国会議員500人を集めて行われたゼレンスキー大統領のオンライン演説も(平行線のままの停戦交渉と同じく)不透明にかつ不発のままに終わった気がしないでもない。まるで、膠着状態にあるウクライナ紛争のこれからを予見するようでもあった。
”世界中が注目する”という宣伝文句に釣られた私も馬鹿だった。いや、日本政府の支援額(約115億円)に見合う精一杯の演説だったと言えばそれまでかもしれない。
過去の歴史に踏み込んだテーマを少しは期待したが、私の考えが甘かったようだ。
日露戦争や北方領土問題はともかく、プーチンが仄めかす核の驚異を”日本が唯一の被爆国”である事に照し合わせ、アピールしてくれも良かったかなとも思う。
唯一印象に残ったのが、”日本はアジアで初めてロシアに圧力をかけてくれた”という言葉だ。しかしそれを言うなら、その頭に”日露戦争と同じく”と入れて欲しかった気もしないでもない。
ただチェルノブイリとサリンを、福島とオウムに暗に結び付ける辺りは、よく考えたなって感心もする。
但し、一番愚かで最悪だったのが、細川・山東両氏の最初と最後の(この世の終りの)お通夜みたいな挨拶だ。今の日本の貧相な国力を見せ付けられたみたいで、ゼレンスキー氏もさぞ拍子抜けしただろうか。
多分、これでチャンネルを切った人も多かったろう。
バイデンは何も出来ない老いぼれで、プーチンも狂った老人だが、この二人も(煮ても焼いても食えない)腐った長老である。
世界が注目するどころか、日本がもはやアジアの一小国に過ぎない事を確信するには十分過ぎる演説でもあった。が、惨めな国力とはこういう時に発揮されるものだろうか。
プーチンの為だけの戦争
私も含め、日本人は(こんな時でも)平和に浮かれた民族なのかなとも思う。
これだけプーチンが無差別な大量破壊を行い、多くの子供や女性や老人たちを含む民間人を虐殺し続ける。
こうした残酷の次元を超えた惨劇は、プーチン自身の目にもしっかりと届いてる筈だ。
それでいて、日本人の一部にはプーチンを養護する?発言も目立つ。
”プーチンだけを責めても何の解決にもならない”と。
しかし、今回のウクライナ侵攻に限って言えば、プーチンのプーチンによるプーチンの為だけの侵攻である。
そういう事が解りきっていながら、未だに対話とか外交だとか、平和的解決策を中核として模索し続ける。
プーチンという悪玉をその政権から注意深く除去しない限り、ウクライナの惨劇は延々と続く(と思う)。この狂人が聞く耳を妥協する脳を持たないのは明白であるからだ。
もっと日本のメディアは、マリウポリを含め、ウクライナの各都市の惨劇の真実と詳細を報じるべきだと思う。
著名人のSNSや、メディアにより着色された演出などはどうでもいい。現場の生の悲惨なそのままの現実こそが世界を動かし、プーチン撃墜に向けた国際世論の一致団結を促すのではないだろうか。
ベッカムの声でも、ロシア国営TVで反戦を訴えたオフシャニコワさんでもなく、老いた専門家らの的外れの経験則でもない。破壊と空爆の影に怯える現場の声と音を聞きたいのだ。
特に日本のメディアは、プーチンの影に怯えてるのか?控えめにウクライナの現状を伝えてる様にも思えなくもない。
そこで今日は、ウクライナの中でも最も激しい空爆が浴びせられているマリウポリの悲劇についてです。
マリウポリの惨劇
マリウポリの凍土に急いで掘られた狭い塹壕に、投げ込まれた子どもたちの何十もの遺体が横たわっている。
作業員たちは、次々と可能な限り素早く遺体を墓穴に投げ込んでいく。作業時間が少ないほど、自らの生存のチャンスも上がるからだ。
”早く終わってほしいよ”
作業員のブイコウスキさんは、トラックから黒い遺体袋を引き出しながら怒りを込めて言う。”これを始めたやつらはくそだ!”
