「7日間で突然頭がよくなる本」(小川仁志著)は、2012年初版と少し古いが、非常に正直な本だと思う。
著者は京都大学法学部出身ながら、自分の事を落ちこぼれだと評価する。
学歴のない人や知能が低い人が自らを落ちこぼれと判断するのは(とても悔しいけど)簡単な事かもだが、高学歴な人が自分を落ちこぼれだと評価するには、それなりの覚悟と勇気がいる筈だ。
勿論、某ノーベル賞受賞者の様に、東大出ながら自身を”落ちこぼれだった”と言いふらし、わざとらしく宣伝する嫌味な輩もいる。が、小川氏は実例を挙げて、自身の落ちこぼれを実証する。
つまり、そういう意味で正直なのだ。
7日間で頭が良くなる?
”実は私はあまり頭がよくありませんでした。それは、就職してから明らかになっていきます。威勢の良さだけで採用してもらった伊藤忠商事でも落ちこぼれ、その後フリーターとして4年半を過ごす訳です・・・その後30歳になり、何とか名古屋市役所に拾ってもらうのですが、そこでも落ちこぼれです。
では、そんな私が哲学者などと名乗り、偉そうにTVや新聞で発言し、高専や大学で教え、20冊もの本を出している。それは、ある魔法を身に付けたからです。その魔法が私に特殊な能力を与えてくれました。その魔法とは「哲学」でした。哲学との出会いが、私の頭が良くしてくれたのです”
以下、「たった7日間で、本当に頭がよくなるのか」より私見を交え、大まかに纏めます。
小川氏の言う”頭がよい人”とは、”物事の本質を掴める人”の事を言うそうだ。
この本の最大の特徴は、頭が良くなる為の7日間をフローチャート(流れ)として明確にしてる所にある。
1日目=社会を知る。2日目=哲学の知識を身につける。3日目=哲学の論理パターンを使いこなす。4日目=物の見方を変える。5日目=言葉の意味を膨らませる。6日目=言葉を論理的に整理する。7日目=一言で表現する。
勘のいい人は、これだけでも”頭が良くなるアルゴリズム”を理解できるであろうか。
つまり、社会の仕組み→哲学の知識と認識→論理パターン→物の見方→言葉の論理的拡張→一言に整理、という流れを踏む事で、人の頭は良くなる。
1日目の”社会を知る”とは、比較的簡単な事で読書をする事で事足りる。但し、中身がペラペラの流行本や啓発本ではなく、古文学や純文学などを読むべきで、著者も教養を深める事で自由な思考が得られると指摘する。
2日目の哲学の”知識を身につける”には、哲学書を読み漁るしかないが、著者は「ひと目でわかる哲学史」を僅か1頁で整理してるから、それを見て大まかに理解するのも近道だろう。
3日目の賢くなる為の”論理パターン”だが、著者は10のカテゴリーに分けている。私見で言えば、②主観と客観、④イデア(物事の正体)、⑥弁証法(マイナス要素をプラスに)、⑦否定弁証法(差異として捉える)、⑧構造⑨因果関係(原因と結果)の、6つでも十分だと思う。
4日目の”物の見方を変える”には複数の側面から対象を眺める事が大前提で、常識を疑い、固定観念を捨てる事で、新たな発見が生まれる。これこそが物事の本質を掴む糸口になると語る。
6日目の”言葉を論理的に整理する”とは、情報で飽和状態になってる頭の中を整理する事で、論理的に話せない人へのアドバイスとして4段階から成る。つまり、”グループに分ける→グループ内の複数の言葉を1つに纏める→10の哲学概念を使い、整理する”事で、7日目の”1つの文に纏める”事に辿り着く。
以上、ミクスOnlineからでした。
突然、頭が良くなる?
これも私見で言えば、4日目の”物の見方を変える”から、一気に”物事の本質を見抜く”に到達でき、その本質を”1つの言葉(文)に纏める”でもいいと思う。
著者の小川氏は、”哲学的思考は魔法である”事の理由として”物事の本質が見える”事を挙げている。
ただ、哲学を数学に置き換えれば、もっと簡略化出来ると言えなくもない。
つまり、数学を知り、数学を理解すれば、物事の本質を見抜く事が非常に重要だと悟る。故に、僅か2ステップで最終段階に到達する事も不可能ではない。
勿論、数学を知り、理解するというのは難関そのものだが、クラインが言った様に、”ガウスになれなくてもガウスの様に考える”事はできる。
つまり、賢くなるとは、そういう単純な事の地道な積み重ねなのかもしれない。
勿論、数学を理解するのは、とても時間と労力が掛かる事だが、一旦理解してしまえばだが、(私の様に)賢くなくても頭が悪くても、本質を見抜く魔法のツールは既に君の頭の中にある筈だ。
この本の著者は、京都大法学部出身なんで、頭が悪い筈がないのですが、京都大にしては落ちこぼれという自覚があったんでしょうね。
元々はエリートに属する人種なので、たまたま人生に迷ってた時に哲学と出会い、それがキッカケに秀才を取り戻した。
言われる通り
語彙力が豊富なほど、理解力や論理力だけでなく、創造や創作力も飛躍的に高まると思います。
これは小説家だけでなく、政治家や専門家にも当てはまると思いますね。
一方で、数学者も自分の言葉で数学を論じる為の語彙力が必須となる時期に来ています。
ただ数学者の場合、数学を身に着けてからが大変で、多くは頭が変になったり心を病んだりと、一筋縄には行かない。
結局は、普通でいる(いられる)事が一番大切な事なのかもしれませんね。
本のタイトルに偽りあり。
作者にしてみれば、「1日1章を読んで、7日で頭をよくするポイントを理解できる」という意味なのでしょう。
おそらくこれら7つのポイントを実践してマスターするには、おっしゃるとおり、相当に地道な努力が必要。
頭がいい。
これが何を指すのかは相対的なものだと思いますが、この本に書かれているポイントは当たっている気がします。
特に重要なのは、持っている言葉の数。
語彙力が豊富なほど、世界の理解力や論理力は高まると思います。
象転さんは「数学」という言葉を持っていらっしゃるので、うらやましいです。
これは僕には、ほとんどないものなので。