しつこいようですが、今日も”イチロー”です。この2話に渡るブログで、私めの彼に対する思いというかスタンスが解るんですが。安直なイチロー批判だとは捉えないで欲しいです。
今と昔を比較する事自体ナンセンスですが、それでも何か繫がる起因がないかを暗中模索した結果のブログであり、愚痴である事をお忘れなくです。
計算し尽くされたイチロースタイル
”その1”では、イチローの記録の”光と闇”について述べましたが。彼に対し、揶揄した意見を、歪曲した評価を重ねても、イチローが重ねてきた偉大な数字と華麗なパフォーマンスは揺るぐ筈もない。が故に、その偉大さに見合った”引き際の美学”というのも、彼には考えて欲しかったし、かつてのイチローファンとしては是非そうして欲しかった。
イチローは、オリックス時代も7年連続で首位打者を獲得したが、内安打は、33、30、34、34、29、15、29と日本でも傑出してはいたが。メジャー時代に比べると6割程で、内安打というより強襲打のイメージが強かった。
ただ、イチローの場合、この内安打が偶然の産物ではなく、計算し尽くされた所に、彼の貧相に見える打撃スタイルが、賛否両論を生み出し、物議を醸しだす。
ローズの時代とイチローの時代
一番の議論の的とされるのが、ピートローズとの比較だが。
まず世代が違う。球団拡張の前と後、ストライキの前と後。これだけでも確実に、2段階はレヴェルが違う。野茂が成功したのも、ストライキによるレヴェル低下との声はよく聞く。
90年代末から2000年代にかけての、ステロイドによる質の低下は勿論だが、ドーピング以前は、80年代の”コカイン問題”で多くのメジャーが永久追放された。この時期はローズの晩年期とちょうど重なる。つまり、ローズが去った80年代以降の大リーグは、以上の4段階の崩壊を経て、衰落の一途を辿ってるのだ。
逆を言えば、大リーグが存続してる事自体が奇跡とも言える。
それに、ローズがシンシナチで活躍した全盛期の70年代は、大リーグの黄金時代と丁度重なる。イチローが活躍した2000年代のストライキ後のステロイドで塗れ、球団拡張で空洞化した時代とは雲泥の差である。
仮に、イチローがプラチナに輝く70年代にアメリカに渡っても、よくても代打要員か、いやメジャーにすらなれないか。それは王さんだって同じ事が言える。
そんな中唯一、ローズがイチローに遅れを取るのが、”野球賭博”に手を染めた事だ。
日米通算とか、イチローが最初からメジャーにいたらとかの安直な議論で、唯でさえ立場の弱いローズ氏は責められっ放しだが。それを言うなら、先ず野球の質とメジャーのレヴェルの違いをキチンと提示し、最初の議題にすべきだろう。
初歩的というより初等的な考察での議論が必要なのに、そういった議論は特に日本では、成される筈もない。
結果も数字も、時代背景とMLBの質と量とプレーの難易度を考慮すべきなのに。
そういう公平な視点で両者の、実質の等身大の数字を比較して欲しい。でないとローズ氏が少し可哀想すぎる。
日本のメディアはそういったイチローの記録の”脆さ”と”危うさ”については、全く触れたがらない。かつて日本列島を揺るがした、”世界の王”フィーバーと同質なのだ。
内安打全盛の古き良き時代
MLB史上最高の通算打率(.367)を誇る“球聖”タイカッブは、”50cm先に転がしたヒットと50m先に飛ばした安打が、同じ安打として扱われる事は、野球のルールの最も素晴らしい部分である”と語った事は有名な話だ。
ただ、MLB史上最高の打者とされ、ルースが憧れたジョー•ジャクソンは、貴重なフィルムで見る限り、天性のレヴェルカッター。それも、往年の掛布選手みたいに強引かつパワフルに身体ごと回転させるスタイルだ。
飛ばない球をヒットにするには、アベレージヒッターと言えど強力なスィングが必要だ。典型のチョッパー打法のタイカップですら、かなり強烈に叩き付けてた。グラウンドも今よりずっと柔らかったから、当時は内安打を打つのも一苦労だったろう。
