リーマンのゼータ関数がセルバーグのゼータ関数に置き換わる時、リーマン予想は解決する。
”数学の夢”という本を紹介したブログ(お題)で、リーマン予想が解けないのは、第三の解説接続の公式(リーマンジーゲル公式)に少し誤差があるのでは?と、生意気な事を言ったら、早速ブログ友からコメントが届いた。
リーマン予想を解決する道標として、ゼルバーグゼータ関数が注目されてるとあった。勿論、セルバーグという名前もセルバーグゼータという関数も知ってたが、所詮私には難しすぎて、背中を向けてたというのが正直な所で(笑)。アトル•セルバーグに関しては、イラストの紹介も参考です。
paulさんのコメントを借りれば、このセルバーグゼータ関数とは、”リーマン面”上のゼータ関数の事で、素数や整数などとは無関係に、幾何学上で定義されるゼータ関数ですと。
因みに、この”リーマン面”とは、多価関数(1つの値に対し解が2つ以上)を一価関数(1つの値に解が1つ)として扱う為、複素平面上の定義域にて、その多価の数だけ各葉毎に分けて、螺旋階段を切り貼りし繋げる様にして考える事です。”リーマン10”を参照です。
つまり、素数の代わりに素数の類似物をリーマン面上に見出すと。具体的には、リーマン面上の素な閉測地線を”素測地線”と呼び、素数の代わりとするんです。
この”測地線”ですが、局地的に距離が最小となる”閉じた”曲線の事なんですが。つまり、空間を最短距離で進む光の軌跡だと思って下さい(”アインシュタイン”ブログ参照です)。
そこで、リーマン面ではリーマン計量(角度と長さ)が決まり、距離が定義できるので、前述した”素測地線”が素数の代わりとなるんですかね。
因みに、リーマン面とリーマン計量の関係ですが。”リーマン多様体”とは、リーマン面を平面上で表現する為、単に角度や長さを定める”リーマン計量”に依存する様にしたもので、リーマン面を多様体と呼ばれる高次元空間に拡張したものです。イメージとしては、地球儀の地図を1枚の紙の上で表すようなものですね。これも”リーマン10”参照です。
この素数の代わりとなる”素の測地線”とは、リーマン多様体では一周のものを言い、螺旋階段で例えれば1階に相当する部分かな。2周では素数の2乗とみなします。
故に、リーマンゼータ関数は”素数に渡るオイラー積”だから、”素測地線に渡るオイラー積”がゼルバーグゼータ関数という訳で。お分かりですかな。
つまり、素な測地線という幾何学的な図形を数値化したものをオイラー積に埋め込むんですが。素数の大きさの代わり、素測地線のノルム(自然対数eの長さ乗)を代入して作ったオイラー積を、セルバーグゼータ関数と定義します。素測地線pの長さをl(p)とすると、ノルムはe^l(p)ですね。
但し、この素測地線は閉測地線全体を渡りますが。セルバーグゼータ関数ζM(s)は、任意のリーマン面Mの曲率が負の時のみ定義されます。
もし、リーマン面Mが球面の時、測地線は大円となり、測地線の集合は大円全体となり、閉測地線になります。故に、閉測地線全体を渡る素測地線は非加算無限個存在し、オイラー積が成り立たなくなると。
輪ゴムを測地線に例えると、球面に輪ゴムを掛け固定するには、球面が大円の時に限るもんね。この無数の輪ゴム群が閉測地線ですね。
しかし、曲率が負に限定されるリーマン面では、閉測地線は無数に存在し、加算無限である事は自明です。故に、素数の時と同様に、素測地線でもオイラー積が定義できるんです。
すると、このオイラー積の収束性も証明でき、リーマン面M上の点をxとすると、このセルバーグゼータ関数ζM(x)が、何とリーマン予想を満たすと。ケッケッケ。
実際に、ζM(x)の虚零点の実部が、有限個の実零点を除き、全て−1/2である事が証明されてマス。ただ、ζM(x)では虚零点(非自明零点)だけでなく、非自明極(虚極)も無数に存在し、それらの実部は有限個の実数の例外を除き、1/2となってる事も。
つまり、極を位数が負の零点とみなし、零点と極を零点とみなせば、リーマン予想は”全ての非自明零点の実部が半整数である”と表現できますね。
半整数とは、整数が1/2の形をしてる有理数の事で、全ての整数は半整数でもあります。故にリーマンゼータ関数は、半整数のうち1/2だけが顔を出してたと云えますね。
リーマンゼータの極(s=1)が−1位の零点と見れば、これも半整数なので、極も含めてリーマン予想とみなせる訳です。故に、1/2でも−1/2でもリーマン予想には変わりないと。
しかし上述した様に、このセルバーグゼータ関数には、有限個の実数を除くという条件がつきますが。完備ゼータ関数では、自明な零点(実零点)は省くので、この例外は関係ないんですね。
