象が転んだ

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「サイコパス•インサイド」に見るサイコの脳と遺伝と環境”その3”〜サイコ系犯罪を未然に防ぐには?

2018年02月09日 12時43分11秒 | サイコパス

 久しぶりに、サイコパスの登場です。ただ、10日以上離れると全く忘れますね。忘れてもいい様に、暇な時にセッセと書き溜めするんですが。記憶が付いけいけません。
 
 ”その1”では、サイコの脳(冷めた脳)について、”その2”では、悪の遺伝子が衝動殺人に、サイコの脳が計画殺人に結び付き、環境因子がそれら悍ましい犯罪行為を、決定付ける事を述べましたが。書いた本人も殆ど忘れてますが(笑)。

 しかし、よく考えると、ネット社会ってサイコの温床にもなる代わり、一斉に封じ込めて逮捕する事も可能なんですかな。でも、これ以降の話はどうサイコに対処し、サイコを系犯罪を未然に防ぎ、サイコを正常に戻すかに、傾いていきます。

さて、サイコパスインサイド(内向性)の本流に戻り、詳しくメスを入れていきます。

 サイコの脳とは、これまで述べた様に、眼窩前頭前皮質(OFC)と腹内側部前頭部皮質(dl‐PFC)及び扁桃体(AMG)を含む側頭葉前部(TL)に活動低下や損傷、喪失がある脳みその事ですが。この単純明快な美しきパターンこそが、卑劣で冷酷な悍ましい、殺人犯を生み出すのです。
 
 衝動的人間は、元々OFCの機能不良が見られ、性欲昂進者や易怒的人間は扁桃体の機能異常が、見られます。
 海馬や帯状皮質の機能低下では、社会的行動に欠点が見られ、気分調整と行動抑制に難があるとされます。

 つまり、サイコパスとは、前頭前葉と側頭葉の機能低下の複雑な組合せであり、レントゲンで調べた結果、何とこの本の著者のジェームズ•ファロンも、このサイコの脳の持主であったのです。

 その上、彼には、先述した"殺人の遺伝子(MAOA)"も組み込まれていた事が、調査の結果判明した。暴力性の父方家系には、近親者を殺害した凶悪犯が何人かいたし、母方の家系にはアルツハイマー系の怪しい人物が多かったという。

 この"攻撃的遺伝子(MAOA)"は、男性で30%、女性では9%の確率で保有され、テストステロンにて更に増強されるという。SNPs(スニップス)も人の体質の違いを生む遺伝子群で、MAOA同様、犯罪捜査に利用される。1%以上を多型(正常)、1%以下を変異とされるそうだ。

 また、ドーパミンが増加すれば、鬱病を軽減させ、減少すれば統合失調症を軽減させる。それ以上に、これらモノアミン(神経伝達物質)を運ぶ、トランスポーター(運び屋)も非常に重要になるとされる。
 モノアミンがどの程度作用するかは、DNA構成と神経回路網の成熟度に依存するというから。遺伝子といっても複雑多岐に絡み合い、最終判断を下してる訳だ。

 因みに、”その2”で述べた様に、セロトニン(精神安定物質=幸福ホルモン)トランスポーターが日本人は少なく(3%)、世界一不安性な民である。アフリカやアメリカ(32%)は多く、陽気で自信家だが犯罪も多い。
 このセロトニンの"運び屋"は、サイコパスにも関連が深く。この過剰産出は、ハイリスク変異体と関係し、アル中、鬱病、社会恐怖、高血圧、強迫性障害などを生み出す。シャブと同じで、運び屋が重要なんですな。
 日本に、多種多様で複雑怪奇な犯罪が少ないのも、不安症型民族のなせる技かも。


 次に、ドーパミン(快楽ホルモン)も、サイコパスにて大きな役割を演じる事は、先にも述べたが。サイコパシーの特性は、脳内のドーパミンに大量放出とによく似ており、彼らにしばし見られる、嗜癖的行動(薬物•SEX•暴力)はその特徴であるという。
 詳しく言うと、通常、ストレスを受けると、扁桃体が活性化し、脳幹のセロトニンの放出を導き、ストレスを相殺するが。サイコパスの場合、この領野が機能低下し、十分なセロトニンが放出されないので、慢性的に怒りっぽく衝動的になるのだ。そして、質の悪い事に、その行動は非常に冷静で残酷と来る。

 その上、セロトニン関連物資(トランスポーター、MAOA、受容体、諸酵素)に大脳辺縁系構造の発達の違いが加わり、ストレスや怒りの反応は、様々に大きく異なってくるという。
 しかし、サイコパスでは、感情や情緒を掌る諸皮質の機能低下の為に、ストレスや不安を感じないのだ。サイコって、全く都合良く出来てますな(笑)。

 また、共感を調整する脳内ホルモンや、攻撃性を制御する対立遺伝子群は、サイコパシーに大きく影響を与えるが。他の特徴である、誇大性•軽薄さ•病的虚言•道徳心や倫理性の欠如といった遺伝子は、未だ特定されていない。

 2009年までの研究では、人間の複雑な適応行動に影響するのは、僅か幾十もの遺伝子に過ぎず、大半の遺伝子は目の色や髪の毛を支配する類に過ぎない。
 故に、遺伝子で優劣を区別する事は不可能で、人の行動が、僅か幾十もの遺伝子の、複雑多岐な相互作用と、無数の調整因子の影響を受けてるのだ。

 しかし、一番怖いのが、悪い遺伝子がセットになって集中存在してるって事。ゾラが問題視してたのは、まさにこの事ですな。バルザックやゾラは、人間観察を注意深く行い、 ”サイコパスインサイド”に見るサイコの脳と遺伝そして環境。この3つを見抜き、サイコパシーの特性にいち早く、既に気付いてたんですかね。ある意味、二人は卓越した精神分析医ですね。

 
 一方、ファロンが取り組んだアルツハイマーと統合失調症の2つの研究は、脳画像データや心理検査と遺伝情報を比較した、ある方程式を開発したお陰で、僅か30人の被験者で3つの特定遺伝子をアッサリと発見出来た。
 しかし、"殺人の遺伝子"はそう簡単ではない。ゲノムワイド解析では50万個以上のSNPs(一塩多岐型)のデータ抽出を得るが、染色体毎に30億以上の塩基対があり、総ゲノムの1%以下しかカバーできないとされる。

 唯一の方法は、30億の塩基対、全てのゲノム配列全体と、アルファベットが混入されてるスープの配列とを深く探る事だが、費用と時間と手間がかかりすぎる。しかし、今やゲノムの研究も進み、以前は解明できなかった複雑な疾患が判明してるという。全く、ゼータ関数を使って解析出来んのですかね。

 結局、サイコパシー対策は一筋縄では行かないのですね。排除した所で、過酷な環境下で、次々とサイコの脳と悪の遺伝子が複雑に組み合わさり、増殖して行くんですな。全く、サイコパスに程度があるとしたら、それこそ難解な問題である。



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