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数学はギャンブルを超えた?のか”その3”〜マーチンゲール&モンテカルロ編

2022年01月26日 13時10分34秒 | 数学のお話

 リスクを徹底してヘッジ(回避)する事で、高いオッズのエッジ(期待値)を出来るだけ底上げし、ハウスアドバンテージをプレイヤー有利に転換する。更に、大きなリスクでも徹底して数値化し、有利なベットの対称にする。
 数学者らしい戦略と言えばそれまでですが、些細なリスクをも数値化するソープの執念には、恐れ入る。”ギャンブルを数学の力で素っ裸にした”第一人者とも言える。
 近い将来、些細な運やツキも数学的記述や微分方程式などで表現される時代が、すぐそこまで来てるような気もします。でもそれはそれで、悲しい気もしますが。
 そこで今日は、「その2」で紹介した”ケリー基準”に代わるシンプルで単純なベッティング法である”マーチンゲール法””モンテカルロ法”を紹介します。

 「その1」に寄せられたコメントにある様に、ソープが最初に取り組んだベーシック戦略では、”ベーシックストラテジーチャート”と呼ばれる表(カード)を使う事で、確率に基づいた戦略的なプレイを可能にしました。
 緑色のHがヒット、赤色のSがスタンド(ステイ)、黄色のDがダブルダウン(表を参照)。
 まずプレイヤーに配られたカードの合計が10で、ディーラーのオープンカードが4であったとします。
 そこで表を見ると、縦軸(HardTotal)が10で、横軸(DealerUpCard)が4ですから、次のアクションはD(ダブルダウン)、つまり掛け金を倍にしてカードをもう一枚引く。そうすれば勝率が上がる。
 因みに、Aを1と数える”Hard”とAを11と数える”Soft”では、勝率やバラツキに注意が必要ですね。

 単純に勝つ確率ではなく、ベットサイズに応じた勝率とリスク率を細かく調べ上げ、常にプレイヤー有利に持ち込む。つまり、この、ベーシック戦略だけでも、大ケガをしない安定したギャンブルが可能となるのでしょうか。
 

マーチンゲール法

 このベーシック戦略以外にもマーチンゲール法(勝つまでは掛け金を倍にし続ける)がありますが、FXなどの資産運用でも使われ、ずっと単純です。
 ”理論上負けない”とされるのは、どんなに負け続けても1度の勝ちで全てを取り戻せるのが根拠だが、勝率5割&配当2倍のルーレットやバカラなどにも多く使われます。

 但し、欠点もある。
 つまり、勝つまでは掛け金を倍々に積み上げる為、かなりの軍資金を必要とする。故に、お金持ちじゃないと無理ってこと?
 確かに、1回でも勝てれば、負け分はチャラになるが、その1回の勝利がいつくるか?誰にも分からない。
 仮に100円からスタートして10連敗した場合、11回目のベット額は100×2¹⁰=102,400円と10万を超える。確かに、ここで勝てば(配当が2倍として)、それまでの掛け金(=100(2¹⁰−1)=102,300円)はチャラにはなる。因みに、計算には等比数列の公式を使い、初項a=100、公比r=2で、Sₙ=a(1-rⁿ)/(1-r)でしたね。
 でも、20連敗でもしたなら、21回目のベット額は104,857,600円(=100×2²⁰)と1億を超えます。
 過去に、モナコのルーレットで26回連続で黒が出たという記録がある。この時、赤に賭け続けていれば、27回目の掛け金とそれまでの損失金を合わせ、約134億円(=100×2²⁶×2)の軍資金が必要になるが、結局はお金持ちの道楽なんでしょうか。

