スコットランドでは、落胆と日本への称賛が入り交じった。英BBCは、”機敏さを伴った正確性は驚くべきものだ。スコットランドが犯したどんなミスもすべて食い尽くした。日本は容赦なく、そして見事だった”と総括した。
英紙ガーディアンは、”日本ほどラグビーW杯に火をつけたチームはない。スポーツ全体にとって、また一つ感動的な結果が生まれた”と日本を讃えた。
一方、元スコットランド代表のピーター•ライトさんは、”我々は不平は言えない。準々決勝に進めるほどうまくなかった。(A組は)タフなグループだと分かっていた。スコットランドチームには深い自己分析が必要だ”とコメントした。
以上、朝日新聞デジタルより、そのまんま抜粋でした。
開催国特権と日程のバラツキと
昨夜の日本の劇的勝利とW杯初のベスト8進出に水を刺すようで悪いが、私と同じ様に考えてた人が、必ず世界の裏側には必ずいる。
それは”日程”の問題だ。前回のW杯でも気にはなってたが、それが今回も全く解消されてなかった。
ラグビーを見て思うのが、ジャッジが比較的フェアで、ホームアドバンテージが異常なまでに少ない事。これは世界のプロスポーツの中でも群を抜いてると思う。
サッカーも野球もボクシングも審判の裁定により、大きく展開が変わる。地元開催ともなれば、その傾向はとても強くなる。
”たかが日程”だが、ラグビーにおいては生命線なのだから。こういった肝心な部分をフェアにしない限り、”ノーサイドの精神”はラグビーと共に風化する。
スコットランドのタウンゼント監督は、リーグ最終戦で対戦する”日本に比べ、日程面で不利だ”と、当初から不満を漏らしていた。
事実、最終戦に日本は中7日で臨むが、スコットランドは中3日しかない。
サモアに快勝した9/30の試合後、”A組は全チームが、短い休みで日本と当たる”と同監督は指摘した。確かに、アイルランドは中5日、サモアは中4日で日本と対戦する一方、日本は中6〜7日と恵まれている。
これはラグビーW杯特有の問題だ。2003年大会以降、1次リーグが4チームから5チームずつになり、試合間隔の差がバラついた。
ラグビーは消耗が激しく、休みが短ければ明確に不利になる為、大会の度に不満が出る。
日程は、観客動員数やテレビ放映などを考慮し、大会を主催するワールドラグビー(WR)と大会組織委員会が協議して決めるとされるが。
勿論、日程や条件は開催国に有利になるのが通例で、前回大会でも開催地のイングランドは1次リーグを中6~7日で戦った。まさに”開催国特権”だったが、肝心のイングランドはグループリーグで敗退した。
今大会は不利なスコットランドだが、前回大会は全く逆の、有利な立場で日本戦を迎えた。スコットランドは初戦で、日本は激闘だった南アフリカ戦からわずか中3日だった。
結果は、実力通りスコットランドが45―10で完勝し、ボーナスポイント(BP)も獲得した。結果的に、3勝1敗で日本と並んだが、BPの差でスコットランドがベスト8を果たした。
ラグビーは、ノーサイドの精神が最も浸透した世界一フェアなスポーツだから、こういった日程のハンデは絶対になくして欲しいのだが。
世界との差は本当に縮まったのか?
スコットランドは日本戦に備え、9日のロシア戦では控えのメンバーで戦った。それでも61−0と圧倒した。日本が大苦戦したサモアをも34−0と完封した。
もし、昨夜が同じ条件で戦ったと考えただけでもゾッとする。
勿論、日本もスコットランドも死闘を尽くした。特に、休養十分な筈の日本は、スコットランドの神がかりな執念に押され、後半の20分は”死に体”寸前だった。
引き分けか、負けでも7点差以内だったら、ベスト8進出という圧倒的有利な条件があったから何とか耐えられらた。
もし、勝った方がベスト8進出という平等な条件であったら、100%負けてた。それだけ後半の日本は疲弊し、追い詰められていた。
強豪スコットランドを27−3で圧倒したアイルランドに日本は勝ったんだから、日程や条件の有利さから見て、もう少し日本が優位に試合を進めるのではないか?勿論、スコットランドは死にもの狂いで来るだろうが、それでも日本優位は変わらないと私は思った。
しかし結果は、タウンゼント監督の予想(不満)通りになった。日程の不利がなかったら、確実に負けてた。
日本はまだ、世界には通用しない?
”数学的思考の勝利”でも書いたが、アイルランド戦の勝利は戦術の勝利と思った。勿論、今でもそう思う。
もし、アイルランドが実力通りに日本に勝ってれば、日本のベスト8はなかった。いくら条件を日本有利にしても、結果は変わらなかったろう。プロの世界では、ハードワークだけでは通用しない事はいくらでもある。ラグビーはアマ精神のボランティアとは違うのだ。
アイルランドは、初戦でスコットランドを完璧に潰し、BPプラスの勝ち点5を得たから、最悪日本に負けても、ベスト8進出は100%計算できる。グループAは日本とスコットランドが星を潰し合うのは、最初から自明な結果でもあった。
しかし、日本がアイルランドに勝ち、(世界の)番狂わせを起こした事で、今度はスコットランドが窮地に追い込まれた。
昨夜は何とか死闘の末、日本がそのスコットランドに辛勝したが、普通にやれば10回やっても10回負けるだろう。またそう思わせる内容でもあった。そう、明らかに日本はツイてたのだ。
スコットランドと言えば1871年に、イングランドと世界最古のテストマッチを戦った伝統を持つ。W杯は1991年の4位が最高で、以降は4強の壁にはね返されてる。
前回はベスト8でオーストラリアに僅か1点差で敗れた。強力なFWは世界の驚異であり、日本にはW杯で3戦全勝だ。
こんな歴史を持つチームに勝てるほど、今の日本は強くはない。日本が立て続けに4トライをあげた時は、ラグビーの歴史が変わったと思ったが、後半のスコットランドの驚異の逆襲を目の辺りにし、考えが変わった。
”全てをハードワークに頼る、今の日本ではまだ世界には勝てない”
アイルランドはわざと負けた?
