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いくら派手に過去20年の歴代大統領らが参列し、重々しく慰霊を行っても、”9−11”の真相を知らされない限り、犠牲になった人や遺族が浮かばれる事はない。
どうもアメリカという世界最大の武器輸出国は、(戦争による)自国の利益を全てにおいて優先するらしい。
日本人24人を含む2977人が亡くなった米同時多発テロから、11日で20年を迎えた。
テロを機に始まったアフガニスタンでの”米史上最長の戦争”は8月末、米軍撤退で半ば強引に幕が引かれた。
この日の式典にはバイデン米大統領をはじめ、過去20年の対テロ戦争に関わってきた歴代大統領らが参列した。
バイデンはメッセージで、”事件後、この国は真の意味で結束した。アメリカを傷つけようとする者を必ず見つけ出し、代償を払わせる事をテロリストたちに示した”と強調した(朝日新聞)。
しかしもし、アメリカを傷つけようとするテロリスト達がアメリカ最大の同盟国の中から生まれたものとすれば・・・過去20年間の歴代大統領の主張は明らかに矛盾する。
そこで今日は、NHKスペシャル”9−11、閉ざされた真相”の紹介です。
隠され続けた真相
”9−11”同時多発テロの実行犯の大部分がサウジアラビア国籍だった。
”この国の何者かが背後で関与していたのではないか?”
疑念を抱く遺族たちは捜査に関わる情報の開示を求めてきたが、歴代の政権によって拒まれてきた。経済と安全保障で深く結びつく両国の特殊な関係。国益を最優先し、遺族に背を向けてきたアメリカの姿とは・・・
”9−11”テロの1カ月前、米国国内のモスクに100万ドルを寄付したとサウジアラビアの新聞が報じた。そしてテロ事件の翌年、モスクの指導者が66万ドルを海外に不法に持ち出そうとして起訴され有罪判決を受けていた。
この人物はアルカイダに資金を提供してた慈善団体と密接に関わってた事も指摘されていた。サウジアラビア大使館の職員ムサイド・ジャッラーが、アルカイダに資金を提供する目的でモスクに寄付をしていたかは分かっていない。
以下、「遺族と国家の20年」より一部抜粋です。
実行犯2人を支援していたバイユーミーとジャッラーの関係を明らかにしたFBIの捜査資料だが、5年前に明らかになったのは僅か4ページだった。FBIは10年近くに渡り、密かにこの事件の捜査を続けていたのだ。
サウジアラビア政府で働く個人の関与を立証できれば政府責任を問う事が可能だとされる。故に、裁判を有利に進める為に弁護団が最も重視しているのが、このFBIの捜査極秘資料である。
この他にも大量の資料があるとされ、その数は数千ページに上る。
遺族のテリー・ストラーダさんは、元FBI捜査官マーク・ロッシーニに資料全てを開示させるにはどうすればよいか助言を求めた。
そして2年前に、トランプ前大統領と面会。資料を開示するという約束を取り付けたが、翌日に反故にされた。
理由はこの時も”国家の安全保障”だった。
パウエル元国務長官の首席補佐官だったローレンス・ウィルカソンは、ポストを離れた後も米国の外交と安全保障を研究してきた。
世界最大の武器輸出国である米国にとって、サウジアラビアはこの5年間でその1/4を購入する最大の取引先だった。テロとの戦いが始まり、取引額は急増し、一時は100倍近くにまで膨れ上がる。
”米国は事件の真相究明よりも国益を優先してきた”とウィルカソンは指摘する。
先月、テリーさんはワシントンへ向かい、全ての遺族の思いを言葉に込めた。同じく先月には、アフガンから軍を撤退させた米国は、テロ事件の直後から続けてきた”史上最も長い戦争”に終止符を打った。
しかし、かつてアルカイダをかくまったタリバンは勢いを増し、過激派組織ISがテロを繰り返す。”9−11”テロ事件を過去のものとし、新たな時代へ進もうとする米国。
バイデン政権は、捜査資料の機密を解除できるか検討する方針を示したが、国家の安全保障に関わる部分にては機密を維持する方針に変わりはない。
全ての真相が明らかになるのはいつなのか?遺族たちはその日を待ち続けている・・・
以上、JCCテレビからでした。
サウジアラビア疑惑
バイデン大統領は9月初め、”9−11”に関する捜査資料などの機密の解除を検討するよう関係機関に指示した。
3000人近くが犠牲となり、世界を震かんさせた事件の機密資料を、なぜ20年経った今になって明らかにしようというのか?