 しかし、マーチンゲール攻略法(必勝法)もないではない。それは、連敗をできるだけ抑えること。
 マーチンゲール法か成功したとしても、連敗のリスクを低くする事はできない。そこで、”連敗を抑える”には、”同じ結果が出続ける確率”を利用する。つまり、”毎回勝負しない”
 まず、同じ結果が連続して出た後からマーチンゲール法を仕掛ければ、連敗する確率を抑える事ができる。事実、二者択一で同じ目が出る確率は単純計算では、1回目が50%、2回目(25%)、3回目(12.5%)、4回目(6.25%)、・・・、10回目(0.1%)となる。
 そこでオンラインカジノのルーレットで、単純にマーチンゲール法でプレイした時の結果を見ると、10回勝負をして4回勝利し、1ドルから賭けたとして収支は+4ドル、勝率は40%で半丁賭博としては悪くはない)。
 次に、3回連続で同じ結果が出てからマーチンゲール法で勝負した結果は、50回のうち10回勝負ができた。そのうち7回勝利し、トータル収支は+7ドルで勝率は70%となり、単純にプレイした時に比べ、勝率が30%上がる。
 以上、”CAJINO Navi”を参考に纏めました。

 しかし、この攻略法はリスクや勝率をある程度は調整できても、必勝法ではない。それにディーラーの腕もあるし、実際にはこのように単純に勝率が上がる筈もない。
 確率や統計で運やツキを計算する上でのあくまでも参考にという事だが、初歩的で単純な確率論や統計学でも勝率は上がると言うことは知っていて損ではないだろう。


フィボナッチ法

 「その2」でも少し紹介しましたが、マーチンゲール法よりもずっと穏やかな賭け方が、”フィボナッチ法”です。
 マーチンゲールの賭け方が倍々に増えるのに対し、フィボナッチ数列に基づいて賭け金を増やす方法ですね。
 フィボナッチ数列とは、0,1,1,2,3,5,8,13,21,34,・・・と続く数列で、隣り合う数字の合計が次の数字になっている。
 実は、巻き貝や花など、自然界に存在するものも、このフィボナッチ数列の法則によって配列されています。
 やり方はマーチンゲール法と全く同じで、勝つまでフィボナッチ数列に従い、1,1,2,3,5,8,13,21,34,・・・とベット額を増やしていく。勿論、勝ったら最初の1に戻ってやり直す。
 以下、「フィボナッチ数列で賭ける方法」より一部参考です。

 配当が2倍の丁半賭博で、初回の賭け金を100円として、10回連続で負けた時の損失額は、(1+1+2+3+5+8+13+21+34+55)×100=14300円と、マーチンゲール法(の102300円)に比べてずっと少ない。しかし11回目で勝っても8900円の儲けしかならないから、(マーチンゲール法みたいに)全額を取り戻す事はなく、5400円の損失が残る。
 因みに、フィボナッチ数列Fₙ(n≥1)の漸化式は、”Fₙ₊₂=Fₙ₊₁+Fₙ、F₁=F₂=1”で表せますから、順々に足していけば、フィボナッチ数列の総和公式”Sₙ=Σₖ[1,n]Fₖ=Fₙ₊₂−1”が導ける。故に、S₁₀=1+1+2+・・・+34+55=F₁₂−1=144−1=143となる。
 故に、20連敗しても21回目のベット額は1094600円(=F₂₁×100)と(マーチンゲールの約1億円と比べ)、遥かに少ない。それでも21回目で勝っても、1771000(=S₂₀×100)−1094600=676400円の損失が残る。

 以上から、フィボナッチ法の長所は、2回負けても次に勝てば負けた金額を回収でき、連勝した後に負けても損失がないと言える。
 また欠点は、連敗が続くと(マーチンゲール程ではないが)損失額が巨額になり、勝ち負けが交互に現れる場合は効果を発揮しない。
 そこで、フィボナッチ数列法では賭け金を効率よく増やすには、勝ってる間はフィボナッチ数列に従い、賭け金を増やす。負けたら賭け金は振り出しの1に戻す。マーチンゲール法の逆ですね。
 しかし、連勝中は利益がどんどん増えていくが、連勝後の負けの損失も大きくなる。その為、”どこでストップするのか?(損切り)”が重要なポイントになる。 
 勝率が50%の場合、連勝の確率は25%で、3連勝の確率は12.5%。プロの中には2~3連勝くらいまでなら賭け金を増やすという意見が多い。但し、2~3連勝した後は必ず賭け金を元に戻す様にとの事だ。
 マーチンゲール法ほどには損学は大きくもないが、最初にベットする金額の目安として予算の2%くらいがよいとされ、多くても5%を超えない事が推奨されてます。

