っかかる事がある。
 高校の時、わざわざ友人を誘ってまで劇場で観た映画が「ファンタズム」(1979)だった。
 典型のパラレルワールド系のB級ホラーだったが、予想外と言ったら巨匠?ドン・コスカレリに失礼だが、大きな衝撃を受けたもんだ。

 幻想(phantasm)という名の通り、捉え所のない展開ではあるが、漠然とした不安と曖昧な恐怖が最後まで私の心を包み込んでた様に思える。
 低予算の作品にしては奇妙に良く出来てはいた。事実、僅か30万ドルで製作されたが、70年代のホラーブームにも支えられ、1100万ドル以上の興行収入を記録。以降、世界中で根強い人気を誇り、5作目まで製作され、コスカレリのライフワークとなる。
 コスカレリ自身が見た悪夢を映像化したとされるが、監督以外にも製作・脚本・撮影・編集と1人5役をこなした。僅か25歳の彼には”ホラーなら絶対に受ける”との勝算はあったという。
 親から借金してまでも作った自作映画だったが、”幻想が現実に”なったとしたら出来過ぎだろうか。


ラベンダーの女

 個人的には、もっと出来のいいB級ホラーが当時には沢山あった様にも思うが、この作品で一番印象に残ってるのが、”ラベンダーの女”(キャシー・レスター=写真下)であった。
 当時高校生だった私は、彼女の透く様な美しさに思わず惹かれてしまう。胸は出来の悪いシリコンで膨らませてあったが、彼女のスレンダーな肢体にはラベンダーのドレスが異常なまでに似合っていた。
 特にオープニングで、女が情事中に男をナイフで突き刺し、トールマン(アンガス・スクリム)に変身する様は劇場中がざわめいた。因みに、この不気味で背の高い男は殺されても何度でも復活し、色んな人間に化ける事ができる。シリーズを通じ、メインを張る存在でもあった。

 今から見れば、このラベンダーの女は異常なまでにケバく、趣味の悪いブロンド女に過ぎないが、高校生の私には我を忘れる程に魅惑的な女に映った。多分、彼女がアメリカの平均的な女性像に映ったからかもしれない。
 決して美人でも可愛くもない。これと言った目立った個性も特徴もないし、肌艶も宜しくない。ましてや情欲や色気が充満してる訳でもない。むしろ、落ちぶれて干上がったコールガールの様にも思える。
 しかし私には、彼女を中心に映画「ファンタズム」は回っていた。
 1作目の後、9年ぶりに第2作(1988)が登場したが、ラベンダーの女はもうそこにはいなかった。以降、女に対する私の妄想(phantasm)と幻想(fantasy)は消え去っていく。
 しかし今回、アマプラで「ファンタズム」の全5作品を見つけ出し、それら全てを一気に見終えた時の充足感は、ファンタジーな物語の積み重ねよりも、郷愁という歴史のリアルを感じさせた。

 第3作は1994年に、第4作は1998年に、そして5作目のファイナルは何と2016年に登場した。足掛け37年間にも及ぶ壮大なファンタジーの集合体でもある。
 第1作で少年役を演じたマイケル・ボールドウィンだが、ファイナルではすっかり老人ぽくなってて、それでも何かを訴えていた。彼もまたコスカレリ監督同様に、「ファンタズム」を中心に世界が回っていたのかもしれない。
 しかし私にとって、ラベンダーの女が老婆となって、それもほんの少し登場してくれただけで、ただそれだけでも満足だった。
 かなり老いてはいたが、スレンダーな肢体はそこそこは健在だったように思う。

 という事で、青春の苦い1ページという程でもないが、幻想というもう1つ世界がこの世には確実に存在する事を知った。
 そして、今でもその思いは変わらない。



6 コメント

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干上がったコールガール? (hitman)
2022-07-27 22:43:54
素直になりましょうよ
こういうのがタイプなんでしょ
でも写真で見る限り
そんなに酷くはないです

干上がったコールガールとは
少し言い過ぎですよねぇ〜 
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hitmanさん (象が転んだ)
2022-07-28 05:35:18
完全に見透かされました。
実はそ―なんですよ。
こういうケバいのが、不思議と魅惑的に映るんですよね。
趣味が悪いと言えばそれまでですが、
hitmanさんみたいに健全な趣味の持ち主であれば、こんなのには引っかからないんですが・・・

でも70年代はこうした独立独歩的なB級映画が多かったように思います。
アメリカの黄金期ですから、今から思うといい時代でしたよね。
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Unknown (1948219suisen)
2022-07-28 05:52:54
蓼食う虫も好き好きという言葉が当てはまるかもしれません。イギリスのチャールズ皇太子が若い美しいダイアナよりカミラ夫人を愛したこととも通底するかもしれません。人の好みというものは他人からは窺いしれないものだと思います。
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1948219さん (象が転んだ)
2022-07-28 11:53:40
変な趣味にお付き合い頂いてありがとうです。

人の趣味とは奇怪なもので、それこそがファンタズムですね。
ダイアナ妃に関しては、私には不思議と粗雑でゲスな印象があり、歳をとればカミラ夫人よりもずっと落ちぶれてたかもです。
そういう意味では、エリザベス女王がダイアナを毛嫌いしれたのも理解できます。

チャールズ皇太子も猿顔のアホに見えなくもないですが、女の趣味はそんなには悪くなかったんですよね。
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Unknown (1948219suisen)
2022-07-29 04:32:45
>ダイアナ妃に関しては、私には不思議と粗雑でゲスな印象があり、歳をとればカミラ夫人よりもずっと落ちぶれてたかもです。

あはは、そうだったかも!

若かっただけだったかも!

若く亡くなったのは幸運だったかも?

じゃなぜチャールズは結婚したんだろう?
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1948219さん (象が転んだ)
2022-07-29 09:25:57
何かで読んだんですが。
チャールズ皇太子は、カミラ以外にもダイアナの姉さんと付き合ってたらしく、ある食事会で16歳のダイアナに一目惚れしたとか・・・
若いブロンド娘は七難隠すって事ですよね。故に、20過ぎたら微妙にケバくなった。

チャールズもスケベ丸出しの猿みたいな顔してますが、皇太子というだけで女は漁り放題だったんでしょうか。
でも女と遊ぶ金も浮気する金も、全て血税なんですよね(悲)。

それでも国民は、ロイヤルファミリーともてはやす・・・世界はどこも同じなんでしょうか。
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