”サピエンス全史に見る言葉の虚構”でも書いたが、「サピエンス全史」(2011)が、全世界で1000万部超えの驚異の歴史的ベストセラーを記録した。
この著者のユヴァル・ノア・ハラリ氏を招いての特番が昨年1月にNHKで放映されてたが、ビル・ゲイツやカズオ・イシグロ氏も大絶賛したとあって、実に興味深い内容でもあった。
少し古いネタですが、今日は”ホモ•デウス”(神になった人間)について書きたいと思います。
あまりにも衝撃的だったが、後半を見てなかったので再放送を見た。
「サピエンス全史」に続く「ホモ•デウス」では、”人類は超エリートと無用者階級に2分される”とのショッキングな内容に、これまた鈍器で頭をガツンと殴られた様な衝撃を受けた。
因みに、この「ホモ•デウス」(2018)も全世界で400万部を売り上げたベストセラーとなった。
白人至上主義の著?
この著には、白人特有の”ホモ・サピエンス”という農耕民族に対する蔑視が、有色人種に対する優越が、そして一部の選ばれし、アメリカ白人に対する皮肉が、暗に込められてる様でもあった。
事実、イスラエル人歴史学者のハラリ氏は”超エリート”?な白人ではある。
「サピエンス全史」の続編の「ホモ・デウス」でも、”我々は不死と幸福、神をめざし、ホモ・デウス(神のヒト)へと自らをアップグレードする。その時、格差は想像を絶するものとなる”と説く。
「サピエンス全史」では人類誕生の原点から、認知革命&農業革命&人類の統一という“発展”に隠された真実を描き、この「ホモ・デウス」では、さらに宗教の問題から未来までを描く。
AIを含めたテクノロジーの進化が我らサピエンスの未来をどう変えるのか?人類(ホモ・サピエンス)がなぜ、地球上で最大の力を得たのか?を描いてる。
ただ、「サピエンス全史」に比べると、「ホモ・デウス(神となった人間)」の方は、白人特有のエゴと思い上がりが明らかに強すぎると思わなくもない。
ゲノム操作の進化により新たな遺伝子を作る(組み替える)事で、”人類は新たに異次元の進化した脳や体を獲得し、神になれる”というのだ。全くユダヤ人の知欲と強欲は留まる所を知らない。
サピエンスからホモ・デウスへ
我らサピエンスをホモ・デウスにアップグレードするという壮大な思想は見事にも思えるが、少し短絡的すぎると思えなくもない。
というのも、遺伝子というのはトランスレーター(翻訳者)→トランスポーター(運び屋)→受容体(受け手)がいて初めて、DNAは血となり肉となる。それも環境やストレスの影響を最も強く受ける。突然変異なんかその典型だろう。
遺伝子組換えで神になれるのなら、キャベツだってホモ・デウスになれるだろう。
結局、遺伝子操作と学会は大騒ぎするが、著書の文字に過ぎない。その書物も編集され、翻訳され、世界中に配られ、騙される読み手がいて初めて書物になりうる。
ゲノム操作や遺伝子組み換えは人が思う程単純じゃないし、人間の仕組みも同じだ。
事実、単純なDNAの組み合わせである筈の新型コロナウィルスですら、その行動パターンは殆ど解明出来てはいない。
コロナ渦の最大の被害国アメリカは、コロナ渦発症の中国を批判するし、中国はアメリカこそが生物兵器を撒き散らしたと喚き散らす。
つまり、ホモ・デウスの実態がここにはある。
ゲノムテクノロジーとAIテクノロジーの進化により、人間だけが幸福を追求し、欲望を満たすというハラリ氏の”人間至上主義”には聞いててうんざりする。
この人間至上主義には、明らかにアメリカ的”白人至上主義”に相通じるものがある。
”人類はやがて高度なAIテクノロジーを身に着け、進歩の列車に乗る一部の超エリートと、それ以外の進歩の列車に乗り遅れた不特定多数の無用者階級とに分かれる”と、ハラリ氏は語る。
しかし現実には、新型コロナ渦に先進国の民が、いや”ホモデウス予備軍”が喘ぎ苦しんでるだけだ。
結局は、自分だけが楽をしたい的なAI革命を生み出し、そのAIに欲望や幸福や利益を追求させ、自分は何の苦労なしにそれらを手に入れる。全く白人が思い描く、陳腐でゲスで安直な強欲でもある。
そう考えると、AI革命がゲノム革命が人類をアップグレードさせ、神に近づけ、神を追い越す存在になるというのは、それこそが虚構(フェイク=ペテン)そのものなのだろうか。
AIこそが神になり、人を支配する?
一方で著者は、このAIこそが人類の知能を異次元にまで高め、意識や心までをも制御し、更にはヒトの欲求までをも制御すると危惧する。
”人間は自分の欲求に基づいて行動する。それは自由意志と言われる。でもその欲求は自分でコントロールできない。だとすると、人間は本当に自由意志で行動していると言えるのか?”
勿論、AIは人類の生身の脳を超えてる領域もある。そして、その進化したAIが人間を飲み込む時、何が起きるのか?
人の脳が知能が全て数字で評価され、ヒトの全ての評価が単に数字だけで評価されるようになったら。
これこそ数字という1次元的な評価で判断される生身の人間は、溜まったもんじゃない。
エリート白人が好みそうな、この”AI的な評価”は果たして万能なのか?
このAI評価にもそれぞれ固有のアルゴリズムが無限に存在する筈だ。それにこれら無数のAIアルゴリズムをどう処理するのか?
結局、AIで人を評価するのは不可能ということになる。人(サピエンス)がアナログ的生き物である限り、その評価は無限なのだから。
私が言いたいのはここである。AIではなくて、数学的思考が不可欠というのはそこなんだ。
AIを凌駕できる唯一の思考、それが数学的思考だと思う。AIテクノロジーを打破できる”生身の知”こそが、アナログ的数学的思考なのだろうか。
この数学的思考こそがホモデウスと成り上がった白人エリート層を死滅させ、人類至上主義という傲慢な自惚れを消滅させるとしたら。
ホモデウスを死滅させるこの数学的思考。これこそが私の結論だとしたら。
最後に
番組では最後に、私達は人間が何物であるか?を理解できないのに、AIだけを取り上げて進化させても何ら効果は得られないと。
つまり、進化とは継承である。継承とは伝承である。ゲノム操作でDNAを人為的に作り変え、変化させても変異にはなりえない。
神という存在が、元々サピエンスが作り上げたフェイクであるのなら、そのフェイクである神(ホモデウス)になったとしても何の意味があるのだろうか。
ウイルスさえ駆逐できないサピエンスが神(ホモデウス)になったとしても、そこにあるのは”人類至上主義”の消滅だけであろうか。
ホモは好きになれん
こんな事言ってたら
直ぐLGBT差別発言やと
糾弾されそうやけど
ワシはやっぱ嫌なもんは嫌ヤ~
多分印税で遊びまくったんでしょうね。
近未来のようにも見えますが、やってる事は資本主義と変りません。
一部の専門家が思ってる程に、AIは普及しないかもですね。