空爆や砲撃が容赦なくマリウポリを叩く。
この地がプーチンによるウクライナ制圧作戦の真正面に位置する、地理上の呪いをたたき込むかのように。
人口43万人の港町は、プーチンによるウクライナ民主主義粉砕の、一方でそれに対する激しい抵抗の象徴となった。
マリウポリは今やロシア軍に囲まれ、砲弾の一発ごとに押し潰されつつある。
空爆と砲撃は産科病院・消防署・民家・教会・学校に着弾。人道支援はロシア軍に止められ、市の周囲の道には地雷が埋設され、港は封鎖された。
死が街を満たす。
マリウポリだけで死者数は2500人を超えた。”奴らはマリウポリを人質にとり、あざ笑い、爆撃し続けている”と、ゼレンスキーは激怒した。
数週間前、マリウポリの先行きは明るく見えた。場所が都市の命運を決めるのなら、マリウポリは成功に向かっていた。
高い国際需要に支えられ、地元の鉄鋼工場や深水港湾は活気づき、7年前の親露分離派との市街戦が起きた暗い日々も、記憶の彼方に薄れつつあった。
今回ロシア軍の侵攻が始まった当初の数日間、多くの住民は”奇妙な慣れ”を感じていた。(オルロフ副市長によると)脱出が可能だった初期には、約10万人の住民が退避した。が、多くは”これからもやり過ごせる。いずれ西に逃げられる”と考え、残ったのだという。
やがて砲撃と空爆が襲い、住民は退避壕に籠もる事になる。生活は平常とは程遠かったが、まだ生きる事はできた。
だが、27日には変わっていた。救急車が6歳にもならない(身じろぎしない)女の子を市の病院に救急搬送する。
蒼白な顔をしたその娘のパジャマのズボンは血だらけだ。彼女の脚はロシア軍の砲撃で負傷していた。
激高した医師は罵言とともに叫ぶ。
”これをプーチンに見せてやれ!この子の瞳と、泣いてる医者の姿を見せてやれ!”
彼女は助けられなかった。小さな体はピンクのジャケットで覆われ、丁寧に彼女の瞼を閉じた。
長年、マリウポリに有利に働いてきた地理的環境は今や、その足を引っ張っていた。
同市は、親ロシア派が支配する地域から10kmほどしか離れておらず、同地域とロシアが2014年に併合したクリミア半島の間に位置する。
つまりマリウポリを制圧すれば、ロシアは両地域の間のアゾフ海沿岸全域を押さえる事ができるのだ。
2月が終わり、包囲戦が始まった。
危険を無視したのか、じっとしていられなかったのか、或いは(10代の若者が往々にしてそうであるの様に)無敵だと感じてたのか、少年の一群が3月2日、学校のそばの運動場でサッカーを始めた。爆発が起き、16歳のイリヤの足は吹き飛んだ。
少年に運はなく、マリウポリの運も急速に下降していた。停電が起き、携帯も殆ど使えなく、連絡ができない・・・
結局、イリヤは救えなかった。父は死んだ息子の頭を抱いて嘆いた。
以上、「重なる子どもの遺体・・・」(AP通信ルポ・前編)からの抜粋でしたが、本当は後編も紹介したいが、これ以上は書いてて耐えられなくなった。
正直、ゼレンスキーらしくないと思いました。
しかし、アジア諸国の中で先頭を切って支援してくれた日本を戦争に巻き込みたくないという真摯な気持ちはここまで伝わってきました。
日露戦争も広島長崎も北方領土も福島も
言うことは幾らでもあったはずです。
でも、敢えて封印し、平和な日本に敬意を評した形となり、改めてゼレンスキーの懐の深さを痛感しました。
一方で、余裕と不安も感じますね。
長期戦はウクライナの想定内でしたが、マリウポリは想定外でした。
今は苦戦が伝えられるロシア軍も黒海を制圧すれば、一気に南からウクライナを叩けますから
内容をよく吟味してみると、そんなでもなかったかなと。
憲政史上初とか、世界が注目とか、
メディアが大げさに騒ぎ立てるから、私もつい力んでしまいました。
でもよく考えると、オンラインとは言え、相手の土俵で(ワイドショーみたいに)ズケズケとは言えませんよね。
ゼレンスキーって意外に(って失礼ですが)頭いいんですよね。
オチをあえて”サリン”に持ってくるあたり、一本取られたって感じです。
日露戦争も広島長崎も北方領土も福島も当然ゼレンスキーの頭の中にはあった筈ですから・・・
プーチンよりも若い分、ゼレンスキーに柔軟性がありますよね。
思考の多様性とその柔軟性に大きく期待したいです。
コメント有り難うです。
ワイドショーでは皆偉そうなこと言ってるけど
いきなり超音速のミサイルが飛んできて、六本木ヒルズを丸焦げにされたら、流暢なことは言ってられんよね。
ゼレンスキーも彼なりに考え抜いた演説だったけど、冒険はしなかった。
今後の日露関係もあるし、これが精一杯なのかな。
でも衆参議長の二人の挨拶はゼレンスキーの耳には届いたんだろうか?
いずれにせよ、東京が第二のマリウポリにならないことを願うだけだね。
ドイツの件があったから
ひょっとしたら、サプライズがあるのかな?