  
モンテカルロ法との併用

 フィボナッチ法以外にも、ダランベール法やモンテカルロ法に10ユニット法など様々な手法がある。これらの手法を併用した、オリジナルの手法を見てみます。 
 ここでは”モンテカルロ法”とフィボナッチ法を併用したやり方を紹介します。
 モンテカルロ法の由来は、ある人物がこの手法を使い、モンテカルロにあるカジノを潰してしまったという逸話があり、故に、禁止してるカジノも存在する。
 このモンテカルロ法では、(原則として)最初に{1,2,3}と3つの数字の列を書き、1と3(右端と左端)を足した金額4(=1+3)を賭ける。但し、大きく賭けたい時は{3,6,9}としてもいい。
 まず、負けた時は賭け金4を加える。数列は{1,2,3,4}となり、再び右端と左端を足した金額5(=1+4)を賭ける。ここでも負ければ、賭け金5を加え、数列は{1,2,3,4,5}となり、次の掛け金は6(=1+5)。更に負けが続けば、この作業を繰り返す。つまり、負けが続く度に賭け金が1つずつ増える。
 3回目で初めて勝ったとすると、両端(1と5)を消去し、数列{2,3,4}となり掛け金は6(=2+4)。再び勝てば数列は真ん中の数字{3}だけになり、最初の数列{1,2,3}に戻り、1+3=4を賭ける。
 但し、以上は配当2倍のケースで、配当3倍では、勝った時は数列の(両端の)数字を2つずつ計4つ消す。あとは2倍ケースと同様である。
 以上、CAJIMARU.Comからでした。

 つまり、(利益が出るタイミングとなる)数字が0個か1個になるまでが目安で、(大負けも大勝ちもしない為に)長期戦に持ち込めば、リスクとリターンのバランスが非常によくとれた戦法である。
 元々”負け難さ”を前提とした手法で、連勝するよりある程度負けてから勝利する方が利益が出る事もあり、短時間で期待値(エッジ)を得られる手法ではない。
 勿論、負け続ければ大損するので、損切りは10個の数字が並んだ時とされる。
 この様にして、最初はモンテカルロ法で賭け、利益がある程度出た時にフィボナッチ法にシフトする。これを交互に繰り返し、長期戦に持ち込み、負けない事を前提とした賭け方だが、カジノを潰すにはこういう慎重策も必要なのだろう。

 このフィボナッチ法やモンテカルロ法では、”資金をできるだけ長持ちさせる”事ができるので、資金が少ない時やゆっくりプレイしたい時など、好都合なベッティングと言えるのではないだろうか。 
 結局、如何にして勝つかではなく、”如何にして負けないか”という事を大前提とした賭け方に徹底する事で、ギャンブルそのものを楽しもうというその心の余裕こそが、真の意味でのガジノ攻略法かもしれませんね。


補足〜モンテカルロ・シュミレーション

 ”モンテカルロ法”と数学の世界で使われる”モンテカルロ・シミュレーション”を混同してる人も多いと思います。実は私もそうでした。
 モンテカルロ・シミュレーションとは、乱数を用いて今後を予測する手法の事です。元々は、中性子が物質中を動き回る様子を探る為に、スタニスワフ・ウラムが考案し、フォン・ノイマンにより命名され、決定論的解析問題を解く際の乱数を用いる方法として考え出された。
 現在では、モンテカルロ法は乱数を利用する手法”ランダム法”の総称となり、幅広い分野で使用されている。その1つとして、カジノやスポーツギャンブル・エンタメの分野でもモンテカルロ法が使用されている。
 この”ランダム法”をとても簡単に説明すれば、”サイコロを何百回と投げ、その平均から今後の予想を立てる”と言えるでしょうか。
 しかし、未来の出来事は我々は予想する事は出来ない。でも、企業の1年の売り上げ、1か月の株価の変動、ここ1日で交通事故が何件発生するか?・・・そういったものを占える魔法のサイコロがあれば、私たちは安心して生活が送れる。だが、そういったサイコロはないので、自分たちで作るしかない。