ジャクソンの打撃スタイルは、ルースの豪快なアッパーカッターに伝承された。飛ばない筈のボールをどうやってヒットにホームランにするか。当時の偉大な打者達は、記録よりも打撃そのものに拘った。
タイカップがいたから、一度も首位打者が獲れなかったと言われるジャクソンだが、本気でやれば5割は打てたとされる。そのジャクソンも最後は八百長に巻き込まれた。
引き際として見れば、ジャクソンの場合は全くの”不運”だったが、イチローの場合は全くの”奇怪”だ。
イチローの打撃デザイン
故に、イチローの打撃スタイルを批判するものではないと言えそうだが。タイカップやジャクソンやルースの時代は、飛ばないボールの時代。今は飛び過ぎるボールの時代。”内安打はチキンだ”と揶揄されても、言い訳出来ないのは事実であり、辛い現実がそこにはある。
逆に、弾けるボールだからこそ、硬いアンツーカーに叩きつけての内安打が狙えるのだが。それ以上に致命的なのは、イチローの出塁率の低さと打点の少なさ。この2つはチームの勝利に直結するので、内安打以上にタチもイメージも悪い。
事実、マリナーズがイチローをヤンキースに放出した時、イチローの内野安打率を公示した。何と”内野安打がアウトだったら”と皮肉ったのだ。お陰で、ネット上では大きな騒ぎとなった。
フロントも自分の事しか考えないイチローに、心底憤慨してたのか。せめて、追い出す時は、キレイな賛辞で締め括ろうと、日本人の私は思うのだが。
”本塁打だけを狙っていいなら、40本は打てますよ”とのイチローの強がりのコメントも当時の私は信じたが。これも全くの哀しい嘘。イチローの長打率の低さを見れば一目瞭然だ。
過ぎたるはケチが付く?
そんなイチローへの辛辣なアテツケも、彼がもっと早くスムーズに引退してれば、こんなに目立つ事も物議を醸す事もなかったろう。
記録を塗り替える度にイチャモンがつくという、ある意味、奇怪な殿堂入り級の選手でもある。
まさに、”過ぎたるはケチが付く”。
でもそういう事が判りきっていながら、イチローは”延命”に拘り続ける。現役続行という名の延命。球団やメディアやファンは引退という”安楽”を示唆してるのに。
これ以上、イチローの人格や記録に”ケチ”が付くのは誰も望まない。望むのは”安楽的引退”の5文字なのだ。しかし、イチローはこの安楽の領域をも踏み越えてしまった。
確かに、数字を残さないと認めてもらえないし、数字に拘ればケチが付く。要は、その”落とし所”だろう。バルザック流に言えば、”才気も度が過ぎれば心が腐る”。
どんなに偉大な実績も、タイミングを逸すると全くの腐敗した堆積物に成り果てる。グリフィーみたいに、静かにスパッと辞めるべきだった。
王の記録への拘りと長島の悲劇
王さんだって、”世界の756本?”に拘ったが故に、どれだけチームに迷惑を掛けた事か。王さんが記録に執着しなければ、長嶋の悲劇は避けられた。
いや記録だけに拘るのなら、読売以外の球団でも良かった筈。明らかにナンセンスだが、仮に756本が世界記録と定義するなら、読売以外でも世界記録であろうに。
でも王さんは、読売と記録の2つに拘った。記録だけだったなら、長島の読売の悲劇は避けられたろうか。
しかし現実はそれ以上に、王さん自身に様々な物議が降り掛かった。メジャーよりレベルの低い日本の、それも箱庭みたいな球場での記録と揶揄された。故に”ピンポン野球”との評価は、今でも変わらない。皮肉にも同じ読売の松井が、NYでそれを証明してくれた。
因みに、旧後楽園球場の両翼は80m弱と言われてるが、本当だろうか?ウソだと言ってナベツネとの声が聞こえそうだ。
お陰で、王さんのイメージは、”世界の王”から”日本と台湾の王”に格下げになった。オフに来日したロイヤルズの安打製造機ジョージ•ブレットは、”世界の?”王さんの前で、毎晩の様に本塁打を放った。
当然の如くブレッドは、”日本でなら100本は打てる”と、素っ気なく語った。王さんはこの言葉をどう捉えたろうか。それにこの言葉は、イチローの40本より遥かに説得力がある。
世界のイチローか?愛知のイチローか?
