前回”その41”では、ダーレムが軟禁?されてるホテルカリフォルニアへ向かう家族の描写でしたが、今回は”疑惑の人”Drドレフュスを匿う為に、シカゴのホテルで待機するマーロウに視点が変わります。会話が主で、なかなか展開が前に進みませんが、ご勘弁をです。
以降の展開は、この2つの世界を行き来するので、少し注意が必要です。
因みに、前々回”その40”(要CLICK)を読んでからの方がスムーズに入れますが、悪しからずです。
Episode#42
マーロウが秘書のライリンが事前に予約してくれてたシカゴのオヘア空港近郊のホテルに着くと、早速ダルデスが慌てた様に駆けつけてきた。
息を切らした風のダルデスだったが、彼には珍しく挨拶も入れず、一方的に喋り始めた。
”ドレフュス医師の黒い繋がりが顕になりそうだ。今のアメリカはコロナストームで大騒ぎになってる。しかし、それも大手製薬会社からすれば、格好の餌だったんだ。
つまり、ドレフュスの黒い疑惑は中東からアメリカ国内に、そして世界全土に行き渡りそうな勢いさ。
確かに、最初にコロナを撒き散らしたのは中国の武漢だったが、アメリカはその”チャイナ”ウィルスを上手く利用したんだよ。
つまり、コカインなどの禁止薬物系では、どんなに上手く振る舞っても足がつく、それに中東政策もマンネリ化し行き詰まりを見せてるから、彼らは考えたんだよ。
そう、正義の国?アメリカはウィルスワクチンでボロ儲けって訳さ”
マーロウは戸惑ったままで、少し驚いた風でもある。
”そう慌てんな、ダルデス君!いつも冷静沈着でどんな時でも、ユーモアを忘れない君らしくないぜ。
ワクチンの件は、オレも薄々とは勘付いてたさ。でもアメリカがコロナウィルスを改変し、撒き散らしたとは思えんな。
元々は武漢ウィルスがヨーロッパに渡り、それが変異しアメリカへ渡り、欧州型コロナが複雑に変異を繰り返し、厄介な毒性の強いアメリカ型に生まれ変わったんじゃないのか?”
ダルデスは興奮していた。
”勿論、ウイルスの自然変異は想定内だが、致死量を低く維持したまま<改変ウィルス>を人工的に作ったのさ。
コロナウイルスの改変に、大手製薬会社が大金を注ぎ込んでたとしたら?製薬会社が変異させたウィルスだとしたら?
その改変ウィルスを水面下で世界中に撒き散らし、今まさに全世界中で猛威を振るう、第3波のコロナウイルスだとしたら?”
マーロウはポケットからタバコを取り出した。
”肉を切らして骨を切るって訳か?でもそれにしちゃ、危険すぎやしねーか?
中国だって当初は、軍関係者がアメリカを陥れる為に、軍事用のウィルスをばら撒いたと噂されてたよな。
それに、アメリカ国内にまで拡散させる事はないだろう?幼稚な陰謀説なんて、君らしくもないぜ”
ダルデスは真剣だった。
”いや、これは陰謀説なんかじゃない。巨大製薬会社が目論む、今そこにある現実なんだ。
つまり、第1派が武漢ウィルスで、第2派が欧米型で、そしてこの第3波がこの改変型なんだよ。
そこで、全米最大手のファイバー製薬が一番のターゲットにしてるのが、アメリカ国内ではなく中国と敵対するアジアNo.2の大国インドなんだ。
ファイバー社は特例に基づき、インド国内での臨床試験もなしに、強引に承認を求めたんだ”
マーロウは不可解な表情を浮かべる。
”アメリカに次ぐ世界第2位の感染者を誇るインドだが、感染者の殆どは農村の貧しい地区だろう。それに、ワクチンは常温では効果が失われるから、氷点下約70度で保管する必要があると言ってたよな。
でもインドには冷凍貯蔵施設が十分になく、承認されても地方や農村部への供給には困難が伴うんじゃないのか?”
ダルデスは首を降る。
”そこなんだよ。米国は先ずインドをターゲットにして、ファイバー社のワクチンを強引に認可させる。そして、大規模な冷凍貯蔵施設をワクチンと共に大量に売り込むつもりさ。
つまり、この2つだけでも相当な利益が出る筈だよ。
それに、インド政府も今は藁をも欲しい気持ちだろう。それにもまして、インド国民のワクチンに対する期待は異常なまでに強く、ナレンドラ・モディ首相も<あと数週間でワクチンの利用が可能になる>と心を踊らせてるんだ”
マーロウはゆっくりとタバコを蒸す。
”という事は、承認体制がゆるゆるのインドを最初の足がかりにし、後進国をターゲットにして、その勢いでアメリカ国内は元より、世界中にワクチンを承認させるって訳か?”