それは遺族たちからの強いプレッシャーがあったからだ。
遺族たちはこの20年間、事件の実行犯を背後で”何者か”が支援(ほう助)してきたと訴えてきた。その”何者か”は具体的には、サウジアラビア政府である。
事実、実行犯19人のうち15人は、首謀者のビン・ラディンと同じサウジアラビア出身だった事から、遺族たちはこの国の政府が事件に関与していたと主張し、裁判を起こしてきた。
以下、「9−11は未解決?」から一部抜粋です。
この”サウジ疑惑”は、アメリカ社会で長く指摘され続けてきた。事実、政権内でもそうした声があったという。
前述のウィルカソンは、”事件当時も今も、サウジが事件に関わっていたかは議論の的です”と語る。
アメリカでは複数の捜査が行われてきた。しかし政府は、その情報を積極的には公開してこなかった。その上、議会やFBIの資料の一部を機密扱いとし、遺族たちの開示要求を拒んできた。
サウジと9−11テロとの関連を調べた資料を最初に機密に指定したのは、当時のブッシュ大統領である。
もし開示すると、”国家の安全保障に悪影響を及ぼす”として非公表にした。
サウジは、アメリカに石油を安定供給してきた経済的なパートナーで、反米感情が根強くある中東において重要な同盟国でもある。また、前述の様に武器輸出では最大の取引先でもある。
ブッシュ後のオバマ政権は、8年の任期中にサウジを4回訪問し、トランプも就任後初めての外遊先にサウジアラビアを選んだ。
遺族たちは、政府が国益を重視する為に、情報を隠してきたのではないか?とますます疑念を膨らませていた。つまり、”9−11”の実行犯をサウジ政府が支援してたのではないか?との疑惑である。
しかし、(アメリカを専門とする)渡辺氏も(中等を専門とする)保坂氏も、サウジ政府のテロ支援に関しては否定的である。サウジ国家の豊かさを担保するアメリカを攻撃するのはありえないと。
そんな中で、”サウジ政府の中に過激思想に同調又は感化された人たちが、何らかの形でテロ事件を支援したという事は十分考えられる”(保坂)。
NHK取材班は、アメリカ政府が断片的に公開してきた捜査資料を徹底的に読み直した。
そこに書かれていたのは、保坂氏が指摘した様に、サウジ政府ではなく“政府と関係する可能性がある個人の関与”についてでした。
隠され続けた捜査資料
遺族たちの最大の不満は、アメリカ政府がサウジアラビアと”9−11”事件に関わる捜査資料を開示しなかった事にある。
サウジを擁護しているのでは?と遺族は見ているが、なぜアメリカは開示してこなかったのだろうか。
米軍のサウジ駐留から解る様に、”両国の間には国家の理念を超えた多大な国益がある”と、渡辺氏は指摘する。
”アメリカにとってサウジは、いわゆる現実主義外交(リアルポリティクス)の典型ではないか。元々はヤルタ会談(1945)の後にルーズベルト大統領が初代の国王と会い、サウジを防衛する代りにアメリカに石油を安定的に供給するという同盟関係が築かれた。
それがイラン革命(1979)が起き、アメリカと敵対するようになり、<反イラン>と<オイル>が両国を結び付けていた。
地政学とかエネルギー事情とか、アメリカはリアルポリティクスの観点から目をつぶってきた面も多々ある”
一方で保坂氏も、サウジにとってもアメリカとの関係はリアルポリティクスの典型だと語る。
”サウジにとって一番重要なのは、サウド家体制を護持する事で、その為にはどういう国際関係を構築するべきなのか。
中東の国々から見ると、アメリカには非常にいい意味もある。中東に一定の権益を持ち、地域の安定を第一に考えてくれる。しかも、中東地域の支配自体はそれほど真剣に考えてる訳ではない(という意味で)。
両国の特殊な関係とは、単に石油や武器だけじゃなく、体制の護持など様々な側面がある”
バイデン大統領が、機密資料の解除を検討するよう指示した事にて、遺族からは”今度こそ”という期待の声が上がる一方、遺族のブレット・イーグルソンさんは”事件を過去のものにしようとしてるのではないか?”という疑念も抱く。
渡辺氏も保坂氏も同じ様な事を語っている。
”サウジ疑惑に関する文書が公開されたとしても、非常に限定的で特筆すべき内容はないのではないか。
サウジは、対イラン対テロだけでなく、イスラエルとアラブの橋渡し役としても、中東諸国の中でも(現実外交路線から見れば)最も重要な同盟国です”(渡辺)
”サウジアラビアはいろんな意味でアフガニスタンの武装勢力タリバンと関係を維持してる可能性もあるし、アメリカに対して何らかの協力ができると思っている。
過激思想に染まる人は、いつの時代にもどこにでも一定数いる。これはサウジも日本も同じだと思う”(保坂)
以上、NHKNEWSWEBからでした。
最後に〜かき消される真相