同じ様に、”世界のイチロー”は、”愛知のイチロー”に成り下がるのか。これ以上、イチローが現役に拘れば、”辞めると言って”との声が何処からか聞こえてきそうだ。
しかし今季の契約上(一軍登録時の年俸は約8250万円)では、イチロー黄金伝説は来年も続く訳だから、ファンとしては喜ぶべきか。そういう私も心の中では、イチローに”燻し銀の輝き”を期待してるのかも知れない。されどイチローさらばイチロー、そしてイチローに栄光あれですかな。
因みに、イチローの今季のオープン戦は、14打席連続無安打となり(3/12現在)、23打数2安打で、打率はついに1割を切った。
お陰で、3/20、21日に東京Dで行われる開幕のアスレチックス戦の生き残りは、全くの白紙状態になった。残りのオープン戦は3試合のみ、流石のイチローも正念場となりそうだ。
この二人はよく比較されます。ローズの4256本か、イチローの日米通算の4367本(1278本は日本)の比較は、よく議題に上がります。
ローズはこのイチローの日米通算にケチをつけました。イメージ的にはとても見苦しいのですが。実力的に見れば、象が転んださんの言う通り、どう見てもローズに軍配が上がります。70年代の黄金の大リーグと、2000年以降の色褪せたメジャーでは、差があり過ぎだと私も思います。それだけに、ローズの嫉妬には残念ですが。
日本のメディアは、当然イチローの側に立ってものを見ます。イチローにケチをつけるローズの側に立って、コメントをしたメディアがあったでしょうか。多分、皆無でしょう。今の時代になっても、所詮、日本人は井の中の蛙的人種です。
もっと公平な視点で、記録というものを語れないメディアや日本のコメンテーターには、いつもウンザリですね。
「日米通算という数字はどうしたってケチがつくことは分かっていた」と、イチローは語ってるが。日米通算だけでなく、メジャーのみでの記録にもケチがつくのを、イチローが日本人が認識してなかった点に、ローズとイチローの記録の比較には、あらゆる誤解が付きまとうと思うのですが。
イチローには惡いんですが。やはり、やってた時代が違い過ぎますね。王も長島も金田もメジャー挑戦には尻込みしましたものね。
ローズ贔屓でなくとも、その差は歴然としてると思うんですが。日本のメディアは、世界のイチローに執着し続けるんですよ。かつての756本フィーバーみたいに。そして、現実を知り、深く落ち込むのです。バブル崩壊後の日本と全く同じですね。
今回のイチローの日米通算フィーバーも、全く同じですね。イチローのためにも、日本のメディアはもう少し大人にならんとね。
イチローの記者会見とても素晴らしかった。見てて感動しました。彼は本当は喋る事が大好きなんですね。延々と喋り続けるんじゃないかと、そっちの方が心配でした。
転んださん言う様に、少し粘り過ぎたかなって思うけど、最後の最後はやはり我らがイチローだった。イチローの凄さはこういう所にあるのかもです。
イチローに関しては、色んな評価があるんですが。イチローはやはりイチローだった。
でもホント喋るのが好きな好青年という感じですね。オリックス時代と全く変わっちゃいない。私が好きなイチローがそこにいました。
これに対してはブログを立てようと。