こういった言い方はしたくはないが、私は少し捻くれた所がある。”ひょっとしてアイルランドが日本にわざと負けたんじゃ?”と、勘ぐる所が少なからずある。
というのも先述した様に、アイルランドが日本に負けたとしても、ベスト8は確実だった。それに歴史的に見ても、北アイルランドは独立問題で未だに英国と敵対してる。勿論、スコットランドも例外ではない。
そういう意味では、大英帝国(スコットランドも含む)から気嫌いされてる日本が、英国と対立するアイルランドと親和性が高いのは、理解に遠くない。
前述した様に、普通に戦えば、グループAはアイルランドとスコットランドで200%決まりだ。
しかし、アイルランドが日本に負ければ、スコットランドは日程の不利も含め、いきなり窮地に追い込まれる。それが証拠に、初戦の対スコットランドはまるで決勝戦モードだった。一つ間違えれば、怪我人が出る程の”真剣勝負”だったのだ。
アイルランドとしては、憎きスコットランドを潰すには、日本に負けた方が一番の近道?なのだ。事実その通りになった。
日本に来てるアイルランド•サポーターも日本戦敗退のショックは殆どなく、”日本が強かったから負けただけ”と、明るいサバサバした表情で応えてた。”フーリガン”で超有名なお国柄なのにだ。
お陰で、お行儀のいい?アイルランドサポーターには、海外からは絶賛の声が寄せられていた。
勿論、英国と北アイルランドの対立の歴史は私が述べるまでもないだろうが、血生臭くて複雑で人には言えないものが沢山ある。
そういった歴史的背景を、ラグビーには持ち込んでほしくはないのだが。ナショナリズムというのは、追い詰められた時にこそ見事に発揮される。
アイルランドとスコットランドのゲームを見て、つくづくそう思った。そしてそれは、日本とスコットランドとの死闘を見ても同じだった。
明らかに牙を剥き、日本を本気で潰しに掛ったスコットランドの血生臭い狂気。それこそが、日本戦のアイルランドには不足してた様にも思えた。
勿論、アイルランドが日本にわざと負ける筈もない。彼らは油断というものがどんなに怖い相手かを知り尽くしてる。でなければ、世界一になれる筈もない。
最後に
さあいよいよ、決勝トーナメント。グループリーグとは異なり、1試合1試合が真剣勝負だ。日本はここからが本当の掛け値なしの勝負だ。
世界のメディアも日本のベスト8入りには、驚きと揶揄と曖昧さと皮肉が混じってるようだが。
アイルランド戦の勝利が偶然だったのか?幻想だったのか?それとも虚構だったのか?
それは決勝トーナメントでの闘いで、全てが明らかになる。頑張れニッポン!
でもアイルランドがわざと日本に負けたとしたら、決勝トーナメントでは最初にニュージーランドと当たるわけですよね。それも想定してたと言うんですかぁ〜?もしかしたら、ニュージーランドとは相性がいいと思ってるんでしょうか?全ては決勝トーナメントを見てから判断ですぅ〜。
とにかく全ては決勝トーナメントです。南アフリカ戦を突破すれば、もしかしたらとも考えなくもないです。でも選手一人一人の個体差が違いすぎるような気もしますが。期待する方が酷というもんでしょうか。
見る角度を変えるだけで、こうも論評が変わるんだ。転んだサンが書いてる事を、エジンバラの人が予想したんだろうか。
数学的背理法とはこの事で。ううーん、分かったようで分かんないような。
海外メディアは非常にませてるんで、色々と勘繰ったのかもしれませんが。こういった不要な誤解をなくす為にも、フェアな条件で戦える様にしてほしいですね。
勿論、W杯といっても基本的に興行が優先になりますが、”勝敗よりも団子”にならない事を願うばかりです。
でも色んな見方が出来るとはそれだけでも書いてて楽しいもんです。コメント有難うです。
流石、スポーツになると詳しいです。
ラグビーは身体の大きさが強さに直結するので、どうしても外国出身者に頼る必要があります。ランニングバックだけならALLJAPANでもいいんでしょうが、スクラムとなると日本人だけでは無理がありますね。リーチマイケルですら小さく見えますもの。
半分以上が外国人とは言っても、スコットランドと比べると頭一つ違ってました。大坂なおみがいい例ですが、とにかく血を混ぜて身体を大きく強くするしか、他に方法はないですかね。
コメント有難うです。
なんだかジーンと来ちゃった(ToT)
転んだサン指摘のように
同じ条件での試合を見たかったけど
ヤッパリ、負けてたのかな
でもとてもいいゲームだったと思う(^^♪
でも南アフリカ戦ではもう一度奇跡を起こしてほしいね。頑張れニッポン!