 そこで、過去の経験を元に(上の例で言えば取引先の最近の受注数や車を使う人の平均年齢など)自分たちが調べたいものの数を占うサイコロ(のモデル)を作り、プログラムが何百回とそのサイコロを振って平均を出してシミュレートしていく。これがモンテカルロ・シミュレーションです。
 故に、カジノで使われる”モンテカルロ法”とは直接関係がある訳ではないが、過去のデータを基に未来を予測する手法は、カジノにも通用する攻略法と成り得る。
 事実、モンテカルロ法を活用すれば、コンピューターアルゴリズムでシミュレートを実行し、賭け事の勝率を計算する事ができる。これは複数回の乱数を用いたシミュレーションにより算出される。
 例えば、スポーツにおいてモンテカルロ法を使用する場合、あらゆる要因(チーム力・選手の能力・天候・相性・スタジアムetc)をパラメーター(変数)としてシステムに追加する事でゲームの結果を予想します。

 モンテカルロ法のシミュレートモデルとしては、勝敗だけを予想する”決定論的モデル”、未知の要素を考慮した”確率モデル”、状況においてパラメータを変更する”動的モデル”の3つがある。後者になるほどに複雑になるが故に、常に正確な結果が予想できるというものではない。
 つまり、賭けの対象となるスポーツやゲームが複雑であるほど、モンテカルロ法の有効性は下がる。故に、モンテカルロ法はあくまで結果を予測する為の参考情報であり、自分自身でも予想を立て、モンテカルロ法の信用性を吟味する事も必要である。しかし、数学的根拠に基づくので、素人がランダムに結果を予想するよりも的確率は高い。
 以上、「Cajino Winners Club」などを参考にして長々とまとめました。



4 コメント

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掛け金の上限って (HooRoo)
2022-01-26 16:27:40
どれくらいなんでしょ^^;
まさか
世界の大金持ちが1兆円をベットする
なんてことはないでしょーね

スロットで何億もの大金をゲットしたってニュースをよく聞くけど
そんな大金
スロットの中にどうやって入れるのかしら
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Hooさん (象が転んだ)
2022-01-26 23:33:09
スロットはジャンクポットといって
全ての掛け金がセンターと繋がってるので、故に大当たりすれば一晩で億万長者になる。
日本のパチスロにはない羨ましいシステムです。

Hoo嬢の地元シンガポールでもカジノは合法ですから、暇な時は運試しでもしてみては如何でしょうか?
但し、賭け過ぎは禁物ですよ。
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ジャックポット (tokotokoto)
2022-01-27 13:08:30
って日本にはないシステムですよね。
莫大な数のスロットをリンクすることで
ギネスにも載るほどの大当たりが出る。

でもこうしたスロットの大当たりも数学戦術が影響するんでしょうか?
とてもまぐれだけでは大当たりしてるようにも思えないんですが
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tokoさん (象が転んだ)
2022-01-27 17:05:44
スミマセン
”ジャック”ポットの間違いでした。
言われる通り、スロットは賭け金の積立(プログレッシブ)がとても早いので、こうした夢のようなシステムが取れるんでしょうね。
ただ、スロットに関しては損益分岐点(ジャックポット)を見極めるのは不可能とされてますね。

確かに、ジャックポットを狙うごく一部のプロもいるが、殆どは素人なので、胴元が損をする事はないとされます。
でも、ギャンブルに夢があるというのはいい事ですよね。日本のパチンコとは大きな違いです。あれは現実ですから・・・
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