結局は、両国の国家単位での利害関係が最優先され、故人や遺族の気持ちは踏みにじられ、真相の解明はうやむやになる。
私は、アメリカの”9−11”の報道を見る度にそういう思いを強く持っていた。
「God Bless America」でも書いたが、”神よアメリカを守りたまえ”をいくら歌っても、遺族の心には届かないし、遺族の心も晴れない。
ましてや犠牲になった人たちも浮かばれない。
彼ら彼女らに必要なのは、隠された真相そのものである。
そして今、その真相も闇に葬り去られようとしている。
バイデン政権にとって、2977人の命はアメリカの国益に比べれば、羽根よりも軽いと思ってるらしいが、遺族にとってはアメリカという国家以上に、一人一人の命は重いのだ。
結局、”9−11”の惨劇の中で、神様はアメリカを救ったのであり、2977人の命は救えなかった。神の吐息が2977人とその遺族たちに届く事はなかったのだ。
その神様が遺族に背を向けるかの様に、”9−11”の真相は闇の中へと消え去り、テロ事件という事実だけが独り歩きする。
そうやって、過去の悲惨な歴史は曖昧になり、やがて遺族たちも死に、その子孫たちも関係者も振り返る事もなくなるだろう。
悲劇というものは、そうやって忘れ去られるものである。
ブログだってそうじゃないか。こんなクソ真面目な記事を読むよりも、ガキの気楽な絵日記を読んでた方がずっと楽しいに決まってる。
結局、自分にとって都合の悪い事は、全て忘れる事が一番なのだ。
MLBを見ててこの歌が流れてたから、腹が立って速攻で書きました。
アメリカ国民も何も疑わず、この歌を20年間も聞いてたんです。歌う方も歌う方ですが、少しくらいは疑えって言いたいですね。
自国にとって都合の悪いことは全てもみ消す。
そうやってアメリカ物語を書き上げる。
どんな悪事をしでかしても、神の吐息はアメリカに寄り添い、アメリカだけは許される。
それを歌ったのが、GodBressAmericaなんだよ。
転んだ君が腹が立つのもよーく理解できる。
確かに、遺族たちにはそれ相当の謝礼が支払われてるだろうが、真相を公示し、きちんとした謝罪をすべきだ。でないと、遺族が哀れすぎる。
クソ(失礼ですが)真面目な記事をうん、うん、うなづきながら読んでいます。
理解力不足のこの脳みそで一生懸命読んでます。
そして忘れていけないことは忘れてはいけないと思うのです。
他人の国に土足でズカズカと入ってきたアメリカ人を許せなかったのだと思う。
風土 週間 宗教…難しいことだらけです。
20年経ってアメリカの負けです。
戦い方は違うけどベトナムにも負けたのに懲りない大国です。
それにテロ事件の犠牲者は9−11だけじゃないのに、この事件ばかりが持て囃される。
中東は悪の枢軸とブッシュは言ったが、今や悪の枢軸はアメリカなんですよ。
ご理解頂いて有難うです。
サウジ疑惑なんかは氷山の一角って気がします。
それにサウジ政府は全てを公表しても構わないと言ってるのに、アメリカ政府の方が曖昧な態度をとってます。
記事にもしたんですが、ラムゼー・クラークの「湾岸戦争」もクソ真面目ですが、オススメの一冊です。
歴代の大統領が参列したからと言って
隠された真相が解明される訳でも、それにより遺族が救われる訳でもありません。
またバイデンを含め、歴代の大統領には9-11テロの機密を公開するつもりもありません。
転んだサン言われてる通り、サウジ疑惑も含め、あらゆる疑惑や癒着が絡んでることは間違いなさそうです。
God Bress Americaは、そういった諸々の疑惑をカモフラージュする神の御加護かもそれませんね。
これじゃ、”9-11”のテロ容疑者19人を弔うような賛美歌にも聞こえますね。
遺族は最初からGodBlessAmericaなんて望んでいないし、タリバンやイラクへの空爆もフセイン打倒も望んでいなかった。
ただただ、真実を知りたかったんですよね。
その肝心な真実をアメリカ政府は20年たった今でも隠し通そうとしてる。
これこそ最大のテロ行為ですよね。
コメント聞いてしんみりとしました。有難うです。
同時多発テロを忘れないために
子どもたちにどうやってこの悲劇を伝えるかを特集してました。
しかし真相を明らかにしようとしないアメリカ政府の背中を
子どもたちはどう見るのかを考えるべきですよ。
アメリカの中東政策は明らかに失敗に終わった事を先に認めるべきです。
子どもたちにどう伝えるのかはその後の問題だと思う。
アメリカ政府自ら真相を伝え、まず遺族に謝罪すべきです。
都合の悪い事は全て黙殺し、全てをテロリストのせいにする歴代大統領の発言には辟易しますが、そのテロリストを作り上げたのがアメリカ。
全く、自作自演のテロ事件とも言えますね。
tokoさんの気持ち痛く察します。