象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

『コールガール〜私は大学教師、そして・・・』その12(20/6/28更新)〜コールガールの孤独とそろそろ潮時と〜

2018年07月05日 19時38分45秒 | コールガール系

 前回”その11”では、母親への裏切りに悩むジャネット嬢のメランコリックな一面を紹介しました。今回は”コールガールの孤独”と”そろそろ潮時”についてです。

 ジャネットは2年ぶりに故郷のロンドンへ、夏の休暇旅行に出かけた。ロンドンでは独立でコールガールの仕事をする人が目立つ。ロンドンは旅行者のロマンチックな空想を膨らます筈の街だが、ジャネットは独り孤独に苛まれます。
 誰もが後ろ暗い秘密と塗り固められた嘘を、用心深く包み隠した嫉妬を持つ。しかし、私の秘密はもっと受け入れ難い。知能が高い人種ほど、その秘密は深く濃く暗く、心の底辺に重く横たわってるんですな。
 気持ち痛い程解ります。知能が高くても、良い事ってあまりないですもんね。


やっぱり恋人が欲しい

 しかし、この特殊なシナリオをハッピーエンドで締め括るのは、やはりキツい。
 男の女への関わり方には2通りある。男は私と寝たいと思うが、私をママに紹介したいとは思わない。まして、私は男が結婚したいタイプではない。 
 結局、実生活でも客を相手にする様な関係しか結べないのか?妻との退屈でありきたりなSEXに飽きた男たちが性的ファンタジーを満たすという、それだけの目的で求める女に過ぎないのか?
 しかし、私は恋人が欲しかった。一人でいるのはウンザリだった。

 やがて、私は今の夫のトニーと出会う。”案ずるより産むが易し”とはよく言ったもんだ。当時の私は”嘘で塗り固めた人生”を生きようと”秘密という骸骨”をクローゼットにしまい、鍵を掛けて生きようと決意した。私はトニーと一緒に暮らしたかった。3年間コールガールをしてたという過去を、彼には語らなかった。
 トニーと同棲を始め、コールガールの仕事を離れ、2年が経った時、”秘密”を打ち明けた。エスコートサービスの現実を描き出す本が書けないか、トニーに相談した。彼は賛成し励ましてくれた。

 トニー以外には、ゲイで友人のロジャーにも相談した。一時はロジャーのメールをトニーが見てしまい、窮地に陥ったが、何とか二人で乗り切った。お陰でクローゼットの中の”骸骨”はどこかに消え去った。

 しかし、ロンドンからボストンのオールストンの自宅に戻った時の孤独の苦々しさは、今でもありありと蘇る。コールガールとは隠し通すのも捨て去るのも難しい秘密なのだ。
 多分ですね、彼女の天国にいる筈の母親がそうさせたんですよ。娘が苦しんでるのを見かねて、天から降りてきたんですな。トニーは天国の母親が差し入れた、最後のプレゼントだったんですね。

 
そろそろ潮時?

 コールガールを始めて2度目の秋。新しい学期の始まりと共に、気持ちは不思議と爽快だ。常勤ではないが、それに近いものを手にしていた。教職員のパーティーにも立て続けに呼ばれた。素晴らしい出来事が、すぐそこまで来てるように思われた。ピーチの仕事も、週に一晩又は二晩に落ち着いた。

 この頃になると、益々本業の教職に力を注ぎ、客の殆どは覚えていない。コカインを辞め、エスプレッソに変えた。お陰でこの不安定なストレスの多い夜の仕事を擦り切れた古いコートの様に感じ始めた。
 ピーチのサロンに長居する事も少なくなった。ハロウィンでは誰もがコカインを吸った。突然、物悲しく色褪せた古臭い世界が私を覆った。このハロウィンがピーチの自宅を訪れる最後となった。

 マイナス7度のケンブリッジは最悪だったが。若きハーバード大の学生で、パキスタンのカイは官能的だった、いやそう映った。
 その時、私から理性が消えた。”生きる為の方便を楽しんで、どこが悪い”

 男は言った。”勉強漬けの毎日で女性と知り合う暇がないんだ” 勿論ウソだったが、私は既に男の知性に欲情していた。
 彼のイスラム教らしからぬ所にも心を絆された。味わい深く新鮮な異国の香りのする長いキスだった。
 この描写は、実に力入ってますな。ジャネットの最後の青春という所でしょうか。


禁断の恋?