ダルデスは空を見上げた。
”英国に続き、カナダも承認したらしいよ。日本も1億2000万回分のワクチンの供給を受ける事で基本合意している。EUが承認するのももうすぐだろうね。
しかし、アメリカ食品医薬品局(FDA)がウンとは言わないんだよ。FDAは、製薬会社の拙速で早急過ぎる開発のリスクを指摘してるんだがね。
ファイバー社が改変したウィルスで、アメリカ国内にコロナストームが吹き荒れてんだから、FDAも全く無視する訳には行かないのさ”
マーロウはため息を付いた。
”だからアメリカは、慌ててFDAに緊急使用許可を申請したんだ。でも安全性は高いんだろ?それに、WHOは何と言ってるんだ”
ダルデスはまたもや首を降る。
”WHOは所詮、中国のポチだから、ワクチン接種には否定的さ。それにアメリカはWHOを既に脱退してるから、何ら関係ない。それに、コロナ渦で苦しんでる途上国は中国やWHOよりも、アメリカのワクチンを頼りにしてる筈さ。
それに安全性だが、90%以上いや95%と言われてはいる。でも、たとえ5%でも不備があれば、承認は降りないんだよ”
マーロウはタバコをもみ消した。
”つまり君が言いたいのは、DrドレフュスがFDAの承認に一役買ってると言いたげそうに思えるんだが?図星かな”
ダルデスは少し微笑んだ。
”そこまで見透かされると話が早いね。実は同じ事を思ってたんだ。
トランプが先程の大統領選挙で失敗したお陰で、中東政策は全くの白紙に戻った。故に、中東地域での薬物支配の黒いプランも棚上げになったのさ”
マーロウはダルデスを睨みつけた。
”という事は、Drドレフュスとイランのソレイマニとの黒い関係もボツになった訳だ”
ダルデスはマーロウの肩を叩いた。
”ま、そういう事だけど。そうムキになるなって、その方が君としてもやりやすいだろう?”
マーロウは少し微笑んだ。
”ハッハッハ、君にはいつも丸め込まれるな。テンゾーといい君といい、オレには超優秀な捜査員に恵まれてるって訳だ。
でも、メキシコへ逃げないとしたら、どこへ逃げる?”
”そこをずっと考えてたんだが、ドレフュスがFDAとファイバー製薬の間を取り持つとしたら、アメリカ国内にひっそりと隠れてるしかないのかな。
しかし、メキシコにも巨大な製薬カルテルが存在するらしいから、そこへでも逃げ込む気かもしれないね”
”だったら、メキシコ逃亡の線は全く消えた訳じゃないんだな”
ようこそ、
我がホテルカリフォルニアへ
🎵ここは素敵な場所でしょ🎵
🎵ここは素敵な人達でしょ🎵
マンネリ化した楽物シンジケートや中東問題はもっとウンザリです。
何かいいネタがないかと思ってたら、ファイザー製薬がやってくれましたよ。さすが大手ですね。
ワクチンの実用化はトランプ再選の切り札になる筈でしたが、間に合わなかった。
ここら辺のネタも踏まえて先へ進めようと思います。
コメント有り難うです。
米政権はFDAに圧力を掛け、ワクチンの緊急使用許可を強引に許可させました。
トランプ政権時もワクチンの実用化を急かしてきだけに、医学や科学の権威がここに来て揺らいでます。
ワクチンが万能薬だと思ったら大きな間違いで、最終手段に過ぎないんだが。
それでも世界一早くワクチン接種の承認を得たイギリスは、日本を<脱コロナ>で一歩で遅れたと揶揄してます。
ワクチン開発と犯罪組織と政権とのせめぎあいか。少しワクワクしてきた。
おかげで大きくシフトチェンジ出来ました。
全てはコロナウィルスとファイザー製薬のお陰です。
アメリカの中東政策と同様に、私の鏡張りの部屋もマンネリ化しつつあったので、丁度良かったです。
これからもご愛読お願いします。
ファイバー製薬も負けてはいませんよ👅
舞台は中東からアメリカへ
ターゲットは薬物からワクチンへって感じですね
そしてCIAやNSAだけではなくFDAが絡んでくると
これから先が楽しみです😱
このシナリオにぴったりですね。
さっすが!paul先生。お見事です。
早速、タイトルを変えてみます。
よく考え抜かれた陰謀説と、CIAやNSAの黒い癒着からFDAにシフトするあたりも、実に昨今のコロナ事情と世界の実情を横で睨みながら、うまく自小説に取り込む辺りも憎いです。
確かに、アメリカの中東政策はずっと前から無理がありましたし、イランやイラクを敵に回す戦争映画もシナリオ的に見てもウンザリですね。
そういえばランボーも、最後はアメリカを敵に回して死ぬという設定でも良かったかなとも思います。
ということでこれからの鏡張り部屋に期待してます。