「HEROからマスカレードホテルへ」の記事でも書いたが、その予想が当たった。
インパクトが弱すぎて、キムタクの一時の躍動も何処かに消え失せ、微妙なやる気のなさが全てを支配していた。
東野圭吾の原作が故に、展開的には局所過ぎてやや複雑な所もあった。その上、犯人の動機が曖昧すぎてよく理解できなかった。
ただ主観的かもしれないが、松たか子の演技はアッパレに映った。あれだけ落ち込んだ映画の雰囲気を、最後の最後でぐっと盛り上げていた。夢に出てくるだけの事はある(「真夜中の訪問13」参照)。
美しくも意味のない映画?
前述のブログの中で、”老いたキムタクと賞味期限が切れた長澤まさみ”と揶揄したが、満更外れてはいなかった。
ホテルマン(今はホテルクラークと呼ぶらしい)がテーマだっただけに、形式に凝りすぎてホテル業界の斜陽と終焉を垣間見るには十分すぎる程でもあった。
それに、フロントのバカ丁寧な対応だけじゃ、高く付くだけの高級ホテルの存続はますます険しくも感じるし、今の時代に寝て泊まるだけに万札を払う物好きが、地球上に何人ほどいるのか?数えてみたくもなる。
この映画では数多くの宿泊客が訪れるが、どれもこれもが平凡なステレオタイプに思えてならない。それぞれに問題を抱えるお客様だが、素材や質感は皆均一だった。
部屋のトーンも皆同じで、犯人を必死で追いかける警察も、真面目さだけが取り柄の公務員みたいで個性に欠けた。
そんな寂しい展開の中、キムタクが必死で熱血漢の突進型刑事を演じようとするが、何せ若さと躍動に欠けた。
一方で、長澤まさみもよく食らいついてたし、スタッフもキャストもみんなよく頑張ったとは思う。
しかしそれだけだった。いや、これが限界だったのかもしれない。
エンディングで、捜査一課の上司役の渡部篤郎が”頭がいいってのも何だなぁ〜”と偉そうに言い張るシーンがある。何だか寂しい気がした。作品の中途半端な仕上がりと被る様なコメントに聞こえる。
ホテルを舞台にした映画は色々ある。個人的には「有頂天ホテル」が愉快だったが、「マスカレードホテル」は、お客様には不愉快だったのかな。
あるレヴューには、”美しくも意味のない作品”とあった。そういう言い方もありかなと思った。
追記〜意味のない続編
先日、この映画が地上波(フジ)で流れていた。前回初めて見た時よりも”悪くはないかな”とも思った。
”賞味期限の切れたキムタク”という固定した視座で見れば、むしろ彼の演技は潔く映った。
正直言うと、ホテルを舞台にした映画は大好きである。故にそれなりの期待をして観るが故に、ハズレを引いた時は酷い評価を下す時がある。
確かに、作品の出来そのものは美しくはあったが、意味のない映画でもあった。
評判は前作同様に上々で、大ヒットした前作の興行収入48.4億円超えも視野に入れたとされる。
多分、劇場でもDVDでも見る気はないだろうが、そう思わせるに十分なヒット作のようにも思える。
美しくは仕上がってるけど
キムタクの演技も力み過ぎだけが目立って
なんだかなぁ〜
ヒット作には違いないんだけど
続編も同じようなパターンなんだろか
東野圭吾の原作(推理)は複雑なだけで肝心のオチがとても浅いんですよ。
前作も松たか子が老婆の姿で登場した時点でネタバレでしたし・・・
北欧ミステリーみたいに背筋がゾクッとするような作品を日本も作ってほしいですね。