つまり、リーマンゼータ関数がセルバーグゼータ関数に属する事が判れば、リーマン予想は完全証明される訳ですな。何だか上手く行き過ぎのような気も(笑)。
もう一つ、セルバーグゼータ関数がリーマン予想を満たす条件として、”セルバーグの跡公式”というのがあります。
ここでセルバーグの主定理の登場です。これは、”リーマン面M上の積分作用素の固有値は、M上のラプラシアンの固有値の関数として表される”というもので、”ラプラシアンの固有値に渡る和”と表されます。これこそが”セルバーグの跡公式”なんです。勿論詳しい説明は省きます(悲)。
セルバーグの跡公式には、”固有値の和”と”対角成分の和(対角積分)”という2通りの表示があり、特に”固有値の和”の方は、”ラプラシアンの固有値に渡る和”なので、これをセルバーグ変換し、セルバーグゼータの対数微分表示を得ます。これは対数をとる過程で、積が和になりますね。
故に、”ラプラシアンの固有値に渡る和”は、ゼータ関数の式で言えば、”ラプラシアンの固有値に渡る積”に相当するんです。
このセルバーグゼータ関数の二次方程式を解くと。√の中身が正の時、このゼータ関数の零点の実部が−1/2に、極の実部が1/2になる。共に半整数により、リーマン予想が成り立つと。
逆に√の中身が負の時、それを満たす固有値は有限個なので、有限個の例外を除けばリーマン予想が証明されると。
それに例外に関しては、√部が純虚数になるので、零点や実部は実数になる。故に例外零点は必ず実数になるので、セルバーグゼータ関数はリーマン予想を満たすという事ですね。
”素数を離れ、幾何学的な曲面から出発し、数論が目指す究極な結論と同じ形に到達したのは、興味深い”と小山博士も語っておられます。
ただ、セルバーグゼータ関数がリーマンゼータ関数になる様なリーマン面Mはまだ見つかっていないが、これまでに考えられてないリーマン面を精査していけば、リーマン予想が解ける可能性があるとも。
因みに、リーマン面やリーマン多様体の定義は、”リーマン10”でも述べてますが。リーマン面とリーマン多様体の概念が、オイラー積に結びつき、素数に代わり、素測地線が可算無限個であるより、素数の時と同様にオイラー積が定義され、リーマン面のゼータ関数になり得たのですかね。
リーマン予想の鍵がリーマン面やリーマン多様体に結びついてるとは、面白いですね。
ただ、通常のリーマン面やその高次元化である有限次元のリーマン多様体では不可能で、簡単に解けるものではないとありますが。従来の研究の様に袋小路に入ってる訳でもなく、限界がある訳でもないと。
つまり、このセルバーグゼータにこそ、リーマン予想解決の広大な視界が開けてるとされてます。
でも、セルバーグゼータ関数がリーマンゼータ関数になる様な多様体Mを発見できれば、それは数論の全てを知りうる”究極の多様体”という事でしょうか。つまり、リーマン予想とは、”究極の多様体を探す旅”であると。
以上、paulさんのコメントと、”リーマン教授にインタビュー”を参考にしましたが。こういうのをテーマにした甲斐があったと言うもんです。
これからも”リーマンの謎”の旅を続けますんで、宜しくです。
セルバーグのスペクトル理論は、現代数学においてある種の革命ですかね。
数学には、こうしたある日突然現れる超天才の存在が不可欠です。セルバーグのゼータ関数がリーマンゼータになるような多様体は見つかってません。
でもひょっとしたら、リーマンゼータ関数がセルバーグのゼータ関数にとって代わる日が来るかもしれません。
素数という一次元上の概念から、幾何学というN次元の概念へとシフトして、ゼータ関数を眺める辺りのセルバーグの洞察力には頭が下がります。
paulさんの言う様に、リーマンゼータがセルバーグのゼータ関数に変わる日が来ると思うだけで、何だかワクワクしますが。その道のりもきっと険しいもんでしょうね。
リーマンゼータ関数からセルバーグゼータ関数に置き換わるとき、ですか。
何だかロマンチックな言葉で、痺れます。
ゼータ関数もオイラーからリーマンを経て確立し、セルバーグへ向かい大きく変革を起こすだろうでいいんですかね。
素数の謎から多様体の謎への移行と。一次元の謎からN次元の謎へと。
詩人みたいなコメントで、何だか嬉しいです。
数学者は詩人みたいな美学が必要なんでしょうか。セルバーグの跡公式は非常に美しい形をしてますもんね。
セルバーグがリーマンに取って代わる日が来るんでしょうか。そして、その時がリーマン予想が証明された時でしょうね。