 彼は全てが上品だった、いや、そう見えた。”また会おう”と囁かれた時、予期せぬ喜びで震えが背筋を駆け抜けた。私は何の疑いも持たなかった。この先何が待ってるかを。
 私は彼に電話番号を教え、デートの約束をするという、見事なまでの”客と恋に陥る”という暴挙を犯した。勿論、ピーチに知られたら首だ。

 しかし私は、彼が私と毎晩合う余裕と高価なレストランで過ごす資金が何処にあるのか?そんな疑問を考えつつ、喜びに酔いしれた。現実と幻想を喜びと悦びを、見事に履き違えたんですな。その気持ち深く察します。
 カイも私も、”本物の関係”を求めてると思いたかった。それを信じたかったから、そのまま信じてしまったのだ。錯覚も信じ通せば現実になると思いたかった。女とはそういう生き物だ。信じ難い事だが、女とは、自分が信じたければ簡単に信じてしまう単純な生き物なのだ。
 コールガールだって例外ではない。

 デートはとても楽しく、マナーも完璧だった。ただ彼が何を考えてるのか分らなかった。ピーチは私が客と恋に落ちた失敗を責めはしなかった(大人ですねえ)。”よくある事よ、でも2度目はなしよ”
 客との恋が上手く行かない事はよく判ってるつもりだった。そういうコールガールも何人か知っていた。
 でも、特殊な関係から交際が始まったという事実は決して消えない。それに二人の間に仕事でない関係が生じれば、尽くしてばかりもいられない。仕事を離れた以上、不平不満やわがままを訴える事もある。相手の男を失望させる事もある。
 故に、大事に至る前に、終わらせた方が賢明なのだ。


男の裏切り

 でも愚かな事に、仕事を続けながらも、私はカイを信じた。この人は、個人のSEXと仕事のSEXの違いを完璧に理解できる、地球上で唯一の男だと(そんな馬鹿な)。
 しかも、仕事のSEXと個人のSEXの境界を犯し、危険に晒されてるのは、自分自身だと全く気付かずにである。

 そして運命の日。私は偶然にも、カイの留守電メッセージを聞いた。”オイオイ、やってくれるな。娼婦をタダで手に入れるとは、全くキャンバス中の噂だぜ”

 所詮、ブロンドと言っても。どんな人種であれ若い男にとっては、30半ばの微妙な年頃の?オネーさんに変りはないんですよ。背伸びする程に、粗が見えちゃうんです。それだけ20歳ソコソコの若者の感性と30中盤の半端な感性では、天と地の違いがある。
 多分ジャネットは、本気で彼を自分のモノに、完全な所有物にしたいと思ったんです。丁度、日本のエロ親父が中途なブロンド女に惚れ込む様なものですか。

 生涯を捧げても彼を独占したいと思った。若者には単なる遊びでも、彼女にとっては本気だった。コールガールという仕事を忘れさせてくれる程に、舞い上がってたんです。経営者のピーチもタブーの恋を許した程にです。
 単純にジャネットの男運が悪いといえば、それまでなんですが。地雷を踏んだにしては、安く付いた苦い思い出ですな。でも、これが異邦の国のハーバードの学生ではなく、プロの詐欺師であったらジャネットは完全に潰されてますね。


孤独と失意の日々と男の復讐と

 私は彼の家を飛び出し、アパートに鍵を掛け、一人引き籠った。講義は助手に任せ、電話のコードを引っこ抜き、ピーチの電話を無視した。
 仕事で経験した、どんな恥辱なプレイよりも、不快で辛辣で救いがなかった。彼にとって、私は幾らでも替えがきく娼婦だったのだ。
 ジェンでもなく、ティアですらなかった。因みに、この2つの名はジャネットの”コールネーム”です。

 私は単なる賭けの対象であった。”娼婦をタダで手に入れるか”を賭けてたのだ。私は、アングロサクスンの国の中の異邦人、全ての貨幣に”我々は神を信じる”と印刷された国の中にあって、イスラム教徒である彼の”エゴを膨らます道具”に過ぎなかった。
 アメリカ人が彼を見る疑惑の眼差しと、外国人嫌悪症に、カイは華麗に見事なまでに、復讐を果たしたのだ。