と期待したんですが・・・
でも、ゼレンスキーは冷静ですよね。それに思った以上に頭が良い。
ユダヤ系だけあって、実に多様的にものを考えてます。
一方で、プーチンの頭脳は安倍レヴェルだと思うんですが、経験値が違いすぎた。
情報戦でウクライナがロシアを圧倒してるのも頷けます。
頭脳戦に持ち込めば、意外とプーチンは脆いかもです。
つまり、素人は語るなってこと。
しかし、ワイドショーに頻繁に出てるって事は専門家であっても半分はタレントです。
コロナウィルス騒動でも、多くの専門家の予想は外れました。
今回のウクライナ危機も、専門家の多くの予想は当たったとは言えませんね。
ウクライナが1ヶ月持ちこたえると予想した人は何人いたでしょうか?
マリウポリがここまでボコボコにやられるとは誰が予想したでしょう?
それでも専門家は当り前の事を言う他ないし、それが仕事だから、周りが何と思うと判ってることや知ってることを言うしかない。
つまり、素人みたいに感情やアテ勘でものを喋ってはいけない。
素人の一番の欠点は知らない事すら知らない事です。
勿論、専門家も経験や机上の論理で語る欠点があります。
ただワイドショーの構成は専門家やタレントではなく、TV局が作ります。それに今は専門家とタレントの境界がなくなりつつあるから、単に受けのいいトークバラエティになるんですよね。
その上、本当に頭の良い人は出たがらないでしょうから。
少しテーマからずれましたが、ご了承ください。
トークバラエティであって、ディスカッションとは程遠いです。
所詮、多様で柔軟な思考が不得手な民族なんですよね。
イギリスではチャーチルを
アメリカには真珠湾と911を
ドイツにはノルドストリーム批判を
フランスにはJPベルモンドを
そして日本には
復興にはカネがいると(悲)
ユダヤ系のゼレンスキーには頭が下がります。
アベはゼレンスキーの演説に、
”ウラジミール、君と僕は同じ破滅の道を進んでいる”とでも後悔してんでしょうか(悲)。
日本のワイドショーも専門家もゼレンスキーを見習って欲しいもんですよね。
殺人者のためのリゾート地
にならないようにと訴えた
ロシアのエリート層を罰する為に
もっと制裁を加えるようにも訴えた
善悪二元論では解決しないし
プーチンを追い詰めすぎるリスクも
無視は出来ない
しかし今追い詰めないと
逃げられてしまうリスクもある
プーチンも善悪二元で考える男だから
その善悪二元論で追い詰めるしかない
チキンゲームと言われそうだが
現代の戦争の大半は
チキンゲームであり
核のエスカレートが
核のエスカレートを鎮静化する可能性も排除できないし
核のエスカレートが
そのまま核戦争に繋がるのも排除出来ない
プーチン政権という不発弾から
プーチンという核だけを引き抜く
慎重な作業が必要なのだろう
3回目のワクチン接種で微熱が出て、昨晩はずっと寝込んでました。
モデルナとは相性が悪いんですかね。ファイザーは何て事なかったんですが。
二元論に始まりチキンゲームですか
とても抽象的になってきましたね。
ゲーデルの不完全性定理じゃないのですが、プーチンも完全ではないので、老いぼれて自滅するしか他に落し所はないんでしょうか・・・
戦争バカの行く末は常に悲しく孤独なのかもですね。
答えになってなくてスミマセン。
誰が日本に無差別爆撃をしたのか
アメリカは判ってるのに何も言わない。
日本もアメリカの核の傘に隠れて何も言わない。
プーチンが語ってる事は真実である。
しかし、彼はウクライナ侵攻の前にそれを言うべきだった。
転んだサンが言うプーチンの3枚のカードの1っがこれだった。
1枚目が対話と外交、2枚目はこの原爆投下の矛盾、3枚目が武力行使。
でも、今となっては遅い。
侵攻の前に原爆投下の矛盾をアピールしてたら、国際世論はロシアに向かっていた。
プーチンは何もせず、東欧諸国をNATOから切り離し、旧ソ連の復活もあり得た。
転んだサンはどう思いますか。
プーチンの本音だとは思えませんが
側近の助言があったのかもですよね。
言われる通り、キエフ侵攻の前に言うべきでした。
多分、追い詰められたプーチン政権に何とか国際世論を味方につけようとの入れ知恵(の後付け)のような気もします。
でも、全ては遅すぎました。
これだけボコボコに叩いておいて、平和も何もないですよね。
まるで”アメリカが落としたんだから、ロシアも落していい”と宣言してるようなもんですから・・・