
”衝撃の書”のタイトルで、NHKの特番で取り上げられた「サピエンス全史」(2011)ですが。40ヶ国で1000万部を超えるベストセラーの紹介という事で、ご覧になられた人も多いでしょうが。 その中でも、農業革命が我らサピエンスを家畜にしたという真実と、サピエンスが生み出した言葉が虚構を生み出し、その虚構がホモサピエンスを繁殖させたという事実の2つには、後頭部を鈍器で殴られた様な”衝撃”を覚えた。
”私たち現生人類に繋がるホモサピエンスは、20万年前東アフリカに出現した。すでに他の人類種もいたが、なぜか私たちの祖先だけが生き延び食物連鎖の頂点に立ち、文明を築いた。イスラエル人歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』は、この謎を3つの重要な革命──認知革命・農業革命・科学革命──を軸に解き明かす。
たとえば、サピエンス躍進の起点となった”認知革命”はおよそ7万年前に起きた。お陰でサピエンスは柔軟な”言語”をもって集団で行動できるようになり、先行する他の人類種や獰猛な動物たちを追い払った。
この認知革命によって獲得した”虚構=架空を語る能力”は神話を生み、大勢で協力する事を可能にした。後に国家、法律、貨幣、宗教といった想像上の秩序という名の”虚構”が成立する”
農業革命と科学革命と負のテクノロジーと
この「サピエンス全史」の著者ハラリ氏が啓示する2つの懸念。つまり、農業革命が生み出した”贅沢の罠”と、我らサピエンスが生み出した科学革命である”テクノロジーの逆効果”と。
”農業革命”が生み出した”贅沢の罠”に関しては、大体において想像がつきそうですが。その農業革命によって得た穀物を主食にする事で、より急速に繁殖&繁栄し、知恵を授かったサピエンスが生み出すテクノロジー。
その科学革命こそが、ヒトから幸せを奪ってしまうとは、非常にユニークにも皮肉にも、そして衝撃的にも映る。確かに、核も戦争も人類が産み出した負のテクノロジーとも言えますもんね。
そういう私もテクノロジーはアテにしないし、アテにもならない。人類を幸福にするとはとても思えないし、便利な世の中が幸せな社会だとは思えない。事実、キャッシュレスだから誰でもハッピーだとはとても思えない。
私はテクノロジーよりも思考こそが、我らサピエンスを幸せにする鍵だと思う。それも自然科学系思考ではなく、数学的思考こそが人類に希望を与える暁光だと考える。好き勝手な事言ってますが(笑)、最後まで読んで頂ければ、満更ではない事が理解できるかと。
確かに最先端の自然科学系テクノロジーは、明らかに目に見える形で人類社会に浸透し、寄与し、様々な恩恵をもたらしたとは思う。
ネットワーク、スマホ、コンピュータ、AI家電、等など、今やなくてはならないものばかりだ。
認知革命と言葉とサピエンスの繁殖と
そして第三のテーマ(認知革命)の言葉によるサピエンスの繁殖である。
判りやすく言えば、サピエンスは言葉を発見し、言葉を使い、フェイクを語り、そのフェイクを使って、集団を効率よく統一&統率&統制し、他のヒト類を次々と駆逐していった。
その虚構(フェイク)は人類社会を支える全てに充填&充満し、国民やお金は勿論、人権も法律も正義も、そして会社も資本主義社会の要である貨幣をも”虚構”だと、著者は述べる。
この”虚構(フェイク)”こそが実世界に入り組み、サピエンスだけが繁殖し、文明を築き、現代社会を確立させた。丁度、架空の数字に過ぎなかった虚数が実数に入り組む事で複素数となり、その複素数が現代数学を大きく飛躍させた様にだ。
故に、ハラリ氏が主張するこの”虚構(フェイク)”がなかったら、我らサピエンスは言葉を喋り、コミニュケするだけの細々とした農耕族のまま死滅してたであろうか?
と同様に虚数がなかったら、我ら高度な知能を持つサピエンスが生み出した数学は、数論のみを扱う学問として葬り去られてたであろうか?
この虚構と虚数の2つの発見こそが、サピエンスが産み出した”認識”だとすれば、これ以上の(認識)革命がどこにあろう。
”農業革命”で窮地に追い込まれた我らサピエンスを救った虚構(フェイク)という”詐欺”こそが、著者が唱える認識革命だったとは。
まさに”衝撃の書”のタイトルにふさわしい番組でもあった。元旦からNHKは気合入ってますね。
”私たちが直面している真の疑問は、「私たちは何になりたいのか」ではなく、「私たちは何を望みたいのか」なのかもしれない”
この”衝撃の書”は今読まれるべき本である。いや、今読むべき本である。
嘘つきって事はないんですが、嘘をつく事に長けた生き物である事は確かですね。その為に言葉があるんですから。
判りやすく言えば、結婚詐欺と同じですかね(笑)。勿論、人類以外の動物も嘘をつきますが、人間ほど上手じゃない。
猫も嘘をつくのが上手いんですが、飼い主から学習してんでしょうね。でもHoo嬢が言う様に温かい心ってのが一番大切ですね。
そうだとしてもそれだけが全てではないでしょ?
ヒトにしかもてない情緒や暖かい心や助け合いや協調も繁栄の力になったと思う。
テクノロジーに頼り過ぎるのも怖いけど、人間であるって結構大切なことよね。人間をよく理解するってことも。
でも数学的な思考がヒトをヒトらしくするというのも、転んだサンらしいかな。私はよくわからないけど。
幸福を得たいという人類のがさつな強欲こそが争いに繋がってるとは、同意見です。
幸福を描くだけで幸せになれない人種こそが神になろうと目論むんですかね。
かつてバブル期に日本もそういう人多かったな。そして今はどうなのって。
幸福は描くもので、手に入れるものではないですか。
確かに手にいれようとするから無駄な争いが起き、その争いのなかで強欲が渦巻くのですかね。著者も人は本能ではなく欲で動くと語ってるんですが。その欲求は制御できないとも語ってます。その欲求をAIでコントロールする時代とはどんなもんなんですかね。
全く、ホモサピエンスというよりペテン原人ですね(笑)。でも、農業革命も認知革命もテクノロジーも全てペテンだったとは、イスラエル人の頭の良さには感服です。
新年早々何だか狐に騙されたみたいです。国家も社会もペテンだとは、それこそ衝撃ですよ。頭も心もブルーになってしまいそうです。今年も宜しく。
資本主義社会になって、幸福や夢や希望はお金で買える”モノ”になりましたもんね。そして、その”モノ”を巡り、大規模な争いが起こる。
全く、ホモサピエンス的負の循環て感じですか。いや、イスラエル人的デフレスパイラルと言ったら怒られるかな。
新年も宜しくです。
数学的思考こそが我らサピエンスの希望の星だとは、転んださんらしいです。
幸せや夢が買うものや得るものである間は、サピエンスに明日はないのかなです。転んださん言うように夢や希望は描くもので、思考の描き方次第ではまだまだサピエンスに未来は残されてるという事ですね。
"サピエンス全史"に是非付け加えて欲しい一言です。
本を一冊売りに出すには、編集者がいて、ゴーストライターがいて、名前貸しがいて、プロモーターがいて、カバーデザイナーがいて、いろんな人の協力で世に売り出されるんでしょうね。
売れっ子作家の本を読んでると、とても1人で書いたとは思えない。様々な協力やフェイクがあってベストセラーになるのかな。
出版業界も大変な世界なんですかね。私には想像もつきません。