 因みに、アメリカでは特に東部では、インド人やアジア人は動物を見る様な目で見られる。そして彼らも、蔑視する白人に沈黙の復讐をするのです。 

 アメリカ人は私とのSEXに金を払わなければならないが。パキスタン人の彼は私をタダで好きに出来た。
 それでも私は何とか立ち直り、ピーチの電話を受けた。気不味そうな彼女を問い質すと、再びカイから電話が掛かってきたというのだ。彼はプロの女なら誰でも復習してやろうと思ってたのだ。私は更に深く傷ついた。
 
 つまり、アメリカの薄っぺらの豊かさが、新大陸に根強く蔓延るプロテスタントの傲慢な考え方が、異邦人の国に与える悪影響は、異常なまでに根深いものがある。そしてそれは、アメリカを静かに内側から蝕んでいくんですね。



5 コメント

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そんなに傷つく必要はないのでは? (びこ)
2018-07-06 21:25:44
パキスタン人の男に何と言われても、彼女も楽しんだのだから、おあいこだったんじゃないかしら?

ジャネットは、どうしてほしかったのかしら?

それにしても、30半ばがオバサン?

私は、その年齢は女盛りだと思うけど?

いや、女盛りはもっとかな?40代とか50代とか。

30代って、まだ未熟よ。^^
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Re:そんなに傷つく必要はないのでは? (lemonwater2017)
2018-07-07 02:02:25
続けまして、象が転んだです。

 ジャネットは、本気で彼を自分のモノに、完全な所有物にしたいと思ったんです。無垢な知性に崇高なエロスを感じとったんですね。丁度、日本のボケ親父が、とびきりのブロンド娘に惚れ込む様なものです。

 生涯を捧げても彼を独占したいと思った。若者には単なる遊びでも、彼女にとっては本気だった。コールガールという仕事を忘れさせてくれる程に、舞い上がってたんです。経営者のピーチもタブーの恋を許した程です。

 男運が悪いといえば、それまでなんですが。地雷を踏んだにしては、安く付いた苦い思い出ですな。でも、これが異邦の国のハーバードの学生ではなく、プロの詐欺師であったら、ジャネットは完全に潰されてますね。

 私も経験がありますが。インドやパキスタンの知能の高いブルジョア系の若者の瞳は、非常に澄んでて、全てを吸い上げられる様な魅力というか魔力があります。ビコさんがロンドンで出会った黒人と同じでしょうか。とてもキレイですよね。

 ビコさん言う通り、ジャネットも若者もいい思いしたんだから、良しとしましょう。
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Re:そんなに傷つく必要はないのでは?その2です。 (lemonwater2017)
2018-07-07 03:49:24
象が転んだです。

ああ、それと修正入れました。
30半ばでオバサンは言い過ぎですね。オネーさんに替えてます。コメント返しも載せてます。どうも失礼しました。これから気を付けます。
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訂正された記事も拝読しました (びこ)
2018-07-07 08:19:57
パキスタン人の男性の魅力というのは、なんとなくわかるような気がします。

私は、これからは、白人の時代は去って、黒人とか有色人種の時代になると思っています。ただし、知性のある黒人、有色人種という条件付きですが・・・。いや条件をつけなくても、年々、これらの人たちの知性は向上していると感じます。
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Re:訂正された記事も拝読しました (lemonwater2017)
2018-07-07 15:09:16
こんにちです。象が転んだです。

ビコさんの所は雨の方は落ち着きましたか。柳川の方は、今朝から嘘の様にパッタリと止んでます。

さて、植民地時代に栄華を誇った白色人種の時代も終ろうとしてますね。勿論、崇高で優秀な白人は生き残るでしょうが。それ以外の白人は、有色人種に淘汰されるでしょう。金持ちでも、IT系(ゲイツ)、石油系(ブッシュ)や金融系(トランプ)、軍閥系(チェイニー)ら、成り上り型も時間は係るでしょうが、北の核と同様に、いつかは破棄されるでしょうか。

勿論、有色人種もゲスなのは、知能が高くても共食いするから、消滅は時間の問題でしょうが。それに高齢化社会になる程、肌の色は違えど、崇高な人格と柔軟な知性と教養が不可欠になるのでしょうか。性格よりも人格、知能よりも知性の時代。まるで、ビコさんにピッタリじゃないですか。

 ああ、これに関してもブログ立てたくなりましたな。
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